カルガリー行きの飛行機の中で観た映画:"La famille Belier" | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...




スケートカナダに行くために乗ったカルガリー行きの飛行機での出来事だった、という以外


全くスケートとは関係のない記事です。


このフライト中に観たフランス映画が思いのほか、すごく良かったのでいずれおすそ分けしたいと思っていたところ、奇しくも現在、日本で公開中ということで急いでこの記事をアップしました。


映画のタイトルはフランス語で: LA FAMILLE BELIER (=ベリエ家の人々)



映画の日本公式サイト




(予告編)



邦題が「エール!」と知って、その意味を考えてみたんですが、「エールを送る」っていうことなんだろうか思ったら、公式サイトのURLからすると、どうやら「AIR=空気」っていうことらしい。




あらすじ、というか設定としては、フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家の人々が中心となっています。


この一家は両親と息子がろうあ者、その中で長女ポーラだけが耳が聞こえ、しかも歌の才能があるということがある日、判明する。パリで歌の勉強をするように、と学校の先生に勧められた彼女はとても悩むのですが、とうとう、決断の日がやって来る。。。




コメディなんだけど、そこかしこでドラマチックになったり、泣かせるような場面もあったり、なかなか良い感じに仕上がっています。フランスでは大ヒットした映画だそうです。


なお、この映画の中ではたくさんの歌が使われているのですが、そのほとんどは私が再三、このブログでご紹介しているフランス歌謡界の重鎮、ミシェル・サルドゥー (Michel Sardou) のものなのです。しかも私がかつてフランスで育った時代の懐かしい曲も含まれていて、それも私にとってこの映画を印象深いものにしているのだと思います。



映画のクライマックスでポーラちゃんが歌う「Je vole (飛ぶ)」というタイトルの曲など、それはそれは効果的に使われています。


(と、ここまで書いてて、題名の「エール=空気」がこの曲名と関係あるのかな、とやっと気づきました。)


ちょっとビートルズの"She's leaving home"とも共通する部分があって、要するにある日、親に黙って家を出て行く若者が残して行く歌なんですね。



それがなんとも物悲しくて、でも希望に満ちていて、ジーンと来ました。



映画のバージョンとサルドゥーのオリジナルはかなり違っていますが、主な意味合いは保たれています。
(そこへ行くと、日本語版は。。。うーん、微妙)



サルドゥー版の歌詞のさわりだけをご紹介すると:

Mes chers parents je pars
Je vous aime mais je pars
Vous n'aurez plus d'enfant
Ce soir

Je ne m'enfuis pas je vole
Comprenez bien je vole
Sans fumée, sans alcool
Je vole, je vole


大好きな父さん、母さん、俺は行くよ
愛してるけど、行くよ
この家には子供がいなくなってしまうけど
今晩かぎりで

逃げるんじゃない、飛ぶんだ
分かってくれるかな、飛ぶんだ
薬とか酒なんかじゃなくて
飛ぶ、という感覚


C'est jeudi il est 5 heures 5
J'ai bouclé une petite valise
Et je traverse doucement l'appartement endormi
J'ouvre la porte d'entrée
En retenant mon souffle
Et je marche sur la pointe des pieds
Comme les soirs
Où je rentrais après minuit
Pour ne pas qu'ils se réveillent


木曜の朝、5時5分
ちっちゃな旅行鞄にカギをかけて
寝静まったアパートをそっと横切る
玄関のドアを開ける時
息をつめた
爪先立って歩いたりして
朝帰りをして
親を起こさないように、と
思いながら戻った時みたいに

Hier soir à table
J'ai bien cru que ma mère
Se doutait de quelque chose
Elle m'a demandé si j'étais malade
Et pourquoi j'étais si pâle
J'ai dis que j'était très bien
Tout à fait clair
Je pense qu'elle a fait semblant de me croire
Et mon père a souri

昨日の晩、食卓で
どうやら母親は
何か感づいていたようだった
具合が悪いのかとか
なぜそんなに顔色が悪いのかとか
聞かれたけど、
どこも悪くないよ、と
平然と答えた
信じるふりをしてくれたんだと思う
そして父親はただ微笑んだ






映画の中の主人公、ポーラちゃん(新人歌手ルーアヌ・エメラさん)が歌うバージョンも良いのですが、あまりにもネタバレとなるため、ここではオリジナルの歌を(ライブ映像で)貼り付けておきます。


この頃のサルドゥーはまだ35歳、良い声だわー。。。



さあ、フランス映画がお好きな皆さん、急いでお近くの映画館の上映時間を検索してお出かけください。絶対に泣けます。








Michel Sardou "Je vole" (1983 Live)