「驚異の勝率○○%」なんて宣伝をよく見ますが、それほど当たるものが存在したら、全世界の金融マーケットは崩壊します。勝率を強調した「これを使えばウハウハ」なんて広告を信じても、よい結果は期待できないでしょう。
しかし、「利用価値の高い売買ツール」「使いやすい売買ツール」は存在します。
こういった価値を考えるためには、長所と短所をあわせて見なければなりません。
スポーツでも自動車の運転でも、私たち人間が“自然に行う”ことが正しいとは限りません。すべてが逆、なんてことはありませんが、「ついやってしまう正しくない行動」を修正するのが練習、上達の道であるのは間違いないでしょう。
チェスや将棋、あるいはインターネットのゲームなど、誰かと対戦するようなものは、「ついやってしまう行動」、人間ならではの「あるある」が、駆け引きで対戦相手に利用されてしまうポイントです。
しかしトレードには、直接的な対戦相手がいません。
自分以外のマーケット参加者は全員、競争相手ですが、間接的な関係なので、もっぱら「自分」と「株価変動」を考えれば問題ありません。
とはいえ、その「株価変動」をつくることに「自分」も一役買っているので、正しい行動をさぐるプロセスは、いつでもイバラの道、混乱に混乱が重なると考えておくべきです。
どうやって単純化を図るか──あらゆる分野の王道かもしれませんが、トレードではとくに重要なことだと思うのです。
私たちオトナには、ある程度の経験値があります。
それなりの自信や自負があります。
だから、少し考えて「やりたいこと」を決めたら、積極的に行動に移します。
この行動力、積極的なエネルギーを否定してはいけませんが、経験から「これくらいだな」と感じる力加減は、自信や自負が乗っている分、たぶん“やりすぎ”だと認識してスタートするべきです。
株価変動は、上がるときも下がるときも極端に振れる、その理由は“参加者の感情が加わるからだ”と考えれば、オトナとしては自分の感情を抑えたうえに、さらにもう一段、グッと抑えるのが「正しいこと」「やるべき方向」である、という論理です。
具体的には、売買ルールで「足し算をひかえる」ことです。
例えば、極端な“引き算”をして、「年に1回だけチャンスを見いだせば勝ち組」(1戦1勝=全勝)と考えるとか、とことんそぎ落とすのです。
そうして単純化した状態では、とても冷静に考えることができます。
ほかの参加者が混乱している部分が、くっきりと見えるのです。
そのあと、「これは足してもいいかな」と確信できるものだけを少しずつ足すようにすれば、適正な力加減が生まれる──こんなプロセスを目指してほしいのです。
今回のタイトルは「勝率を上げるな!」というもの。
「やりたいこと」の正反対です。
でも、先ほど挙げた「年に1回だけチャンスを見いだす」という思いきった考え方ができれば、「その1回を必然の勝ちにする」ことで「勝率100%」が実現します。
最初の入口、ちょっとした進め方によって、ちゃんと「やりたいこと」が具体化すると考えてください。
―4月11日のブログにつづく―