私たちは、相場・トレードにおいて、完全な「当事者」です。
「客観的に判断しよう」としても、できません。


落ち着いて判断しようと努めますが、傍観者と比較して、想像以上に判断力は低いはずです。

仕方がないことですが、ポジション量が多いなど少しでもムリがあると、グズグズの悪循環に陥って大きな損を被ることがあるので、あらためて認識しておくべきことです。

日常生活でも、「あっ、失敗した」という場面で慌てて、おかしな行動を取ったり不適切な言動を後悔したり……あるあるですよね。

相場の場合は、大切なカネの減少に直結します。
資金が「ドカン」と激減する可能性もあります。

儲けるために相場を張っているのに損切りを余儀なくされる──心理的にツラいことです。
だから「当てよう」と気持ちを入れますが、カンタンにかなうことではありません。

とことん理解しているはずですが、まずは現実の認識、ということで、「予測の的中率は非常に低い」という事実に触れます。

上がると思って買ったあと、想定どおりに上がる可能性はどれくらいでしょうか。
「上か下か」で50%というのが基本的な理屈ですが、それよりも低いと考えるべきです。

例えば「3割上がる」と想定したのに1割しか上がらなかった……「しっかり当たった」といえるでしょうか。
想定した期間を過ぎても横ばい……評価損は生じていませんが、少なくとも「当たり」ではありません。当事者としては許したくなりますが、第三者が見たら「曲がり」です。

「当たるものではない」というイヤな現実を、再認識することも大切です。
大切なのは「当てる」ことではなく、「ポジション操作」である──日ごろから述べていることです。

「当たった」「曲がった」の結果を気にしすぎると、ひたすら過去のことに目が向きます。
「あ~あ、買いが早かった」とか「この銘柄じゃなかった」という思考です。

でも私たちは、「未来」を考えます。
今あるポジションは、すでに「やってしまった」ことです。
過去に戻って修復することはできません。

私たちのシゴトは、「現状を認識」して、「未来に向けてポジションのかたちを整える」ことです。あくまでも、未来に向けての修復です。
「戻ることはできない」とふてくされると、「うん、様子を見よう」なんて、やせガマンをしてしまいます。これが大ケガのもとです。

振り返って後悔しているヒマなんて、ありません。
ひたすら未来を見据えて、「このポジションのまま1カ月後を迎えて大丈夫か?」と自問して、反射的なポジション修復というかたちで自答するのです。

今回のブログでは、厳しい現実に“あえて”触れました。
相場に臨むときの気持ち、意識的につくる「マインドセット」を考えてもらいたいと思ったからです。

気持ちを沈めてしまうことが狙いではありません。
「自分はできる!」という、根拠のない自信はゼッタイに必要です。
ただ、「相場を当てることができる」ではなく、「過去をムダに振り返らず、未来のために修復することができる」という気持ちが求められるのです。

誰も、明日の株価を知りません。
マーケット参加者全員が、値動きを見て、自分のポジションを見て悩みます。
そんなところで足踏みするのではなく、「よし、修復だ」と一歩前に出るかどうか──この紙一重の差が結果を決めるのです。

中源線のルールを、いま一度考えてみてください。
「買いだ」と判断した直後でも、「あっ、売りだった」と転換したりします。
臆面もなく、ヌケヌケと言い放ちます。

同じ気持ちで相場を考える度合いが上がれば、とてもラクになります。