ケータイが鳴ってもいないのに、「ポケットの中でブルッた」気がする……。
「ファントム・バイブレーション・シンドローム」(幻想振動症候群)と呼ばれる錯覚ですが、「電話がかかってきたら出なくちゃ」と気にかけていることが原因です。

「あれっ、熱っぽい?」
「息切れがする?」
「そういえば怠いかも……」


少し前なら、新型コロナ感染を気にして「あれっ」となる瞬間がありましたよね。
注意は大切ですが、錯覚で精神的に疲れてしまいます。

錯覚は“よくないもの”とされていますが、実はちょっとした「思い込み」が私たちの行動を支えています

なにかの技能を身につけたいときは、「できないわけはない」と考えるべきですよね。「自分にはムリかも」なんて現実的に計算してしまうと、前進するエネルギーは生まれませんから。
「オレに惚れない女はいない」とか「オレは空を飛べる」なんてものは、「妄想」という言葉のニュアンスどおりに否定されますが、私たちの活動に“必要な妄想”があるということです。

オススメ銘柄の情報を見つけた!
「これは儲かりそうだ」と思って買った。
動きがいまひとつ……どうしようかと迷う・・・

“相場あるある”の迷いです。

誰も、「明日の値段さえわからない」のが真実です。
だから、「自分の確信から少しでもズレたら、コントロール不能に陥る」というところが、根本的な問題なのです。

「確信と言われてもなあ……」
こう感じるでしょうか。

気負わずに考えてみましょう!

誰も明日の値段さえわからない、だから自分もわからない──この状態で「確信とはなに?」ってことが“トレードのツボ”なのです。

プロのファンドマネージャーだって、百戦錬磨のベテランだって、同じように「明日の値段さえわからない」のですから、制約のある個人投資家が背伸びしても意味はありません。
「気楽に“妄想”すればいいのだ!」と、開き直ってみましょう。

周囲の意見を気にせず、自由に考えてみればいいのです。

といっても、例えば「仮想通貨で50万円が1億円」なんて、バカげた妄想はいけません。株で「常に年間2倍」なんていうのも、いただけません。

「オレは空を飛べる」と同じです。

ちゃんと、実現可能な妄想をするのです。

「半年下げて、下げ止まっている」
「この銘柄は動き出すと早い」
「このあたりで仕込んで、半年で5割取れる」

どれも最後に「と思う」がつくのですが、タイムマシンがない限り当然です。
この「実現可能な妄想」が、トレードで行動を起こす原動力です。

現実の値動きを理解したうえで、「こうなる可能性がある」とリアルな想像をすれば、それは夢物語ではなく、ちゃんと可能性を秘めた、まっとうな作戦なのです。

「希望的観測」と言えばそれまでですが、他人の情報に依存している状態とはちがうので、トレードを展開していく大切な基準として大いに役立つのです。

妄想通りに展開した場合、「もう少しねばろう」といった確信ある対応を思いつきます。逆に、見込み違いの場合、「今回はちがったな」と新しい確信が生まれます。
行動のコントロールを失わずに、悔いのない決断を下すことができるのです。