『シザーハンズ』
1990/監督:ティム・バートン








ティム・バートンが描く、切なく不思議なファンタジー。

丘の上のお屋敷に住む発明家によって作り出された、人造人間のエドワード。

未完成のまま主人に先立たれてしまったエドワードは、手だけがハサミのままだった。

時が経ち、化粧品のセールスでやってきたペグにお屋敷から連れ出され、街に出ることとなったエドワード。

そしてペグの娘、キムと出会う。

物珍しさとその純粋さから、徐々に街や社会に馴染んで来たように思えたエドワードだったが…



かなり有名な映画なので何となくは知っていたけれど、ちゃんと鑑賞するのは初めて🎬

ダークファンタジー系なのかなと思っていたら、90年代のものすごくポップなアメリカンな雰囲気で、最初は頭を切り替えるのにあたふた笑い泣き

ティム・バートン × ジョニー・デップだからこそ出せる不思議なコミカル感も合わさって、とても楽しく鑑賞することが出来た。

何よりも目を惹いたのは、やっぱりエドワードのビジュアル!

モノクロ映画から飛び出して来たかのようなモノトーンな色合い(顔色含め)に、パンク感漂うめちゃくちゃカッコいい衣装!

手にはかなり大きなハサミという凶器を携えているのに、その心は純粋無垢でとても優しい。

そして、その無垢さが全面に現れた、きゅるんとした可愛らしい笑顔、困った顔、落ち込んだり怒ったりする顔という、とても豊かな感情表現。

そのエドワードと対比するかのように、パステルカラーでとてもカラフルな街並みや住民の衣装。
そして貪欲さや薄汚さも垣間見える、取り繕った人々。
エドワードを受け入れるスピードの速さや、アメリカンなテンポ過ぎて「えー?」と思う部分もありつつも、
ポップさと切ないファンタジーがとても上手く組み合わされまとめ上げられた映画だった。
うんうん、名作としてずっと語られるのもわかる気がする。

美しいキムに惹かれるエドワード。
エドワードの純粋で無垢な心に惹かれるキム。
もちろん手がハサミだから、抱きしめることも叶わない。
多くを語り合わずとも、目と目で通じ合って何かを感じ合う2人の姿には、胸にじーんと来るものがあった。
庭で氷の彫像を作るエドワード、その横で楽しそうに踊るキム。
ただただ純粋な喜びの流れるその時間が、とても愛おしかったラブ
でも…やっぱり違うもの同士は長く一緒には居られない。
エドワードも、これ以上屋敷を離れても傷つくばかり。
人造人間と少女の愛は、儚くほろ苦いものになってしまったけれど、
最後の「雪」が降ることでエドワードの存在を表しているという部分は、とても素敵だなぁと感じたおねがい
その美しい心を傷つけないために、二度と交わることは無くても、その想いを抱き続け、愛を思い出す「雪」が降る。
とても大切な“愛し方”を見せて貰えたようで、心が温かくなった。


古い映画だけれど、決して色褪せることのない“想い”がそこにはあって、
古い映画だからこその良さがたくさんたくさん織り込まれた、素敵な映画でしたおねがい