PICU 小児集中治療室① | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『PICU 小児集中治療室』(2022)

月曜21時〜フジテレビ系列 1010〜

 

脚本 倉光泰子(『恋する香港』『tourist』他)

演出 平野眞

 

吉沢亮、安田顕、木村文乃、高杉真宙、生田絵梨花、菅野莉央、高梨臨、甲本雅裕、中尾明慶、正名僕蔵、松尾論、大竹しのぶ、菊地凛子、他。

 

 

【1話目あらすじ】※個人解釈による

 「北海道に子供のためのICUを!」


2019年、これから研修が始まろうとする医者の卵、志子田武四郎(吉沢亮)矢野悠太(高杉真宙)河本舞(菅野莉央)、武四郎が想いを寄せているバスガイドの涌井桃子(生田絵梨花)とで美瑛にキャンプに来ている。四人は幼馴染み。カヌーでひとしきり遊び、お腹がすいたからとサイクリングがてらコンビニを目指す…その途中で、同じ美瑛にロケに来ていた朝ドラの子役星野沙羅(諏訪結衣)が車の後部座席で苦しみながら運ばれているところを目にする武四郎。その後、湖のほとりで食事のしたくを始めた時、悠太が星野沙羅が亡くなったというネットニュースをみんなに見せる。(そもそも医者になろうとする動機は不明だが)人の生き死には絶対無理という武四郎は「さっきまで生きてたじゃん…」とショックを受け、また、かっこつけしいだから泣くところを見られたくないために「暑い」と言って湖に入り泳ぎだす…。

同じ頃、妊婦の札幌共立大の救命救急医綿貫りさ(木村文乃)はそのニュースを自宅のテレビで見ていた…。

 

3年後、実家から通えるというだけで決めた丘珠病院で武四郎は小児内科医に、舞は小児外科医に。悠太は奨学金を受けてる都合から網走の病院で救命医に。桃子は武四郎の母親南(大竹しのぶ)と同じバスガイドを続けながら子供を宿した妊婦になっている。武四郎はイケメン枠ということもあり看護師らにもまあまあ(いいようにダシにされ)、優しく柔らかさもあるので親受けもそこそこ(でも看護師にはつっこまれるよう)な小児科内科医になっていた。

ある日、武四郎に辞令が降りる。小児科長の鈴木(松尾諭)は栄転というが、同じ病院の新設部所「PICU小児集中治療室」への異動だった。丘珠PICUは、これまでいくつものPICUを開設してきた医師植野元(安田顕)が、道知事鮫島立希(菊地凛子)の依頼を受けて新設したもので、土地柄医療用ジェット機運用をも見据えている。

PICUメンバーは、植野、3年が経ち子供の存在はなく裁判で係争中のわけあり救急救命と揶揄されている綿貫、植野の下で長野と東京のPICUの看護師をつとめヘッドハンティングされた羽生仁子(高梨臨)、そして武四郎のたった四人。でも、まだまだ新米医である武四郎は使い物にならないと医師としてカウントされてないようなチーム…そんな状況で植野はこのPICUを作るきっかけともなった星野沙羅の件を例にミーティングを始め、いかにPICUが必要であるかを説く。

 

そしてついに、患児神崎鏡花(磯村アメリ)が遠くから搬送されて来る。まごまごして手も足もおぼつかない武四郎に反して、ERからの救命医東上宗介(中尾明慶)、麻酔医の今成良平(甲本雅裕)、小児外科長浮田彰(正名僕蔵)らが手際よく意見を交換しながら処置を進める中、鏡花が吐血する。その血が顔にかかり、茫然自失する武四郎…。

結局鏡花は亡くなってしまった。その気持ちのおさめどころもつかめぬうち、「みんなの記憶が新しいうちに」と植野はミーティングを始める。たんたんと、しかし的確に状況を判断し意見交換していく医師たちに、なぜそんなに冷静でいられるのか感情が爆発する武四郎。だからこそ今、必要であることを植野は説く。もし、PICUがあって、道内の病院医師らに周知できていたら、もしかしたら救えたかもしれない…と。

 

落ち着いたところで植野は武四郎を誘って鏡花を最初に診た稚内の山田透(イッセー尾形)医師の個人病院へ行く。誤診であったがため、山田医師は迎え入れ一番にひざまづき謝罪するが、そうではなく、話しを聞きに来たことを伝える植野。山田医師はもう老齢だし、医療器具もだいぶ古い。植野は診察状況聞き取り、またそれに合わせたアドバイスはもちろんだが、PICUの存在を伝えることを目的に来たのだ。

