先月市川ぼたんを襲名した麗禾ちゃんを歌舞伎座の舞台で見たい!

 

との気持ちから、このブログでは明治から現代にいたる歌舞伎役者の息女14人を取り上げ、彼女たちがどのような歌舞伎に出た前例があるのかを調べてみました。

 

すると意外なことに、今よりも1970年代(昭和40年代)までのほうが、女性が歌舞伎に出ることが多く寛容だったようです。

 

また、女性は大人になったら歌舞伎に出られるのか?という疑問ですが、過去の上演記録を見ると大人になってから歌舞伎に出演する例がいくつもありました。

 

時代を追って見ていきたいと思います。

 

明治

1.二代目市川翠扇(1881年/明治14年生まれ)と二代目市川旭梅

九代目市川團十郎の息女。

 

長女實子が12歳の時、二女富貴子と枕獅子のお稽古をしているのを見て、九代目團十郎が「春興鏡獅子」を思いついたという話はよく聞きますね。

 

(↑写真は「演劇界」2017年1月号より)

 

實子が12歳の時、九代目市川團十郎が「春興鏡獅子」を初演し、2人は胡蝶として歌舞伎座に出演します(1893年/明治26年3月)。

 

(↑写真はWikipedia春興鏡獅子より)

 

錦絵にもたくさん描かれます。すごーい。

(↑画像は和田修「鏡獅子の成立」1988より)

 

(↑画像は和田修「鏡獅子の成立」1988より)

 

實子が28歳の時には、歌舞伎座で行われた五代目尾上菊五郎追善興行の口上に2人で出演。(1909年/明治42年2月)。九代目團十郎亡き後、市川三升が歌舞伎界入りするまでの8年間、20代のうら若き女性が2人で家を守り、團十郎の代わりとして出演していたことを知り胸が熱くなりましたえーん

 
 

(↑画像は日本芸術文化振興会websiteより)

 

また、實子が36歳の時には歌舞伎座で行われた九代目團十郎十五年祭の口上にも2人で出演します(1917年/大正6年11月)。

 

實子が51歳の時も歌舞伎座で行われた九代目團十郎三十年祭に出演します(1932年/昭和7年)。

 

(↑写真は三代目市川翠扇「九代目團十郎と私」より)

 

 *次女ふきこは錦絵によって富貴子とも扶伎子とも書かれています。

*Wikipediaには實子の生年が1888年と書かれていますが、これは誤りで正しくは1881年のようです。

 

 

大正~昭和

2.三代目市川翠扇(1913年/大正2年12月生まれ)

五代目市川新之助の息女。

 

5歳の時に、九代目團十郎十五年祭の口上に出演します(1917年/大正6年11月)。

 

(↑写真は市川翠扇「九代目團十郎と私」より)

 

16歳で歌舞伎座にて初代市川紅梅を襲名。十五代目市村羽左衛門と六代目尾上菊五郎の「戻り駕」で禿を演じたのは先月のブログにも書きました(1929年/昭和4年)。

 

(↑写真は市川翠扇「九代目團十郎と私」より)

 

その後は歌舞伎座で守田勘弥の「切られ与三」の女中などにも出演。

 

19歳の時には、歌舞伎座で行われた九代目團十郎三十年祭に出演。市川三升の「解脱」で腰元を勤め、六代目菊五郎の「鏡獅子」で胡蝶でを勤めます(1932年/昭和7年)。

 

(↑写真は市川翠扇「九代目團十郎と私」より)

 

20歳の時には、明治座で實川延若の「西郷と豚姫」に出演し、舞妓を演じます(1933年/昭和8年5月)。

 

(↑写真は市川翠扇「九代目團十郎と私」より)

 

*ちなみに、当時六代目尾上菊五郎には、一般人出身の女性の弟子、尾上菊子と尾上菊枝の2人がいました。この2人もよく歌舞伎に出演します。 上に写るのは翠扇とその2人。

 

*尾上菊枝は翠扇と一緒に胡蝶も踊ります(2つ上の写真)。ネットで調べると、尾上菊枝は初の女性名題役者と書かれていましたが、本当なのか分かりません。

 

