何かの傷・トラウマなどで感情的ブロックが生まれている時、ヒーリングには基本的に二つのアプローチがあると思っています。どちらがよいのかは時々考える ところです。結局はケース・バイ・ケースでより適したほうを選んだらよいのかと思っていますが、それについて少しだけ。



両方のアプローチで恐らく共通しているのは、本来感情は体を通って出て行ってしまえばオワリであり、しかし通常それを充分に感じる・表現することが出来なかったために、感情的ブロックが体の中に残ってしまっており、それが現在の辛い経験の原因となっているということです。




解決策としては、その時に流すことが出来なかった涙や、表現することが出来なかった怒りや恐怖心を感じてしまえば、そのトラウマは解放されて現在の問題も解決すると考えています。



ここで、アプローチが異なってくるのですが、一つ目はその傷・トラウマが生まれた時点まで戻って、その時十分に表現することが出来なかった感情を 体を通すというものです。トラウマ・セラピー、退行療法、過去生療法、リバーシングなどをはじめ、大部分のセラピーもこの類かと思われます。



もう一つのアプローチは、その時点まで戻して再体験することはない、自分の波動を高めることによって、そのトラウマによる傷やブロックは自然と解 消される、とするものです。この種別に属するセラピーも少なくないと思いますが、禅、祈り、一部のレイキ、フラワーエッセンスなどは似た側面があると思っ ています。




ここで余談ですが、フラワーエッセンスは、そのもととなっている花と同調・ チューニングしたら感じていただけると思いますが、基本的に波動を高め ることによって、その問題解決の障害となっているものを「流し出そう」とするものです。例えば、罪悪感に効くとされるエッセンスの花は、赦し・自己受容な どのエネルギーを持っているので、結果的に罪悪感の解消を促すという仕組みです。



さて、これら二つのアプローチの違いについて考えはじめたのは、イギリスでサイコセラピストと呼ばれる人々とあるワークショップで話をした時でした。率直に言って彼らには私を癒して欲しくない、と思ったのです。なんと言っても重過ぎる感じがして。



そこで一つ思ったのは、結局過去のトラウマを見つめることも大切だけれど、それは出来るだけ素早く通り抜けたらよいと。その後ジャーニーというセ ラピーを学んだ時には、感情の本質的なところに集中して、それを一挙に体内を流しきってしまうことで「無為」「ワンネス」に達することが出来るということ でした。



ですから、以降はセラピーでは、感情のドミノの出来るだけ元のところにあるのを最初に見つけてつかむようにしてます。




しかし、出来るだけ素早く通り抜けるだけでなくて、もともとそれにタッチしなくても、自分の波動をあげることによって癒しが起こることも実際にあります。



別の表現をすれば、これは「今の瞬間に生きる」ということでもあります。



本当に今の瞬間だけに生きることが出来れば、自分や世界に欠けているものはなく、過去のトラウマのエネルギーを今に持ってくることもなくなるので、問題は解決すると思います。光が大きくなれば闇は遠ざかっていくということですから。




この辺りについては、エックハルト・トールの「THE POWER OF NOW(邦訳、さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる)」に詳しいところかと思います。



しかし実際には、クライアントの方も私たちも、24時間365日今の瞬間だけに生きることはなかなか容易なことではないですものね。



その邪魔をしている過去のトラウマやそこでの学びを解放することで、過去に引きずられることが少なくなるのは事実でしょうから、それは完全に今を生きることが出来るようになるまでの暫定策としての意味は少なくともあると思います。