その帰り、自分がいかに非力か実感した武四郎の泣き言に対して一通の手紙を見せる。その手紙が道知事鮫島の心を動かしPICUを作る決心をさせ、植野もまたその手紙の主の熱さに心動いた一人だった。それは武四郎が書いたものだった。

 

 

【感想】

 

ファンゆえの難点で、視聴1回目は物語をちゃんと追えず、吉沢亮ばかり見てたという…そのせいか、小児科医としてやっていこうと決めたきっかけとなったのが子役の沙羅ちゃんが亡くなったということに弱さしか感じなかった。でも、改めて2回目冷静に見てみても弱い。いくら生き死にが無理という前提があってもだ。せめて車の中の苦しむ沙羅ちゃんとチラッとでいいから目が合うベタさがドラマとして欲しかった。だって、どう書いたか明らかになってない手紙の文面の負荷が上がるから、もし、手紙の内容に道知事鮫島や植野医師を突き動かすほどの表現と整合性がなかったら…と余計な心配をしてしまったもんで。武四郎が夕飯の支度をしてるところへ桃子がやってきて、妊娠もしてることなどそういう姑息な思わせぶりはできるのに、もっと重要な演出が足りてないのはどうなの?と思ってしまった。まあ、これから埋めていくのだろう。

あと、仏壇の遺影が不自然に目立つのは何かあるんだろうか、単に父親はとうに亡くなってるということか。

丘珠病院と札幌共立大との折り合いが悪いという話も有り、PICUを軌道に乗せるのに何かありそう。

 

武四郎の性格は母親との会話でとらえられようできてるのはまあ良かった。エピソード入れると散漫になりそうだから。患児への対応、その親への対応、看護師とのやりとりで軽くつかめるようにもできていたし。そういえば、山田医師のもとへ向かう列車で食べることができなかった駅弁を、帰りのホームでやっと開くというのも性格がわかる一コマ。緊張は若さもあるか。

医療用ジェットを飛ばすということで、自然につつまれた北海道の広さを感じるには充分な演出だった冒頭のキャンプ。沙羅ちゃんを乗せた車が病院へ着くまでの時間と自転車でコンビニに向かう武四郎らの所要時間が同じ1時間という、僻地感。朝ドラの内容も時間をかけて大八車で母親を連れていく場面だし。1話目ではPICUの必要性を描いたのだと思う。あとは人物紹介。綿貫はきつく厳しい人、羽生はムードメーカー。

 

沙羅ちゃんを運ぶ車を運転するAP小林(土井玲奈)の表情が沙羅ちゃんの異変とともに変化していくのがリアルでとても良かった。また、母親役の入山法子もステージママというほどではないけど子役のママっぽくてとても良かった(『雪女と蟹を食う』はひどかった)。

イッセー尾形の山田医師の老齢ながら(だからこそか?)狡猾な面も良かった。戸棚には手書きのカルテやノートが並ぶ。患者とは真摯に向き合っていたということとも取れるが、刷新することのない医者に進歩はない。だから植野も相談するようにと強調したのだろう。

菊地凛子の道知事が弱い気がしたけど、これから良くなるのかな。

奨学金を受けて苦労して医者になった悠太の闇が気になる。高杉真宙はウィッグかな?もう少しいいもの作って欲しいけど、何か意図があるのだろうか?

 

以下、ファン目線。

入浴シーンはご褒美かと思うくらいきれいで弱った。『さくら』を思い出す。

泣きの芝居が秀逸。眼力ありすぎる。目の演技がみごと。実際は知らないが、鏡花ちゃんが亡くなってからのミーティングで武四郎が泣くところ、それに応える安田顕の涙はもらい泣きではないだろうか?そんな気がした。

良い役者って共演者を乗せられるような気がしてる。相手を動かせる芝居ができる。相乗効果だ。吉沢亮にはその力があるように思う。実際現場も脚本も見たわけじゃないから知らんけど。


大河ドラマでは年齢とともに外も内も成長する渋沢栄一を見せてくれた。頼みの綱は脚本だけだったろうに(演出ももちろんあるが)よく演ったなと感心しきり。ライブ感のある役者なのかも。

おそらくこの志子田武四郎は医者としての等身大の成長を見せてくれるんじゃないかな。