テレビ朝日の番組で中田とジーコの対談があって、8年前の状況と今回が似ていると話していた。

初戦で8分間で3点とられて逆転されたオーストラリア戦に続いてクロアチア戦では絶対のゴール前でのチャンスを柳沢がQBKで外した。

今回はコートジボワール戦でやはり7分で逆転されて、ギリシャ戦では絶好のチャンスを大久保が外した。

まあ、似ていると言えば似てるね、、、監督が決まり切った手しか打たないで、それが何の効果もないところも似ているし、、、

直前になって語るべきことは語り尽くされている。

 アジアの予選で負けるようなチームが「攻めて勝つ」とか言っているのであれば、馬鹿じゃなかろうかと思うわけだが、そこは苦しみながらもほぼ順当に枠抜けをして世界を相手にワールドカップの檜舞台で格好悪いながらも攻める意志を持って試合ができているわけだから、この大会が日本サッカーの新たなスタートだと思えば良い。

 ただ、万に一つ決勝トーナメントに出たとしても、決勝トーナメントで勝ち抜くようなチームは失点が少ないということは知っておいた方が良いとは思うけどね。

 攻撃的サッカー、自分たちのサッカー、良いサッカーと呪文のように4年間唱えて戦って、では、ザッケローニ以外のものが監督で打ち合いをしたらどうだったのかということは置いておいて(笑)、結局この程度だったんだとわかったところで…若いマスコミのライターさんや記者さんたちが何を書くのかに興味津々。

 4年前は勝ち上がったのに、こんなサッカーでは何の収穫もないとマスコミやらライターやらは悪口雑言。
それで攻撃的サッカーをやるようになって希望を持って見ていたはずだから、攻めきれという論調には君たちそれはそうだろうねと思うわけで、一方でここで守りについてグダグダ書いている少数派は4年前に何を書いていたのか見せてもらいたいと思ったりする。

 そういう視座から見れば気の早い話だが問題は敗退してからだろう。日本協会が次期監督を誰にして、どの様なサッカーにするつもりなのか。ピクシーの名前が浮かんでいるとの報道があるが、名古屋での戦いぶりを見る限りは、負けそうになると攻撃も守備も完全に闘莉王と外国人頼みになるというやり方でとても好きになれない。

 とはいえ、誰がやってもそこにいる素材が変わらなければまともなサッカーなどできはしない。
だから、いつも書いていることだが、ストライカーとそれを止めるストッパーを育てない限りはもうひとつ上の段階には行けやしない。

 日本では相も変わらずにサイド攻撃が少ない、サイドハーフが中に入るからダメ、サイドチェンジの数が少ないなどと呪文のように繰り返しているライターがいて、一定の支持を受けているように見える。それは部分的には正しいところもあるのだが、前にも書いたようにボクシングのセコンドがでフックだ、フックだ、フックだと同じ調子を叫んでいるだけに見える。

 いつも書いているようにチームのセンターラインが強くないと、つまりはストレートパンチが強くないとフックもアッパーも決まらないし、その前にジャブが打てなければ試合にならない。サッカーとはボクシングと同じように勝負事であるのだ。

 現状、ヨーロッパで活躍している日本人選手のほとんどがサイドプレーヤーで、代表でセンターにいても自チームではサイドだったりという状況であることを思い起こせば、ストレートパンチが撃てないボクサーが世界ランキングを争いに出てきたようなものだから、観客が自国の代表チームの3戦全敗に賭けたとしても何の不思議もない。

 野球では日本の投手がメジャーでエース級の活躍をしたり、クリーンアップを打ったりする時代が来ている。サッカーでもそういう日が来ない限りはワールドカップで優勝なんて遠い夢だと考えるのが普通のこと。

 小さな子供達にシャビやイニエスタを目指せとコーチが語り続けるのはとても良いことだと思うが、今回のスペインの敗退はシャビやイニエスタの衰えもあるだろうが、それ以上にトーレスやビジャの衰えだろう。

 もう長いこと書き続けているように、背が高くて大柄な子供達がサッカーを嫌いにならずに続けてくれるにはどうしたらいいのか、それを考えない限りは日本は優勝はできないと思う。

 先日、あるテレビ番組にバスケットの日本のトップリーグのチームで主将をしているある選手が出演した。彼は小学校高学年から中学校まではサッカーをやっていたそうだが、ある理由で辞めたそうだ。彼がサッカーを辞めた理由を語るのを見ていて、自分がコーチだったら、少なくとも彼にそういう肩身の狭い思いをさせなかっただろうと思った。
 いちはしのこの言葉が夢想でないことはいちはしに指導を受けたものはわかるだろう。

 若い選手達を指導するサッカーコーチには自分がやりたいサッカーなんてあってはいけないのではと思うことがある。その頭の中のあるべきサッカーの姿に固執するから、目の前にいる選手たちの本来の姿を見失ってしまうのだ。自分が活かされていないと考えれば、それで選手達は辞めてしまうだろう。
 
 そんなことを考えながらコロンビア戦のキックオフを待っているが、それでもワールドカップ出場が夢のまた夢であった時代から考えれば、本当に夢のような良き時代が来たものではある。