英語学習以前の事務的なこと
英語学習以前の事務的な部分がうまくできないと、学習を進める上で、大きな障害になります。これは、小学生だけではなく、中学生や高校生でも共通の課題となっています。
例えば、英検などの申込忘れ、課題(各種プリントなど)の紛失、提出物を忘れる、物を探すのに時間がかかる、テストでのケアレスミス、重要なことの日時を忘れるなどです。
学習することは、「小さな事務的な作業の積み重ねで成り立っている」と言っても過言ではありません。そのため、これらができていないと学習(授業)の能率が大きく低下してしまいます。
昔から事務作業が苦手な生徒の皆さんはいましたが、近年、増加しているように感じています。
事務作業が苦手な原因は?
英語講師として本来の専門分野ではありませんが、私が考える原因は以下のようです。
➊ 個性によるもの
先天的な要因として事務的なことが苦手な傾向があるのかもしれません。これは、脳の働きの特徴などが関係している可能性も考えられます。
➋ 多忙による負担の増大
多忙なスケジュールが続く中で、心の余裕がなくなり、事務的な部分がうまくいかなくなることがあります。これは大人でも同じで、環境的な要因としてよくあることです。
➌ 国語力・読解力の影響
文章を読むのが苦手な場合、案内類やプリントの指示文を正確に把握できず、ミスにつながると考えられます。
➍ スマホ・AIなどデジタル機器の影響
スマホやデジタル機器が子どもたちの(そして実は大人にも)事務処理能力に影響を与えている可能性があります。
近年は、文字を読んで情報を収集するのではなく、デジタル機器を使って映像と音声のみで情報を収集する機会が増えています。文字を使ったとしても、SNSでは単文のみのやりとりで、何度もやりとりしてやっと情報交換(意思疎通)が成り立つことは少なくないと考えています。
➎ 保護者様を頼っている
英検の申込期限や実施日時、授業のある日・お休みの日、その他、学習を進める上で大切な事務的なことについては、教室でも、教室NEWSなどの案内類を配付する際に、折を見て生徒さん達に伝えています。しかし、それら大切なことを保護者様に頼ることが習慣になっていて、自分のこととして捉えていないように感じることがあります。
例えば、ある高校生の生徒さんに英検を受験するかどうか尋ねたところ、『受験するらしい』とあたかも他人ごとのような返事です。保護者様が言っているから受けるという意味だと推測されます。
スマホ認知症
“スマホ認知症”と呼ばれる状態(医学的な正式名称ではありません)があります。これは、長時間スマートフォンを使用することによって、記憶力や集中力などに影響が出る可能性を指摘する際に使われる言葉です。
課題の克服
このような事務的な課題をどのように克服していけばよいのでしょうか?
大切なのは、「忘れないようにする」「ミスをしないようにする」と本人の注意力だけに頼ることではなく、できるだけミスが起こりにくい仕組みを作ることだと思います。
➊ 個性によるもの
お子様が事務的なことが苦手な場合、「もっとしっかりしなさい」と言われても、すぐに改善できるとは限りません。
本人の性格や得意・不得意に合わせて、できるだけ具体的な方法をお子様と保護者様が一緒に考えてみることが大切です。
例えば、「大切なことは、その場でメモブックやカレンダーに書く」「提出物は決まった場所(ファイルなど)に入れる」など、行動を具体化します。
「気をつける」という精神論だけではなく、「どうすれば忘れないか?」「どうすればうまくいく?」という仕組みを一緒に考えることがポイントです。
➋ 多忙による負担の増大
やることが多すぎると、どんなにしっかりしている人でも、忘れたり、確認が不十分になったりすることがあります。
すべてを完璧にこなそうとするのではなく、「今、本当にやるべきことは何か?」を考え、優先順位をつけることも必要です。
「今日やること」「今週中にやること」「後でもよいこと」を分けるだけでも、頭の中が整理されやすくなります。
➌ 国語力・読解力の影響
案内やプリントは、「読む」だけでなく、「必要な情報を読み取って、自分が何をすればよいのか判断する」必要があります。
そのため、日頃から文章を最後まで読む習慣をつけることが大切です。
例えば、案内を受け取ったときに、保護者様がすぐに内容を説明するのではなく、「これはいつまで?」「自分は何をするの?」「何を持っていくの?」などと、お子様自身に確認してもらうのも一つの方法です。
「敢えて教えない」ことが大切です。答えをすぐに教えるのではなく、「書いてあることを自分で探す」経験を増やすことが、少しずつ自立につながっていくと思います。
➍ スマホ・AIなどデジタル機器の影響
スマホやAIは、上手に使えば非常に便利な道具です。しかし、何でもすぐに調べたり、誰かに答えを聞いたりすることが習慣になると、「自分で覚える」「自分で読む」「自分で考える」という機会が減ってしまう可能性があります。
そこで、必要な情報をすぐに検索する前に、まず自分で考えてみる、文章を最後まで読んでみる、覚えていることを思い出してみる、ということを習慣にすることも大切です。
デジタル機器を遠ざけるのではなく、「便利な道具に頼りすぎない使い方」を身につけることが大切だと思います。
➎ 保護者様を頼っている
子どもにとって、保護者様が予定や提出物などを管理してくれることは、とても安心できることです。しかし、いつまでも保護者様がすべてを管理していると、「自分の予定」「自分の提出物」という意識が育ちにくくなる可能性があります。
そのため、いきなりすべてを本人に任せるのではなく、少しずつ「自分のことは自分で確認する」機会を増やしていくことが大切です。
例えば、英検を受験するのであれば、「英検を受けるよ」と伝えるだけではなく、「試験日はいつ?」「申込期限はいつ?」など、本人にも確認してもらうようにするとよいです。
最初は保護者様が一緒に確認しても構いませんが、お子様ができるようになってきたら、少しずつ保護者様の確認を減らしていきます。
「親が管理する」から「親子で確認する」へ、そして最終的には「本人が確認する」へ・・・このように、段階的に自立を促していくことが大切だと思います。
かつて、このような生徒さん達がいました。大学入試センター試験(現在は共通テスト)の時に遅刻して浪人した、大学入試の願書ミスで第1志望を受験することが出来なかった、英検の時間を間違えて受験出来なかったなど、複数の残念な例があります。
ご家庭でも、少しずつ課題を克服していくために、「どうすればうまくいくか」を、お子様と保護者様で一緒に考えていただければ幸いです。
そして、人生の大切な時に、大きな障害にならないようになることを願っています。
https://ameblo.jp/stepworld-llnisshin/