翠扇49歳の時には、十一代目團十郎襲名披露興行の口上に列座し、歌舞伎座で「團十郎娘―近江のお兼」を踊ります(1962年/昭和37年5月)。

翌年、御園座で行われた十一代目團十郎襲名披露興行でも「近江のお兼」を踊ります(1963年/昭和38年9月)。

 

56歳の時には歌舞伎座で行われた、十代目市川海老蔵襲名披露興行の口上に出演(1969年/昭和44年11月)。

 

59歳の時に「傾城獅子」を踊り、これが最後の歌舞伎座出演となります(1972年 3月)。

 

*1950~72年には新派と歌舞伎の合同公演が歌舞伎座で多く行われてたため、非常に様々な公演に女性が出演しています。翠扇は、11代目市川團十郎、17代目中村勘三郎、7代目尾上梅幸、2代目尾上松緑などの演目に出演することが多かったようです。

 

昭和

3.中村玉緒(1939年/昭和14年7月生まれ)

二代目中村鴈治郎息女。

 

6歳で南座で初舞台。父二代目中村鴈治郎(当時翫雀)の「吉田屋」に禿で出演します(1946年/昭和21年2月)。

 

6歳~9歳まで、関西の歌舞伎にたくさん出演します。

 

6歳では南座で父親の「天網島」「冥途の飛脚」、實川延若「引窓」などに出演(1946年3月,6月,10月)。

 

7歳では、大阪歌舞伎座で中村梅玉の「天網島」や、 實川延若の「引窓」、南座で父親の「天網島」「奥州安達原」に出演します。(1947年1月,2月,5月) 

 

9歳では南座で「吉田屋」の禿たよりを演じます(1948年12月)。

 

27歳の時には中座で、父親の「京舞」で現片岡仁左衛門の妻役で出演しています(1966年4月)。

 

28歳から29歳にかけては歌舞伎座で初代中村錦之助の舞台や、大阪新歌舞伎座で13代目片岡仁左衛門の舞台に出演(1967年/1968年6月)。

 

50歳のときには、中座で二世中村鴈治郎七回忌追善の口上に並びます(1989年3月)。

 

中村玉緒さんの幼少期の舞台写真は残念ながら1枚も見つかりませんでした。1940年代の「演劇界」は、関西の歌舞伎に言及すらしないことも多く驚きました・・・。

 

4. 波乃久里子(1945年12月生まれ)

十七代目中村勘三郎息女。

 

5歳の時に東京劇場でおこなわれた17代目中村勘三郎襲名披露興行に出演。父親の「一条大蔵譚」で女小姓を勤めます(1950年1月)。

 

その3カ月後には、同じく東京劇場で父親の「其小唄夢廓」に禿たよりで出演(1950年4月)。

 

(↑写真は「演劇界」1950年5月号より)

 

13歳では歌舞伎座で父親の「文七元結」にお久で出演します(1959年11月)。

 

(↑写真は「演劇界」1959年12月号より)

 

24歳の時にも歌舞伎座で父親の「文七元結」にお久役で出演(1968年1月)。

 

25歳に時には、歌舞伎座で行われた三世中村歌六五十回忌追善の口上に出ます(1970年5月)。

 

歌舞伎座では、39歳の時に出演したのが最後のようです(1984年12月)。

 

5. 中村梅彌(1957年12月生まれ)中村好江

七代目中村芝翫息女

 

梅彌(当時光江)が9歳の時に、7代目中村芝翫襲名披露興行に姉妹で出演します。父親の「春興鏡獅子」で胡蝶を勤めます(1967年5月)。

 

(↑写真は「演劇界」1967年6月号より)

 

6. 松たか子(1977年6月生まれ)

三代目松本白鸚息女。

7歳の時、歌舞伎座で父親の「鼠小僧次郎吉」に通行人役で1日のみ出たそう(1985年1月)。

 

16歳が初舞台で、歌舞伎座で中村勘三郎(当時勘九郎)の「文七元結」にお久として出演しています(1999年10月)。

 (↑写真は「演劇界」1999年11月号より)

 

 

7. 四代目市川翠扇(1979年5月生まれ)

