市況解説には注意が必要、不用意に読んではいけない──私が常日ごろから強調していることです。

市況解説は、その日の値動きを、後講釈で、ドラマ仕立てに語っているだけです。
紙面の都合で数千銘柄の動きに言及できないため、適度な長さの文章を作るために観点を絞ります。その観点は、日替わり定食です。

書いている記者に悪意はないのですが、必然的にそうなるのです。
だから、プレーヤーが読むべき内容ではない、うっかり読んで無防備に情報を受け取ってはいけない、ということです。

しかし現実には、プロでも、優秀な一般投資家でも、その日の引けを見ながら「明日は安いな」とか「明日も高いだろう」などと想像を巡らせるものです。
では、その予測は当たるのでしょうか……。

人間には、「忘れる能力」があります。
あらゆることを記憶していたら、楽しい思い出だけでなく、恥ずかしくなるような失敗まで頭の中に残って精神的な健康を維持できないので、“害になることは忘れる”自己防衛の本能をそなえているのです。

だから、「明日の相場は……」と頭に浮かんだことについて過大評価し、それほど当たっていないにもかかわらず、「まあまあ、かな?」くらいに感じているということです。

人間の脳がそんなカラクリなのに、多くの実践家が「曲がってばかりだ!」と認識して嘆きます。
ということは、現実では「曲がりまくっている」ということです。

「試しに記録をとってみよう」などと、考えないほうが身のためです。
現実を突きつけられたら、イヤになってしまいます。

そんな状況下、どうにかこうにか損益という結果をコントロールするのが、トレーダーのおシゴトです。そして、それなりの成果を上げる可能性を、誰もがもっています。

ポジション操作によって、損を抑えて利益を伸ばす「損小利大」を試みるのです。



「予測が当たれば儲かる」という方程式は成り立ちません。
しかも現実は、当たったり外れたりなのです。

見込み違いの損失を抑えると同時に、「大きなうねりに乗る」「当たった予測を育てる」という発想が大切だと考えるのです。