感情の振れが激しいのは問題ですが、感情を揺さぶるものに人間は魅力を感じます。
例えば遊園地には、日常にない激しさを感じるジェットコースターや、恐怖を楽しむお化け屋敷があります。
映画やドラマ、あるいは、小説でもマンガでも、ストーリー進行に適度な“山”があるからワクワクするのです。
本題に戻り、トレードにおける感情を考えます。
例えば買いポジションを持っているとき、上がればうれしいし、下がればおもしろくない……当然の感情ですが、その感情が大きい場合、つまり「有頂天」と「落胆」が交互にくるようでは落ち着いた行動を取れません。
「上がったよ! 来週あたり、別荘でも物色するか」とか、「あ~下がりそうだ……世の中、いいことなんてなにもないよ」などと、プラスの方向でもマイナスの方向でも、感情を過度に膨らませるべきではないのです。
だから、トレードにおける感情の振れ幅は、小さいほどいいのです。
遊園地や映画鑑賞のように「感情の振れを楽しむ」ものではなく、冷静さが要求される“カネ儲けのシゴト”ですから。
上の図は、中源線の基本的なロジック(判断基準)を示しています。
「買っている」状態なので、利益になる上げの動きを「順行」と呼び、下げを「逆行」と認識します。
不思議なもので、こうして名前をつけただけで、順行=うれしい、逆行=イヤだ、という感情が少し薄くなります。そして、プレーヤーにとって重要な“次の一手を考えるシゴト”に気持ちが向くのです。
「上がると思ったのに下げた・・・もう、見ないでおこう」
こんな態度には陥りにくいということです。
中源線は、情報を価格だけに絞ったうえで、さらに、「終値だけ」に絞り込みます。
シンプルに株価の“流れ”を読み、“次の一手”を判断しようとするわけです。
こうしたパターン分析で、「逆行と逆行の組み合わせ」が陰陽の転換、つまり強弱判断の切り替えにつながります。
上がった相場が「下げそう」な流れならば、買いポジションをゼロにしてドテン売りにまわります。ただし、常に3分割の1単位ずつが原則で、丁寧に、少しずつ操作することに徹するのです。
さて、「感情をもたない」のが理想ですが、そんな人間はいません。
いや、まれにですが、トレードにおいて一切の感情を排除できる人がいますが、平均的な人が目指す姿ではありません。
買っていて上がったら「よしよし」、下がったら「そうか……」と感じればいいのです。ただし、「下げが続きそうなら、損益にかかわらず切る」と、的確な“次の一手”を打てることが前提です。
「感情」と「行動」を切り離す、全く別のものと位置づけるのです。
私たち投資家が過去のチャートを見ると、「それが未来に起きたら」と想像します。
実際に売り買いしていないのに、よろこびや落胆の感情が発生します。
一種の“バーチャルリアリティ”ですね。
「きれいに当たるときだけトレードできないか」
「うまく銘柄を入れ替えていけばいいのか?」
「せめて、転換ごとに上手に評価して、出動の可否を考えるか」
これが、「当てよう」とする思考です。キケンです。
「当てること」を放棄して、3分割のポジション操作で結果を出そうとするのが中源線です。「損小利大」の原則を守った、適切な手法です。
その中源線を利用しながら、個々の転換の勝敗を「当てよう」なんて・・・
とりあえず3分割の1単位だけ出動したあと裁量で切ってしまう、といった使い方は問題ない、というか基本の範囲内ですが、いきなり当てようというのはムリです。
ムリな思考を大切にすると、次第に“相場難民”化します。
ヤバい情報商材などに引っかかるかもしれません。
適切に絞り込んだ情報に“自らの評価”を加えることで、再び未整理かつ大量な情報が生まれます。
「最もアブナイ投資情報は、自分の頭の中にある」と考えてください。