株式投資について、個人投資家にゴール(達成目標)を質問すると、次のような回答がけっこうあります。
- 1年間で資金を2倍にする
- 5割上がる銘柄を80%の確率で当てる
もちろん、ムチャな望みです。
そして、それなりに慎重な人でも、いささかムリな計算をします。
常識的で、特に山っ気があるとも感じられないオトナが、「自分の大切なカネだから」と丁寧に対応しているはずなのに、ついやりすぎてしまう……たぶん、株式市場の構造です。
だから、「自分は大丈夫」なんて思わずに、林投資研究所が提唱する「50%」を考えてください。なにもかも50%に抑えて売買する、ということです。
それじゃあ儲からない……こう感じたとしてもフツーです。
でも、少しだけ耳を傾けて、「50%にすると、どうなるかな?」と想像だけしてみてほしいのです。
そもそも、みんなで競争しているので、「上か下か」と二分して予想が当たる確率は50%です。この現実を素直に受け入れていたとしても、「半分は当たる」という認識にとどまります。この時点で、すでに、計算に誤りがあるのです。
実際、買った銘柄がどうなるかは、
- 予想的中で上がる
- 予想が曲がって下がる
- 全く動かない
の3通りあると考えるべきです。
これだけで、予測が当たる確率は33.3%です。
「半分は当たる」(的中率50%)を、さらに半分の「25%」にしたほうが、現実に近いのです。
現実の当たり外れが50%だとしても、結果は偏るものです。
2連敗、3連敗……こんなこともカンタンに起こり、「半分は当たる」という認識では処理できなくなるのです。
このように、現実の計算をして導き出される、とてもつまらない結論こそが「真の理想」、実践者として目指すべきゴールです。
マーケット参加者にありがちな心理のひとつは、「もっともっと」です。
上昇に乗って儲かったら、すぐに次のターゲットをさがします。
「もっと儲けるんだ!」と力が入ります。
残念ながら損をしたときは、「もっと上手にやって取り返すぞ!」と気合いを入れます。
期待以上の値幅を取って利益を確保すると、「もっと買っておけばよかった」なんて……。
こうした心の声に素直に従うと、そう遠くないうちに大きな損を経験します。
そのうえ、売買の進め方が乱れます。「手が荒れる」状態に陥るのですが、自分で気づかないから、もっと荒れてしまうのです。
成功したときに、「もっと買っておけば」とつぶやくのは自由です。
「うまくいった」「うれしい」という気持ちに対して、照れ隠しのように独り言を放つのも自然なことです。
ただ、本気で「もっと」と考えて、次によさそうな銘柄に出会って株数を増やしたりするようだと、非常にキケンな路線です。