【今後開催される講演会・おはなし会の情報】

2月17日(日) 「足元に光を照らすおはなし会@松本

5月19日(日) 講演会@東京

6月9日(日) 「いのちと心のおはなし会」@半田市【予定】

6月10日(月) 長野保健医療大学

6月22日(土) 講演会@長野

6月中  「足元に光を照らすおはなし会」@金沢

11月9日(土) 株式会社ワイズクルー30周年記念講演




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こんにちは。本当の愛と幸せを届ける講演家 中村美幸です。

ご訪問下さり、ありがとうございます。

このブログでは、小児がんを患った長男(渓太郎)との闘病、別れを通して知った「幸せ」や「愛」、「命」「生きること」について綴らせていただいています。

 

・~・~・~・~・

 

「これからは、主治医の佐藤先生に何でも相談してください。渓太郎くんのことだけじゃなくて、お母さんのことでもなんでも、安心して相談していただける先生です」

 

渓太郎の身体に小児がんが見つかり、こども病院へ入院した初日。

 

病室に訪れた腫瘍科部長は、そう言いながら主治医を私に紹介した。

 

 

ベッドの脇に並んで立つ二人の医師に、「よろしくお願いします」と言ってはみたものの、心の中に沸き上がる不安を口に出すことはなかった。

 

(・・・これから、どれだけ大変なことが待ち受けているんだろう・・・)

 

(私に、付き添い看護などできるのだろうか・・・)

 

 

 

それから数日後。

 

腫瘍に蝕まれた右腎摘出手術と、抗がん剤治療が行われることになった。

 

・・・とはいっても、医師とはいえ、親の許可なしでは手術や治療は行えない。

 

 

私が迫られたのは、手術や抗がん剤治療への許可。

 

 

それは、生まれて間もない小さな体にメスが入るのを許すということ・・・

 

そして、

 

激しい副作用に襲われると知りながら、我が子への抗がん剤投与を許すということ・・・。

 

 

「ダメ!!!やめて!!」と思わず悲鳴をあげそうな自分に、もう一人の自分が声を荒げた。

 

 

(手術をしなければ、渓太郎は死んじゃうの!)

 

(治療をしなければ、渓太郎はあっという間にいなくなる!)

 

 

そして、奥歯をかみしめながら、医師に向かってなんとかつぶやいた。

 

「お願いします」

 

 

 

 

摘出手術と抗がん剤治療によって、一時は縮小したがんも、すぐに増殖。

 

その後はいくら治療をしても、転移が広がった。

 

 

すると否応なく、決して信じたくなかった医師の言葉が頭をよぎった。

 

「渓太郎君と同じ病気で、これまで助かった例は一例もありません・・・」

 

 

 

(やはり・・・渓太郎も死んでしまうのか・・・)

 

ひたすら恐怖と闘った。

 

 

 

 

そんなことが続いていたある日、佐藤先生が往診に来た時のこと。

 

 

 

ベッドの脇に立った佐藤先生は、もう笑うことも、だっこをせがむこともなくなった渓太郎に向かって、静かに名前を呼んだ。

 

「渓ちゃん・・・」

 

―――無反応の渓太郎・・・。

 

 

ベッド脇から二人を見ていると、突然、口から無意識に言葉がこぼれた。

 

 

 

「ねえ、先生。人は死んだらどこに行くの?」

 

 

 

思わぬ私の言葉に、一瞬、ハッとした表情を見せた医師。

 

 

(まずい・・・先生に向かって、なんてことを言ってしまったんだろう・・・)

 

 

気まずく下を向く私に医師は、「ねえ、お母さん」と声をかけると、目元に切なそうな表情を浮かべながら静かに言葉を続けた。

 

 

 

「私もね・・・。医者なのにわからないんだ・・・」



「・・・そっか」

 


「渓ちゃんがこれからどこに行くのかわかっていれば、安心できるのにね・・・」

 

 

「・・・うん。・・・先生にもわからないよね」

 

 

「・・・うん。お空に行くってことしか、わからないよ・・・」

 

 

「そうだね」

 

 

 

ほしい答えは見つからなかった。



・・・けれど・・・

 


心にかかっていたモヤが、透けるくらいに薄くなった。

 

するとその中にはっきりと存在していたのは、渓太郎の短い人生を受け入れている自分。

 

現実をしっかりと見つめている自分だった。

 

 

 

 

入院初日に、なんでも相談してください」という言葉を渡した医師は、その後、私が悲しみに打ちひしがれていることを知りながらも、決して自分から私の心を探ろうとはしなかった。

 

そして、私はひとり、誰にも邪魔されることなく、ただひたすらに渓太郎の人生と向き合い、母親としての絶望と向き合った。

 

それは、変えることのできない現実を、自分のペースでひとつずつ、ひとつずつ、胸の中に落とし込む時間。



すると・・・

 


あれほど大きかった怒りは、いつの間にか優しさに変わり、やりきれない思いは、許しにかわった。


その変化は、諦めでも、無理強いでもなく、心の納得のもとに・・・。

 

 

 

そして・・・

 


 

「ねえ、先生。人は死んだらどこに行くの?」

 

無意識にこぼれたこの言葉は、渓太郎の短い人生を受け入れ、これから我が子に先立たれるであろう自分の宿命を受け入れた、私の心の声だった。

 

 

 

この瞬間まで、かけたかったであろう言葉を飲み込み、伝えたかったであろう心配の言葉を心に仕舞い、じっと見守り続けてくれた医師。

 


私が絶望に打ちひしがれていた葛藤の日々は、「必ず自分の力で立てる」と信じ、ひたすら待ち続けてくれた医師の愛に包まれていた時間。

 


強くて深い、本当の愛。


 

~こちらのブログはリブログしていただいて構いません~

 

 

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