自民党総裁選を巡るニュースが連日流れています。立憲民主党は政権交代を目指す野党第一党ですので、埋没しないように努力をする必要があります。そのためにも、冷静な議論や問題提起が重要であると認識しています。

 真新しいこと・耳障りのいいことを、口だけで言うのは簡単です。だからこそ注目すべきは「候補者の政策は真に国民に資する内容か、そして実現可能なことか」という点なのだと考えます。その意味では、総裁選において「裏金議員の処遇」というテーマを大きく議論すべきです。なぜなら、裏金問題が政治不信を強めたからです。政治不信を払拭するためには、何に使われたのかを含めて、情報公開することが極めて重要です。
 総裁選では、小泉進次郎氏など若手議員も立候補を予定しています。若手が出馬すること自体は素晴らしいと思います。しかし「党を刷新する」「若手が声を上げる」と述べていることに関しては、全く本気度が感じられません。なぜなら、国会会期中の政治資金規正法における改正論議の際に、若手議員は全く声を上げていないからです。自分たちも「抜け穴だらけのザル法」に賛成をしておきながら、国会が閉じた途端に勇ましいことを言い始めるのは、国民ではなく自分の利益のために声を上げているとしか映りません。極めて小粒な人たちだなという印象です。政治改革の理想を抱いて党まで飛び出した、30年前の自民党の若手議員とは比べ物になりません。
 そもそも総裁選は自民党内の選挙ですので、党員以外は参加できません。それなのに新たな総理大臣が選ばれることが、国民と政治との距離を広げてしまっているのではないでしょうか。だからこそ「政権交代が常に起こり得る緊張感」が政治には必要なのだと考えます。与党と野党が選挙で政権を争ってこそ、国民が首相を選ぶことが可能になるためです。
 緊張感のある政治を実現するために、立憲民主党の代表選を盛り上げなければなりません。政治改革が一大テーマとなりますが、私はその中でも「世襲の禁止」について広く議論すべきだと考えます。なぜなら、世襲という仕組みこそが、自民党や既得権益層の収益構造となっているためです。自民党の総裁候補として11名の名が出ていますが、そのうち半数以上の6名が世襲です。なお、立憲民主党の代表候補で世襲は0人です。しがらみのない議論を立憲民主党がリードすべきです。
 現行の政治資金規正法では、政治資金は非課税扱いで、政治団体の代表者が議員から親族に交代しても相続税や贈与税はかかりません。このため、政界では実態が相続や贈与でも、課税を免れているケースが少なくありません。このような現状があるため、「自分たちは納税しなくても良い」という勘違いを自民党の議員はしてしまうのでしょう。私は師である野田元総理にもう一度総理となっていただき、野田総理の隣で令和の政治改革を実現できるよう、精進を重ねて参ります。