十二代目市川團十郎息女。

 

16歳の時に歌舞伎座で行われた十一世市川團十郎三十年祭に出演。市川海老蔵(当時新之助)の「春興鏡獅子」で胡蝶を勤めます(1995年9月)。

 

(↑写真は「演劇界」1995年10月号より)

 

27歳の時に3代目市川ぼたんを襲名し、その4か月後に歌舞伎座に出演。市川海老蔵の「紅葉狩」で侍女野菊を演じます(2006年12月)。

 

 

 

平成

8. 片岡葵

四代目片岡亀蔵息女。

2008年10月歌舞伎座で中村福助の 「恋女房染分手綱-重の井」で由留木息女調姫として出演します。

 

 

 

9. 渡邊愛子(2003年8月生まれ)

十代目中村富十郎息女。

 

2005年6月歌舞伎座で、父親の「良寛と子守」に里の子あいで出演(2歳10か月)。

 

(↑写真は「演劇界」2005年7月号より)

 

その後、歌舞伎座には出演されていないようですが、日本舞踊の公演でご活躍。

 

(↑写真はNHKEテレ「にっぽんの芸能」2017年3月3日より)

 

以下の2人も日本舞踊の公演などでご活躍のようですが、歌舞伎や歌舞伎座に出た記録は見当たりませんでした。

 

10. 林ももこ(2002年生まれ)

三代目中村扇雀息女。

 

(↑写真はNHKEテレ「にっぽんの芸能」2017年3月3日より)

 

11. 河野菜緒(2004年生まれ) 

六代目中村松江息女。

 

(↑写真はNHKEテレ「にっぽんの芸能」2017年3月3日より)

 

12. 四代目市川ぼたん(2011年7月生まれ)  

十一代目市川海老蔵息女。

 

2歳で八千代座にて「芝居前三升麗賑で初御目見得(2013年11月)。

 

6歳で新橋演舞場「日本むかし話」に幼少かぐや姫として出演(2018年1月)。

 

(↑写真は日刊スポーツより)

 

7歳で新橋演舞場「牡丹花十一代」に古手舞として出演(2019年1月)。

 

(↑写真は日刊スポーツより)

 

8歳で四代目市川ぼたんを襲名し「羽根の禿」を踊ったのは記憶に新しいですね~ニコニコ

 

(↑写真は日刊スポーツより)

 

 

 

そういえば、尾上松也さん妹の春本由香さんは、現在新派でご活躍ですが、幼少期に歌舞伎や歌舞伎座の舞台に出演した記録は見つかりませんでした。

 

また、尾上菊五郎さん息女の寺島しのぶさんは、市川海老蔵さんの「六本木歌舞伎」に出演していましたが、幼少期に歌舞伎に出演したことはないようです。ご本人の自伝で日本舞踊を習っていたという記述がなかったので、習っていなかったのかもしれません。

 

他にももっとたくさんの歌舞伎役者の息女たちが歌舞伎の舞台に立ったことがあるのでしょうね~。私は知らないので、もしご存じでしたら教えていただけると嬉しいです。

 

(ちなみに関西では13代目片岡仁左衛門の公演に片岡秀子という子役がたびたび登場するのですが(by 近代歌舞伎年表京都篇)、これが13代目仁左衛門の息女なのかどうかわかりません。13代目仁左衛門の娘に秀子という名の方はおられないようです。)

 

クローバー    クローバー    クローバー

 

さて、市川會三代襲名披露のイヤホンガイド幕間インタビューで麗禾ちゃんは市川ぼたんとして、来年の市川團十郎・新之助の襲名披露興行に出ることが目標と語られました。

 

歴代の息女たちを見ると皆さん父親の襲名披露興行や先祖の追善興行に出演することが多いようです。

 

来年の十三代目市川團十郎襲名興行ではぜひ麗禾ちゃんに歌舞伎座に出てほしいなぁ~と密かに楽しみにしていますラブラブ

 

そして近い将来、海老蔵さんの「春興鏡獅子」で麗禾ちゃんと勸玄君の胡蝶がみられるでしょうね!これもすごく楽しみですドキドキ