かまってちゃんのこの女の話は、
いつまでたっても、終わらない。
近くで聞き耳を立てて心配しているマサキも、
トシの話が長い事はわかっているようだ。
「ずっと同じ話するから、もう、適当に電話きりな」
と、紙に書いて私に見せてくる。
私は首を横に振る。
この女は
とにかく話が長くて、
とにかく話をする事が好きなんだって
とっくに気が付いている。
そして、
話を聞いてもらえたら落ち着いて、
聞いてもらえないと、逆上するんだろうな。
この電話を切ったら、
二度とこの女と話をするつもりはなかったので
最初で最後だと思って、
思う存分、話を聞いてあげるつもりでいた。
この女はこの女で、かわいそうな奥さんに、
いかに、
あんたの旦那がヒドイ男で、
最低な男なのかを教えてあげたくて。
「奥さんは、それでもいいんですか?」
と、言ってくる。
私は面倒くさいので、全ての質問に対して
「気が動転して、何も考えられません」と、
明言を避ける。
「離婚するんですか?」
とか、今後の事も聞いてくるんだよね、こいつ。
当然、明言を避ける。