自然も田舎も農家も嫌いだった
私が生まれ育ったところは北海道の真狩村[まっかりむら]というところ人口2,000人ほどの小さな村。その農家の三人兄弟の末っ子として生まれました。昔はほんっとにこの田舎も農家という家業も野菜しかない環境も自然や虫がたくさんの毎日もイヤだった。嫌いだった。両親は畑仕事に忙しくて遊んでもらった記憶がなくて。上の兄や姉とも年が離れていたので一人っ子のような感覚虫がたくさん出るし「田舎」というのがとっても恥ずかしかった。畑仕事で汚れやすくて天候に左右される農家という仕事も嫌でサラリーマンの家庭が羨ましかった。そして野菜よりもお肉が食べたかった。部活少女だったのでね笑それが変わり始めたのは大学に入って一人暮らしを始めた頃からです。スーパーの野菜が新鮮じゃないし美味しくない電柱や建物が邪魔をして空をまっすぐに見ることができない風を感じることも少ない日常で自然を感じることがない実家で採れた野菜を差し入れすると美味しいって喜んでくれる。ホワイトアスパラの缶詰じゃない生を初めて食べて美味しいって感動してくれる。あーーー私が育った自然も田舎も農家もほんとは大好きだったんだな。ずっと真狩にいたら気づけないことでした。それは私にとって当たり前のことだった。「当たり前」が近すぎて全然気づけていなかったんです。****私は昔からお菓子やパン作りが好きで。同じような材料でもグラムや組み合わせ方が変われば全然違う形や食感になる。全く想像できないものに変わる、ワクワクするそんな感覚が好きでした。野菜を育てていく感覚もこれに少し似ているなとこの頃よく思います。小さな小さな種から育み、膨らみ育てていく命を育てていく遠回りしていろんなことをしてきたけれどそれも決して無駄なことではなくてそんな経験があるから気づけたことがあって今こうして、今があります。今、こうして大好きな自然の中にいる。もうね、それだけで嬉しいのです野菜をただ届けるということだけでなく、育て育んでいく過程や取り組む姿勢取り囲み見守る大自然と環境そしてそれを「食べる」ということまで伝えていきたいなと強く感じています。「食べる」ということも命を育む姿勢風も雲も空も太陽の光も一つとして同じ景色のないこの場所でどっしりと構える羊蹄山に見守ってもらいながら大好きな大自然のあるこの場所で力強く生きる野菜たちとともに「今ここ」を感じながら生きていきたいです