やはりというべきか、大幅なメンバー入れ替え。
こうやって乗り切るしかないのだろうが、最後まで乗り切れたらたいしたものだ。

日曜朝の新聞で結果を知っていて、夕方に帰宅してからテレビで観たのだが、新聞の見出しほどには悪いとも思えない。
ただ、し合いの最後頃にあっぷあっぷになってしまうのが交代メンバーを投入しても変わらないの、そこはどうにかして欲しいねと感じる。

さて、アフリカ系の選手の身体能力に苦しめられるという図式は男子とほぼ変わらない。

で、男子と同じように戦術や技術の成熟度の差で日本が勝てたというのが大まかな図式。
個人能力ではカメルーンの選手の方が上だが、その能力が空回りしているという、男子では古くから見られるアフリカサッカーの典型。

先制点の場面まではカメルーンのクリアが攻撃につながらずに日本が圧倒的な攻勢。

しかし、1点を奪ってからはどうしたことかカメルーンのクリアがつながる場面が多くなって、速攻を許すようになる。
これが何故なのかは現場で上から見ないと詳しくはわからないが、大きな問題。

カメルーンの攻撃が力任せ、スピード任せなのでピンチには至らずというところで日本が追加点。

カメルーンの逆サイドの守備は大甘。

カメルーンは結局は縦一本。
縦一本は何も悪くはないのだが、日本の守備がまっすぐ退けばそれでシュートコースが限定されて終わりというところで怖さがない。

自分が高校生を指導をしていた時に、相手チームの守備者が「縦しか来ないぞ」とかなんとか馬鹿にしているつもりなのだろうが、指示の声を出すことが度々あった。
で、その縦しか来ないチームにやられてしまったその守備の選手が試合後の挨拶のときに頬を膨らませて不満を露わにしているのを見る度に、申し訳ないのだが、頭悪いなと思ったものだ。

自分の作るチームでの縦一本は縦一本で終わらない。
一旦楔が入ると、そこに選手が集まって、そのサイドでスピードに乗って、さらに縦に縦にとボールを送り込むようにできていた。
それは守備からそのように攻撃に出て行けるように体型ができているわけで、そこのところをわからない限りは単純に見える縦一本を防げない。

縦一本を裏に蹴っているのは楔を処理する能力のある重さのあるトップがいなかったからなわけで、戦術的には単に脚元に楔をつけているのとなんら変わらない。
カメルーンの、特に11番のように縦パスを受けた選手が単純にひとりで縦にゴールに迫ることなど想定していない。
大事なことはコレクティブな攻撃をすることであって、その意味を理解しているものにはチームの仕掛けがよくわかるはずだが、まあ、わからないものにはわからないから、仕方がない。

自分が辞めて数年経ってから、高校生が自分たちだけでチームを作って縦ロング、裏ロングを主体としたチームを作っていたということで、メールをもらってその最後の試合を観に行ったことがあった。残念ながらあまりうまくできていなかったようで、自分たちだけでチームを作ればおのずと足りない部分が生じるわけだが、そこのところがわからなかったようで、そんなことならばどういう形でも教えてあげれば良かったとそのときになって思ったが後の祭りだ。

選手達はみなバルサみたいな良いサッカーをやりたがっているのにいちはしが縦蹴りさせるから子供が嫌がっていて可哀想だみたいな話しを聞かされて辞めたわけだが、結局のところ、それは作り話だったわけで、今となっては、そのバルサのサッカーも崩壊して、日本のサッカーマスコミが作り出す幻想を信じる輩のやりたいことってなんだったんだろうねとため息が出る。

カメルーンのサッカーは局面局面でふつぎりされている。

選手の能力の高さをまったく活かしきれていない。
少し良い指導者がいれば日本に勝つのは簡単なことに見える。

サッカーは男子も女子も世界的な技術レベルの上昇がある一方で、戦術レベルの上昇は国レベルでは決して世界的に揃っているわけではない。つまりは指導者のレベルは貧しいということだ。
だが、個々の選手がヨーロッパのチームでリテラシーを学ぶようになれば、チーム作りは今よりも簡単になり、ある程度はレベルアップすることは男子で見てきたことだ。

後半、選手の配置を換えて無難な立ち上がりだと見えたのだが、不満があったのか川澄に代えて大野。

川澄が不調だとかで評価が下がっているというのはネットの記事に書いてあるのだが、正直ぴんと来なかった。だが、入った大野のポジショニングを見ていると、川澄のまずは守備面に問題があることが見える。そして、そこからの攻め上がりということか。大野が場面場面に顔を出しているのに対して、川澄はどこにもいなかった。

さらに阪口に代えて澤。

阪口と宇津木のところでボールを失っているので手を打つ必要があるのはあきらか。
だが、結局、初戦にしてもツーボランチを同タイプでフラットにすると前目でプレスもかからないし、攻撃に厚みも出ないというのがなでしこなのではないか。選手が悪いというようには見えない。

カメルーンの運動量に衰えが見えてきて、日本のパスワークが教科書通りの動きから作られる。

あとはアプローチプレーのところでもう一工夫。いつも思うのだがニアサイドのGKの前に必ず飛び込む選手が必要というのが自分の考え。そこは日本のサッカーはどのレベルでももっともっとエネルギーを割くべきだ。

30分過ぎから会場がカメルーンの応援に回り始める。

40分に菅澤に代えて上尾野辺。

このまま試合が終わるかと思ったところでカメルーンにゴールを許した。
そこまではいくらシュートをしてもシュートコースが読める状態で怖さを感じなかったが、この失点では綺麗にやられた。

残り時間が少ないので裏を取られなければOKという守備をしていたのか、11番に簡単に振り向かれて見事なスルーパス。
このシーンの前に交代でトップに上がっていた宮間について、この時間帯でもしっかりと追ってくれるのは助かると解説が誉めているのだが、そこで追ってしまったから前々につながれてしまったわけで、中盤を厚くしておけば良かったはず。杓子定規な考え方は自分の首を絞めるだけ。

最後に鮫島のスローインが敵ボールになった時も、そこにふたりがプレスに行ってしまって、前に出されて慌てている。
それこそ、バルサだったら、そんなところにボールを奪いに行かないだろうという場所と時間帯。
日本のサッカーは、まだまだリテラシーが足りない。
そこをアップするのに力があるはずのサッカーマスコミはファッションばかりを追っているから、底辺のレベルで指導者たちが頑張っても、どこかで消耗されているというのが現状なのではないか。

佐々木、策のある良い戦術家だとは思うが、予選リーグははっきりと弱点が見えている相手にたいして意思統一して仕掛けができていたというにすぎない。
だが、決勝トーナメントに入れば、そうそう弱点が表には出てこない相手ばかりになるから、戦い方はますます難しいものになってくるだろう。腕の見せ所だね。