2013年5月執筆
国土交通省は2015年に14万5,000人のにドライバーが不足するとの発表をしました。現在、我々運送業で従事されているドライバーはおよそ86万人ですので、この予測がいかに深刻な事態を招くことになるか、容易に想像ができます。
この予測を裏付けるかのように、募集の反応がやや鈍ってきていると、同業者からの声が聞かれるようになってきています。あとは見た目で判断出来る事として、高齢者ドライバーが目立っている事です。私の会社にも60歳と超えるドライバーが数人おります。5年後には、全体の1割が60歳を超えるドライバー集団となります。これらの高齢者ドライバーが完全に引退すれば、確実に人手が足らなくなってきます。
それでも、さらに追い討ちをかけるように、燃料高騰と高止まり、重大事故多発による法規制の強化に加え、急速な生産拠点の海外現地化により、内需の縮小が進み、国内の輸送量は、大幅に減少するのです。
我々運送業はとても厳しい環境にある訳です。しかし、悲観的に考えることばかりでもないと私は思うのです。
我々運送業は99%の中小零細企業で成り立っていますから、その分、臨機応変さも持っていることになります。特に人材育成に関しては、それぞれの経営者がその気にさえなれば、すぐにでもドライバーのレベルは上がり、事故が減少し、無駄な経費は見直され、利益が残り始めます。
大企業だと大きい舵取りをしないと出来ない改革が、中小零細企業だと経営者の決断一つで、すぐに効果が出て来る。そして、我々運送業に限って言うなら、前述したような諸問題が山積しているだけに、「人材育成」で差をつけやすいとも言えるのです。
何故かと言いますと、燃料は努力だけでは安く仕入れ出来ませんが、人材育成により燃費の向上は可能です。また、重大事故多発においても、事故が起きるのは、ドライバーの質の悪さではなく、会社の姿勢の問題と捉えれば、人材育成により事故は確実に減らす事ができます。内需の縮小は、我々にはどうする事も出来ませんが、セールスドライバーを積極的に養成し、下請けに甘んじず、元請荷主を開拓すれば、利益率が高い仕事が、営業経費をあまりかけずに、増えていきます。
そういう良いスパイラルに巻き込んでいければ、志しの高い経営者の背中を見て、そして良いドライバーの背中を見て、新たなドライバーが集まり、育っていきます。
「そんな簡単に人材育成ができたら、とっくにやってるよ、できないから悩んでいるんだよ。」
そんな声が聞こえてきそうですね。偉そうに言う私も人材育成では、大いに悩み、多くの失敗をしてきました。大きな事故も経験してきました。
大丈夫です。過去の固定観念を捨て、真摯な態度で改革に臨めば、小さな運送会社は、必ず生き返ります。新陳代謝が進み、若いドライバーや他業種からのドライバーが集まり始めます。
これからは、良いドライバーをいかに多く保有するかで、勝負は決まると思います。
勝負とは、規制緩和策により6万8000者まで膨れ上がってしまった運送業は、これから確実に淘汰の時代に入って行きますので、その淘汰されないための勝負です。
国は、重大事故を引き起こす運送事業者、コンプライアンスを軽視する運送事業者などを、質の悪い運送事業者と位置づけ、容赦無く、退場させていく方針です。
力強く生き残って行きましょう。急がば回れ、人材育成です。
さて、私の会社は、ある人材育成のツールを見つけました。それはドライバーコンテストです。キックオフから12年かかりましたが、全国大会に4名が出場し、昨年、国土交通大臣賞と全日本トラック協会長賞をダブル受賞する事が出来ました。
この書籍では、トラックドライバーコンテストに勝つ秘訣を書くことが主目的ではありません。少しでも、直ぐにでも、効果が上がる人材育成のノウハウを紹介させていただき、遠回りしなくてもできる改革のお手伝いが出来れば、この書籍の存在価値が出てきます。
先ほど、急がば回れ、人材育成と書きました。遠回りしなくてもできる改革は、やっていくうちに、大きい目線も養われ、長期目標や具体化された夢が見えてきます。これが、目先の改革から手をつけるべき理由です。
先に壮大な夢を描き過ぎますと、気がついたら立ち止まったまま10年経っていたということが往々にしてあります。
私もトラックドライバーコンテストの前に、「輪留めの徹底」から始めました。最初の一歩は大事ですね。
この執筆は、「はじめに」候補でした。実際には書籍には載りませんでしたが、私自身が忘れかけていた、改めて考えさせられる内容でした。
更に詳しく知りたい方は、↓
小さな運送会社のためのプロドライバーを育てる3つのルール現在5刷となった人材育成本です。業種業界を超えて好評いただいています。
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