私は来年還暦を迎えます。大家業と不動産業で生涯現を目指してはいますが、現実問題として自分がいなくなった後のことも考えておかないといけません。病気や事故で動けなくなってしまうリスクもあるので事業承継と相続のことは今から準備しておかないといけないと思っています。私自身が賃貸物件を仕入れて管理してきた経験から、次世代へのスムーズな引き継ぎを目指すための重要なポイントをまとめました。ここでは、還暦を迎える大家としての視点から、相続に向けて注意すべき点とアドバイスを紹介します。

 

 

1. 相続計画の早期立案

 

 

家族と話し合う

 

まずは、家族全員と率直に話し合いを行いましょう。相続に対する各自の希望や意見を共有し、家族全体で納得のいく形を模索することが重要です。

 

 

配偶者との話し合い

 

配偶者は、あなたの人生を共に歩んできた最も身近な存在です。相続に関する計画を立てる前に、配偶者としっかり話し合い、お互いの考えや希望を共有しましょう。

 

現状の把握と共有: 賃貸物件の現状や収益、管理状況などを配偶者に説明し、現状を共有します。

 

相続の希望: 配偶者が相続についてどう考えているか、具体的な希望や懸念を聞きます。例えば、配偶者が今後も賃貸物件の管理を続けたいのか、それとも他の資産運用方法を検討しているのかを話し合います。

 

財務計画の確認: 相続税や将来の生活費など、財務的な計画についても共有し、現実的なプランを立てます。

 

 

子供との話し合い

 

子供たちにとっても、相続は重要な問題です。早めに話し合いを始めることで、子供たちが相続について理解し、自分の役割を認識することができます。

 

教育と準備: 子供たちに賃貸経営の基本知識を教える機会を作ります。例えば、収益管理、物件のメンテナンス、業者や借主とのコミュニケーション方法などを実際に体験させることが有効です。実際私も業者や入居者さんに会うときに長男を連れて行って現場を見せるようにしています。

 

相続の希望と意見: 子供たちが将来どのように賃貸物件を扱いたいか、どのような役割を担いたいかを聞きます。これにより、彼らの希望に沿った相続計画を立てることができます。

 

 

専門家のアドバイスを求める

 

早い段階で弁護士や税理士、不動産の専門家に相談することで、法的および税務上のリスクを最小限に抑えることができます。専門家のアドバイスを元に、最適な相続計画を立てることが大切です。

 

 

2. 法的手続きの理解と準備

 

 

遺言書の作成

 

遺言書は相続を円滑に進めるための重要なツールです。明確な指示を記載し、家族間の争いを防ぐために公正証書遺言の形式で作成することをお勧めします。

 

 

相続税の対策

 

賃貸物件の評価額に基づく相続税は高額になる可能性があります。相続税を軽減するための対策を講じることが重要です。場合によっては生前贈与も活用しましょう。

 

 

3. 賃貸経営の引き継ぎ

 

 

継承者の育成

 

賃貸物件の管理を引き継ぐ子供や継承者に対して、必要な知識やスキルを事前に教えることが重要です。実務経験を積ませることで、将来の経営がスムーズに行えるようにサポートしましょう。業務マニュアルを作っておくのもいいと思います。私は簡単なマニュアルと業者リスト、入居者リストを作って妻に渡しています。

 

 

賃貸契約と物件の状況把握

 

継承者が現状の賃貸契約内容や物件の状態を正確に把握できるように、詳細な記録や資料を整理しておくことが必要です。これにより、引き継ぎ後のトラブルを未然に防ぐことができます。私の場合は、物件ごとにこれらの書類を管理していますが、ちゃんと整理できていないのが現状です。できるだけ早く進めようと思っています。

 

 

4. 財務管理と長期計画

 

 

収益性の評価と改善

 

物件の収益性を継続的に評価し、必要に応じて改善策を講じることが重要です。リフォームや設備の更新、賃貸条件の見直しなどを行い、物件の魅力を維持しましょう。

 

 

長期的な財務計画の策定

 

相続後の賃貸経営を成功させるためには、長期的な財務計画が欠かせません。収入と支出を予測し、修繕費や予備費を確保する計画を立てましょう。

 

・現状分析

 

まず、現在の財務状況を正確に把握することが重要です。

 

収入と支出の把握: 賃貸物件からの収入(家賃収入)と支出(ローン返済、税金、保険料、修繕費など)を詳細にリストアップします。

 

資産と負債の確認: 所有する物件の評価額や現金預金、株式などの資産と、ローンやその他の負債を整理します。

 

・キャッシュフローの予測

 

次に、将来のキャッシュフローを予測します。これにより、長期的な収支のバランスを見極めることができます。

 

収入の予測: 現在の家賃収入を基に、将来の収入を予測します。家賃の増減や空室率の変動なども考慮に入れます。

 

支出の予測: 今後の支出も予測します。定期的な支出に加えて、物件の修繕費用やリフォーム費用など、突発的な支出も考慮します。

 

・財務目標の設定

 

財務計画を立てる上で、具体的な目標を設定することが重要です。

 

収益目標: 賃貸物件から得たい収益目標を設定します。これには、純利益の目標や家賃収入の成長目標が含まれます。

 

資産の増加: 長期的に目指す資産の増加目標を設定します。これは物件の増加や評価額の上昇、他の投資からの利益などを含みます。

 

負債の管理: 負債をどのように減少させるか、またはどのレベルまで維持するかについての目標を設定します。

 

 

5. 資産の多様化とリスク管理

 

 

賃貸物件以外の資産運用

 

賃貸物件に依存しすぎないよう、資産を多様化することも検討しましょう。株式、不動産投資信託(REIT)、その他の投資手段を組み合わせることで、リスクを分散し、安定した収益を確保できます。私もつみたてNISAや高配当株投資などでリスク分散を試みています。特にコスト増で不動産の収益性が全体的に低下している現在、不動産以外の収益の柱を作っておくことは大事だと思います。

 

 

保険の活用

 

賃貸物件の損害保険や生命保険を活用し、予期せぬ事態に備えることも重要です。保険を通じて、家族の経済的安定を図りましょう。

 

 

まとめ

 

まだ私も準備にとりかかったばかりなので偉そうなことは言えませんが、やるべきことを調べ上げてまとめてみました。できていること、できていないことが混在していますが、私と同じ立場の大家さんの参考になれば幸いです。早めの準備と家族とのコミュニケーション、専門家の助言を活用し、スムーズな相続を目指しましょう。相続後も賃貸経営が成功し、次世代に豊かな財産を残せるよう、計画的に進めていくことが大切です。