東京六大学の出身で、ある大企業の営業所長まで務めたサラリーマンでは十分成功の部類に入るであろう紳士です。しかも「トラックドライバー熱望」ということで面接にやってきました。転職歴もなし。一つの会社で全国を転々としながらのハードなビジネス人生だったことが履歴書からも容易に読み取れました。
私が注目したのが、小柄で痩せているのにとにかくよく食べる点です。こういうタイプは結構粘り強い。10年以上経ちましたが、一度も弱音を吐かない、期待通りの人財でしたし、正にドライバーを選んで正解だったと思う節が多く見受けられました。それは、基本的に人に仕事を教えない。「教える前に自分でやったほうが早い」という感覚です。
また、「こうした方が楽に出来るよ!」というような助言に対して、返事はするが行動には反映されない。
欠点を並べているように思われたかも知れませんが、この未経験ドライバーはその辺のトラックドライバーとは一味も二味も違ったのです。
それは、荷主からの絶対的な信頼を獲得する技術です。抜群の営業力と存在感があるのです。定年間際には、営業所長にも就いてもらいました。
そもそもこの人は晩年になって、なぜトラックドライバーに転職してきたのだろう?と考えました。
社会的地位の維持や家族の生活、仕事への責任感もあって自分の気性に偽って頑張ってきたのでしょう。最後に自分の気性に合った「好きな仕事」がしたかったのではないか?
現在61歳のMさん、今も現役ドライバーとして第一線で頑張ってくれています。
さて、ここから50歳ほどで未経験ドライバーとして運送事業者に転職してくる人材の活かし方、育て方について深堀したいと思います。
有利点と懸念点とをしっかりと分けて考えたいです。
まずは、有利点は、
対して、懸念点は
経営者の心理的な問題だとは思いますが、50歳代以上のドライバーを雇うことに後ろ向きな経営者が多いです。
しかし、本事例の様に50歳から65歳まで15年無事に務めてくれる成功パターンを確立すれば、30代くらいで入社後数年後に離職されることが多い会社などにとっては、中高年未経験ドライバーに対する捉え方を変えることにより、大きなメリットが出せることは間違いありません。
まずは、中高齢者がどのような経緯で未経験ドライバーとして業界入りしてくるかを理解することです。
(A)家族の自立などにより、経済的にも心理的にも余裕が出てきたのを機に、好きな仕事を求めてくる転職者
(B)多くの挫折を繰り返し背水の陣でくる転職者
(C)体を壊して前職退職後の転職者
ここでは、トラブル対処という観点ではなく、どう引き上げるかを主眼に考えていきます。なぜなら、もう「採ってやる」という時代ではなくなっているからです。
中高齢未経験ドライバーを生かすポイント
| 面接アピール | 待遇説明 | 育成方針 | 育成担当者 |
A | 真のプロドライバーを目指すのに十分な時間があります。 | 賃金、休日よりも長く働いてもらえる可能性 | 基本からしっかり取り組んでもらい、資格取得も提案 | 年齢にかか わらず、 当社のプロ 中のプロを 指名する |
B | 今までの苦労が報われる良い転機になるかも知れませんね。 | 前職の待遇以上は期待させるべきではない。 | 担当荷主の選定が最も重要。 | 同年代の 目標になり える良き 理解者的な 存在が適任 |
C | 長時間労働や体力勝負の運行は避けていきましょう。 | 健康上の配慮を優先。最も低いときの賃金を明示する | 夜遅いより朝早い運行が健康管理しやすい。規則正しい生活推奨 | 情に流され ない責任感 の強い者。 配慮とケジ メのバラン スが大事 |