公演が終わる毎に書くことにしようという取り決めを自分の中でしていたこのブログも、久しく更新が滞り今に至る。
去年の夏、今年の夏とはまた違った意味で無事全公演を終えられたという万感の思いをどこかにしたためておかねばならぬと、千秋楽の数日前にはこれまでの記憶を辿りながらメモ帳を開いていた訳なのですが、結局ブログを更新できたのは2日後。
今年は同じ轍は踏まぬようにこうして千秋楽前夜に少し思いの丈を吐き出しておこうかな、いや去年と違って打ち上げもないから当日ゆっくり書けるかもしれないけど。
とか書いていますが、結局千秋楽翌日な訳です。
やっぱりね。
さて、科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶、如何だったでしょうか。
思うところは数あれど、やはりどうしても去年と比較して今年に関してはまだ終わらないで欲しいというより、無事に全ての公演に幕が下りた、という安堵が勝ってしまうというのが正直なところです。
恥を捨ててお話しすれば、今年に入って道半ばで膝を折ったお仕事が多過ぎたせいか、日々の体温チェック然り、PCR検査然り、全てが何れ「中止」の二文字に行き着くようで、怖くて怖くて仕方がありませんでした。
皆で大丈夫大丈夫と肩を叩き合ってお互いの不安を支え合いながら、歯を食いしばって日々稽古に励み、でもどこか映画みたいな奇跡の瞬間が訪れるのではないかと期待して、結局全てが水泡に帰す瞬間というのは、もう筆舌に尽くし難い。
だからこそ、こうして「何もなかった」という平時であれば当たり前のことに、こんなにもほっとするのだなと思う次第です。
兎にも角にも、言いたいことは千秋楽のカーテンコールにて口をついて出たあの言葉に集約されていて、あれ以上の言葉はない、ここから語るのはもう喉元過ぎ去った後の虚飾入り混じりそうであるし、むしろここまで様々な形で刀ステを支えてきた皆な訳ですから、最早推して知るべしという感じですよね。
ただ、カーテンコールの出の直前に篭手切江役の拓土が何を話そうか悩んでいたので「パッションで話せば良いよ」なんて偉そうなことを言って、結果言葉足らずになってしまった訳ですが、それでも演劇を愛して愛して、信じて止まなかった遍く人たち、そして挫けそうになった人たちに届いていれば幸いだなという心持ちです。
前回、点と点を結んで糸としたいというようなことを書いた記憶があるのですが、今回のことを振り返ってみて、あれは長義という一振りの物語に留まらず、舞台刀剣乱舞という作品が紡いできた物語そのもの、ひいては演劇というものが織りなす物語自体が一筋の弛まぬ糸なのだと思うようになりました。
その糸は、こうして沢山の人が想いを込めて縒り合わせれば手繰ってもそうそう切れることはない、より確かな一本の糸になるのです。
情報飛び交う、より好きなものだけ摂取して、そうじゃないものを捨て置けるこの21世期に。
演劇という極めてアナログな、ややもすれば前時代的と言われてしまうものがこうして愛されている。
観に行くことを断念して自宅から見守るという選択も、これでもかという程の対策が敷かれる会場に足を運ぶという選択も、全てが等しく愛あればこそ。
そうしたことが実感として得られただけで、もうこれ以上ない瞬間に立ち会えたという確信があります。
改めまして、舞台『刀剣乱舞』全38公演、無事演じ切ることができたのは、ひとえに皆様のお陰です。
最後まで支えてくださり、本当にありがとうございました。
一年が経ち、世界が反転したこの夏、あの本丸の長義も、そうでない長義も、どちらもその根底には強くあろうとする意志、自分という存在そのものへの力強い肯定、そしてそうした矜恃があるからこそ、仲間を、ひいてはあの場所を守るという信念へと繋がるものと思い、演じさせていただきました。
その強くあろうという志は、いつしかそれを演じる、この時代を生きる自分を支える力になっていたことをここに記しておこうと思います。
この先をより確かに歩む為に。
いつの日か綺伝が待っているはずだからね。
その時はきっと高らかに「待たせたかな」と笑って言ってくれるんじゃないかなぁと思っています。
だって彼はまだまだ強くなりたいはず。
あとタイトルコールも!!
出陣の儀も!!結局まだしてないから!!笑
さ、明日は『刀剣乱舞 大演練〜控えの間〜』!
楽しみだなぁ。皆で盛大にお祝いしましょうね。