一言「しくみ」と言っても広い意味があるので、絞り込みをして考えていきます。
ドライバーがやらされ感を抱かずにスキルを習得してくれるしくみに絞って考えていきましょう。
ドライバーは気質的にどんどん自ら進んで、物事をこなすタイプが少なく、あえて非常にネガティブに言うなら、
おおよそ、こんな感情が本音だと思います。
一方、ポジティブに言うなら、
両極端な人材像を示唆したように思われるかも知れませんが、これは同じ人物でもしくみ次第で、ネガティブにもポジティブにもなり得るということがここでは申し上げたいのです。
そうです。しくみ次第で人材は育つか育たないか決まることが多いのです。
実は、「やらされている」という感覚がドライバーの潜在能力に蓋をしてしまっていると私はずっと以前から感じているのです。
やらされ感を排除できるしくみがあれば、潜在能力を引き出すことができ、会社も働くドライバーも両方がハッピーになれるのです。
ドライバーがやらされ感を抱くのは、「良いからやれ!」という上からの押し付けをされた瞬間です。ドライバーに限ったことではないですが、ドライバーは職場そのものがトラックで移動していきます。四六時中見張られているわけではありませんので、手を抜いたり、押し付けられたやり方以外のやり方をしたり、どうにでもできるのです。
腹に落としてやらなければ、実際にはやるべきことをやるべき方法ではやってくれないと考えたほうが現実的だと思います。この「腹に落とす」しくみがドライバー育成には欠かせないというのが結論です。
腹に落とすということは、ドライバー自身が「そうだよなぁ。そりゃ大事だ!会社というより自分の為にやろう」と思ってくれたルールや仕事のやり方、安全確認、接客、洗車、運行前点検、法令遵守などすべてにおいてです。
例えば、法令で定められている運行前点検などは、運送事業者に義務付けされていることであって、直接ドライバーに義務がある訳ではありません。会社がドライバーに「法令で義務付けされていることだから、やってもらわなければ困る」と言ったところで、ドライバー自身が重要だと真に感じていなければ、身の入らない点検となり、不良箇所は見付かりません。結果的に見逃した不良箇所が文字通り「命取り」になることさえあります。
怖さを体感したことがあるドライバーは運行前点検の重要さが身に沁み、正に「腹に落ちる」のです。
しかし、腹に落とさせるために毎度怖さを体感させるのも現実的ではありません。ですからしくみづくりが大事なのです。
先に紹介したポイント給与システムもある意味、一つのしくみですが、私の会社で最も力を入れてきたのは、HQM(ヒューマン クオリティー マネジメント)という1日の振り返りをするしくみです。
A3を横にした出勤簿兼自己評価表です。改良を重ね、すでに18年継続しています。出勤簿と一緒にしたのは、必ず毎日二つ折りのA3用紙を開くものにするためです。
デジタルタコメーターの評価( AからDまで)もチェックしますし、給与にも直結するので適当に扱うことは出来なくしてあります。
なぜ自己評価させるしくみが「腹に落とす」ことにつながるかということに疑問を感じられるでしょう。
それは、毎日ドライバーに問いかけ、上長である営業所長はドライバー一人ひとりを関心持って見ていかなければ、チェックが入れられないからです。自分を見てくれない上司を部下は認めません。きちんと自己評価できない部下も上司には信頼されません。この双方向の確認をルーチン化させたしくみなのです。意外な効果が得られるはずですので、独自のHQMを作成されてみてはいかがでしょうか。会社の風土に合うものが出来上がれば、最強ツールとなるはずです。