「母と喧嘩」

母(絹子)38歳、私(まぁちゃん)10歳。

ある日の事です。

どうして口論になってしまったのかは忘れてしまいましたが、だけど自分は悪く無いと自信があったのです。

“ごめんなさい”その一言がどうしても言えずに黙っていると、母(絹子)は問いかけます。

『一言謝ればすむのに何故言えないの?』

うまく言葉が見つからないままに私は答えました。

『悪く無い事に、何故まぁちゃんが悪いような事になって謝らなければならないのか、その意味が分からない。』

そんな堂々巡りの繰り返しです。

私は、昔も今もそうですが腹立たしい時は食事が喉を通らなくなり食欲すらも無くなるので“拒絶食”とでも言うような状態になるのです。




まだ言葉の表現力が乏しい子供でも、自分の中にある意思は手足の成長よりも遥かに早く、そして着実に親が気付かぬうちに大きく形作られているのです。

そして親はいつまでも赤子のように子を想い、意思の成長になかなか気付かないものです。

頑固、もしくは我が侭な子供と捉えられながらも私は習い事の珠算塾に行きました。

19:00に帰宅し、銭湯に行くと帰るのは20:00前、直ぐに宿題と予習復習を始めると22:30頃になり、次は書道の練習を始めれば終わるのは1:30頃、100枚書いた中から清書を10枚選び終えた頃の2:00に就寝の毎日です。

翌朝の5:00からはまた1時間の書道の練習をするのですが、そんな毎日でも母(絹子)の寝てる姿を見た事がありませんでした。

相変わらず食事が喉を通らないままでいた私ですが朝食は両親も弟も好きな梅干しと納豆でした。

家族の中で唯一それらが苦手な私を気遣うように食事をする家族に悪いので私も少しながらも朝食を摂るようにしていましたが、お昼の給食は食パン一枚に加えておかずは二口程食べるとやはり喉を通らなくなり、夕飯は三日程口にしませんでした。

とうとう四日目となると母(絹子)は私が摂り易い献立を珠算塾に行く前に私だけに作ると食卓に『食べて行きなさい。』と紙に書いて置いてありました。

顔を見れば意地を張り、そして食欲も湧かないだろうという母(絹子)だから分かる私の気性を知ってのことでした。



母(絹子)は私の行動を目で追い、私は母(絹子)の眠る姿を見られない事を不思議に思い、朝の書道の時間を早めて4:30からにしても起きている母(絹子)が益々不思議でなりませんでした。

そんな、母(絹子)と私の不健康にも妙な追いかけっこが一ヶ月程した頃に父(清規)が二人ともが口を聞かない事に理由を聞いてきました。

私は父(清規)に理由を話し、納得の出来ない事には謝りたくないと答えました。

すると父(清規)は母(絹子)が私に関してどうしたら良いのか悩んでいると私に話してくれました。

その翌日、私はいつも通りに独りで銭湯に行くと母(絹子)もすぐ銭湯に来ましたが私は見て見ない振りをし髪を洗っていると母(絹子)が背中を洗ってくれながら言いました。

『まぁちゃんの言いたい事、分かったよ。』

『きちんと調べなくて悪かったね。』

背中越しに聞こえた母(絹子)の声は、今でも湯の温かさのように蘇ります。

一ヶ月振りの母(絹子)と娘の仲直りを父(清規)が仲裁してくれたのです。

そしてその時間は私が母(絹子)をじっくり観察した一ヶ月間でもありました。



“母(絹子)は、いつ眠っているのだろう。”

私の中に少し浮かんだ不思議な風船はその一ヶ月でみるみる大きく膨らんでいくばかりでした。

母(絹子)は、体が動く限り一切の電化製品を使わないと心に決めていた人でしたから家事の掃除・洗濯全ては手作業でした。

そんな毎日を忙しなく(せわしなく)過ごす母(絹子)でしたから昼寝を貰う時間などもなく、日曜日も一日中動いていました。

数年後、病院で私が母(絹子)を看護してる時も私が母(絹子)を見ると必ず優しく微笑みなから私を見ていたのです。

考えれば考えるほど不思議で、何度 思い返しても私は生まれてから一度も母(絹子)の寝顔を見た事がなかったのです。

~つづく~

母は、何も言わずに、人として誰かに一人でも
喜んで頂けるならば、静かに黙って
行動を起こす人でしたよ
近所で、火事が有った時は、御近所に声を掛けてはては、其の現場におもむき、
子達が居れば、同じぐらいの子供のある家で
服を集めて、着替えにして下さいと
持って行きました、勿論 我が家にある物でも
急遽居る物を持って行っては
少しホットした感じで居る母の言葉は
「 人として当たり前の事をしただけの事をです
其れが人の道でしょ」
母の「 当たり前の事 」其の心の声を大切に
しながら日々を過してます

母の守護天使の時に見ていた素敵な心の持ち主
は、常に其の心にを大切に無垢に忘れずに
持ちながら生きて居ましたよ
素敵な両親の娘として生まれた事に
感謝の一言で、終わらない今も私を
守りながら微笑み囁いてくれてますからね

いつも  御訪問
ありがとう ございます
m(_ _)m