底値をズバリと当てる、天井をビシッと言い当てる……誰もがあこがれる理想の結果ですが、実はプレーヤーが目指すべきことではありません!
トレードの本質は、一歩遅れてもいいからトレンドの変化を検知し、サッと行動に移すことです。
難しいワザではなく、シンプルな判断と素早い行動によって、プロのトレードを実現できるのです。
「フィッシング詐欺」というものがあります。
偽のメールで偽のWEBページに誘導し、パスワードなどの個人情報を入力させる手口です。
なかには、大手企業のものと見分けがつかないほど高いクオリティのものがありますが、「こんなお粗末なメールにだまされるヤツいるのか?」と感じる幼稚なものが大半です。
でも、笑ってはいけません。
実際にだまされる人間がいるから、詐欺業者もせっせとメールを送りつけるのです。
見極める目をもっている、と自認する人ほど、巧妙で大規模な詐欺に引っかかるのかもしれません。
実際、株式市場にまつわる情報には、立派なオトナ、経験豊富なビジネスマン、事業で成功している経営者までもが振り回されています。
個別銘柄が日々、さまざまな値動きをみせる株式市場。
すると、例えばタイミングが少しズレて動意づく個別銘柄に、ちょっと秘密っぽい関連性があったりします。
実は、これらはすべて錯覚。
錯覚でなかったとしても短期間で消失する法則なのですが、多くの人が“まことしやかな後講釈”を真剣に読んでいるのが実情です。
多くの人が「情報弱者」「情報難民」のグループに足を踏み入れています。
だから、オトナの読み物のはずなのに、「次はこれだ!」とか「第二の〇〇」なんて言葉が踊っているのです。
先行指標がほしい……切実な望みですが、それがあったら市場が崩壊します。
いや、現実には先行指標が生まれては消えているのかもしれませんが、とにかく、継続的に使える秘密のサインなんて、どこにも存在しないのです。
だって、経済の中では、株価そのものが最大の先行指標なんですから!
バブル期には、それを象徴するわかりやすい事例がたくさんありました。
例えば「ジオフロント構想」。
地価の高騰を背景に生まれた、地下都市と地下都市を結ぶ巨大なトンネルの構想です。
「50年先に実現する」という説明で、トンネル工事の会社などが買われたのです。
業種ごとに天井をつけた時期を見ても、面白いことがわかります。
土地の価格が崩れ始めたのは90年代ですが、日経平均の高値は89年末。
しかし、多くの個別銘柄が高値圏に達して伸びにくくなったのは、ざっくりと88年です。
そんな中、バブルで最も恩恵を受ける業種のひとつである金融株が天井をつけたのは87年の春でした。見事に“先行”しています。
どんなときも、大なり小なり、このような「理想買い」が起こるのが株式市場の実態です。
しかし、どれだけ先行するかを計る方法はありません。
強いて言えば、「秘密がないのが秘密」なのでしょう。