こんにちは。本当の愛と幸せを届ける講演家 中村美幸です。

ご訪問下さり、本当にありがとうございます。

このブログでは、小児がんを患った長男(渓太郎)との闘病、別れを通して知った「幸せ」や「愛」、「命」「生きること」について綴らせていただいています。

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(本当はこれを履いてお散歩に行くはずだったのに・・・)

 

小さな靴を眺めながら、心の中でつぶやいた。

 

それは、渓太郎の入院が決まったとき、「荷物は必要最小限にしてください」という看護師さんからの注意事項を無視して、私が病室に持ち込んだもの。

 

 

 

私がその靴を買ったのは、出産して間もなくの頃。

「あんよ」するのはまだずっと先だというのに、渓太郎の未来を描くのが楽しくて、嬉しくて、私は渓太郎が最初に履くための靴を用意した。

 

「渓ちゃん。大きくなったらこれを履いてお散歩に行こうね」

 

よちよち歩きの渓太郎と手を繋ぎ、青い空の下をお散歩している自分を心に描きながら、まだ寝返りを打つこともできない小さな足を靴の中に入れてみた。

 

「うわ!これじゃまるで巨人の靴!」

「はははっ!これを履くのはまだ先だね!」

 

 

 

渓太郎の体に小児がんが見つかったのは、それから4か月後のことだった。

 

1月から始まった闘病生活は、冬を越し、春を迎え、夏になり、渓太郎が1歳の誕生日を迎えるころ。

 

(同じくらいの時期に生まれた子は、そろそろ歩き始めるころか・・・)と思った私は、病室の棚の中にしまっておいた靴を久しぶりに引っ張り出した。

 

そして、「渓ちゃん、おくつだよ」と言って渓太郎の足を入れてみると、見事にピッタリサイズ。

 

「渓ちゃん、大きくなったね・・・」

 

そう言うと次に、口に出せない言葉が心の中でこぼれた。

 

 

(本当は、これを履いてお散歩に行くはずだったのに・・・)

 

 

私の視線は、自然と窓の外へと向いた。

 

(あすかちゃんやたくとくんは、もう歩き始めているのかな・・・)

 

数日違いで生まれた友人の子が、頭に浮かんだ。

 

・・・次の瞬間。

 

 

子どもと手を繋いでお散歩をする友人の姿が浮かび上がり、私はその後ろ姿に向かって声を荒げた。

 

(私だって、本当は渓太郎と一緒にお散歩するつもりだったの!)

 

(見せつけないで!)

 

慌ててその映像をかき消した。

 

 

涙をこらえながらベッドの方に視線を戻すと、心で悲鳴を上げている私とは裏腹に、渓太郎は無理やり履かされた靴から自分の足を抜き取ろうと格闘中。

 

「ははっ!渓ちゃん、ごめん、ごめん!」

 

急いで靴を脱がすと、「あー、すっきりした」とでも言いたげな顔で、キャッキャと笑いながら私にだっこをせがんだ。

 

「渓ちゃん、だっこがいいね」と言って、小さな体を抱き上げると、渓太郎は満足げに私の胸のあたりにほっぺをくっつけた。

 

 

(あとどれだけ、こうしていられるのだろう・・・)

 

切ない思いがふわりと湧き上がったと思ったら、その直後・・・。

 

 

はっきりとした「意思」がこみ上げた。

 

 

 

渓太郎は渓太郎でいい。

 

歩けなくても、お散歩に行けなくても・・・

 

そして、私より先に旅立つことになったとしても、渓太郎は渓太郎でいい。

 

 

 

人との比較は、大切なものを見失う。

 

自分の本当の「意思」は、心の外側にあるはずないのだから・・・。

 

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