「経歴・学歴詐称」について思うこと | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...





先日、日本人のお友達とランチに行った時に「経営コンサルタント」の経歴・学歴詐称に関するニュースが話題になりました。


早速、家に帰って検索して、色々と記事や動画まで漁ってしまった私。


面白かったわあ。


こういう人の心理っていったい、どういうしくみなっているんだろう?最初はちょっとしたホラのつもりがだんだん、引っ込みがつかなくなったり、そのうち自分でも本当だって信じ込んでしまったりするのかな?


まあそれはさておき、今日のこの記事で言いたいのは:


ある人が自分の学歴に欧米の大学の名前を掲げている場合、気を付けるべきなのはその人がその大学を卒業したのか、「学位」を取得したのかどうか、という点です。


一般的にも知られていることですが、日本の大学は入るのが難しい、欧米の大学は卒業して学位を取るのが難しい。


なので必ず、聞いてみてください。


卒業しましたか?取った学位は何ですか?



もう少し突っ込んで聞く必要がある場合もあります。


友人が自分の娘の目指しているスイスの有名なホテル学校について情報を集めていた時、日本でその学校を「首席の成績で卒業した」という方に出遭ったそうです。


でも、どうも話を聞いていく内に、その留学期間が短い事に疑問を持った。


よくよく質問してみると、確かに同じ大学ではあるのだけど、四年間かかる「Bachelor's program」ではなく、二年で修了できる「Diploma Program」だった、と。

もちろんディプロマ課程を修了することも立派ですが、四年制の大学課程との違いはあります。でも普通はよっぽど大学の様々な課程について調べていない限り、分からないですよね?そして「わーすごい」と感心して、その人の学歴は「何々大学を首席で卒業した」っていう所だけが印象に残る。



もう一つ、特に北米の大学に関して注目すべき点は、入学時に与えられる「奨学金」です。日本では何となく奨学金と言うと「経済的な援助」であるというイメージですが、こちらではScholarship, Award, と言うと成績優秀者に与えられる非常に名誉なもの、と捉えられています。


そしてもちろん、その額が高ければ高いほど成績が優秀だった、ということになります。


大学院ともなると理系では特に、プロスポーツのドラフトさながら有望な学生には数多くの大学が「勧誘」に来ます。主人の姉の長男は化学が専門ですが、大学院への進学を考える段になって東はハーバード、西はスタンフォードからそれぞれ飛行機代やホテル代、滞在中の全ての費用が提供されてキャンパスで歓待される、という待遇を実際に受けました。もちろん、「うちに来てくれた暁には学費は免除、生活費も支給するし、ティーチング・アシスタントとしての仕事も与える」という約束付きです。結局、彼はハーバードに行き、博士号を取得しました。(ホンマでっか?と言いたくなるような話ですが、ホンマです。)


これは大学側にとって、優秀な学生に来てもらうことが学校の名を上げるのに貢献する、という考えからでしょう。外部からのスポンサー提携にも有利だし、政府からの助成金も取りやすくなる。そしてさらに良い学生が入学を希望して来る。


なので同じ有名校を卒業した、という中にも(奨学金をもらって入学したのかどうか、という)序列があるのは知っておいても良い点かなと思います。


でもそういった細かい事情は意外と知られていないので、大学の名前だけで学歴に拍が付く。そこを大学側も利用している傾向はあります。


日本の友人が自分の子供の「留学」のパンフレットを持ってきたので目を通すと、イギリスの有名なC大学の「サマーコース」でした。パンフレットの最後には「この課程を修了したからといって、うちの大学の本課程に入学できるということではない」と書いてあります。つまり、これは単なる「お試しプログラム」であって、その大学で学ぶという疑似体験ができる、ということなのですね。


でもそのサマーコースを修了後、履歴書には「C大学留学経験あり」と書こうと思えば書ける。


これはもう個人個人の良識に任される問題です。冒頭の経営コンサルタントさんの場合はもちろん、度を超えて学歴だけではなく、経歴まで詐称しているのでどーしようもないレベルですが。


しかも事の真相を調べるのは一般人にはできにくいかも知れませんが、企業が雇う場合、それくらいはするべきでしょう。週刊誌にできることがどうして大手のテレビ局でできない?



私はというと、自分の学歴や仕事に関して話すときはたいてい、「盛る」の反対の方向に行ってしまいます。だってその方が気楽だから。


あまりにも素敵なイメージを作り上げてしまったら、それに見合うように振る舞わないといけなくなるからしんどいじゃないですか?特にそれに虚構も交えていたなら、恐ろしくて夜も眠れなくなりそう。誰かに見透かされるんじゃないか、大したことないのに何言ってるんだろ、って怒られないか、とビクビクするなんて絶対にいや。


それに関西人って「自虐傾向」がありますからね。どうしても自分を下げて、笑いを取ろうとする、哀しいサガでもあります。


今日もコンサルタントさん関連のニュースを追ってしまいそうです。