現時点でのポジションに不安を感じながらも、切らない、減らすこともしない。
魔法の言葉「様子見だ」を武器に、くさいものにフタ、瞬間的にラクなほうを選ぶ“先送り”です。

なにもしない、つまり「ポジションそのまま」という状況は多いと思います。
かなり短期売買でない限り、毎日のように売ったり買ったりはしないでしょう。

では、実際に「ポジションを維持」というとき、単に「なにもしない」と軽く流すのではなく、「“なにもしない”と決断した」「ポジションを動かさないという“一手”を自ら選んだ」と定義してください。

売買は、誰にも強制されない、自分の自由意思です。
だからこそ、「なにもしないんだ」とハッキリ、心の中で言ってください。

私は、林投資研究所の「中源線建玉法」をすすめていますが、こういった部分が明確になるという大きな利点があるからです。

日々、終値をチェックして場帳を記入し、それからチャートに1本の線を描き足す。
そして翌日の売買がない場合、「法示(ほうじ、=売買シグナル)なし」とハッキリ確認する作業があります。

実践家としての理想的な対応を、いやでもなぞることになるのです。
ペン習字を習う人が、教科書に薄く印刷されたお手本の字をペンでなぞるのと同じで、正しいやり方を効率よくインプットする効果があるのです。

個人投資家は自由です。
社会的なしがらみはなく、行動はいっさい制約されません。

そのかわり、ひとり数役をこなす、ちょっと器用な対応を求められます。
売買する自分(プレーヤー)、それを管理する自分(コーチ)、戦略の土台を見直す自分(監督)、等々、意外と複雑なことをしているのです。

取れるときは取るべきです。
小幅の利食いに徹するのが手堅いわけではありません。
だから、攻めていくべき場面もあります。

ところが、そんな気持ちを抑えたりコントロールする“もう1人の自分”も必要です。
ファンド運用で分業化されている各種の業務、例えば、アセットアロケーション(資金配分の計画)、銘柄選別、調査といったことを、すべて単独で行うのが個人投資家のシゴトです。

感覚を駆使して自由闊達(かったつ)に行動できるといっても、意外と緻密な行動計画や見直し作業が必要だと考えるべきなのです。

マーケットでは日々、さまざまな変動が起こっています。
だから、すべての変化に合致する方程式はありません。

「あと少し精度を上げたい」「もう少し詰めたい」という切なる思いを少し抑え、最大公約数的な行動スタイルを確立しないと、常に右往左往することになります。

急落する可能性はあるか、急落したらどう対処するか……こう考えてデンと構えていたいのですが、わずかにラインを超えて“恐怖”の状態に陥るのが人間の弱さです。
「急落したらどうしよう」
「急落しないでくれ~」

徹底して計画通りにトレードする、そのための一歩として「自分を型にはめて行動する」のが、制約を受けない立場の個人投資家が行うべき“タスク”なのです。

好き嫌いはあるので「万人向け」と言いきる気はありませんが、中源線は、ブレない基準で「型にはめてくれる」実践的な手法です。