「なんのために生まれてきたんだろうね・・・渓太郎は」

 

「生まれてすぐに病気になっちゃってね・・・」

 

 

葬儀の直後、どこからともなく聞こえてきた声。

 

 

 

誰よりも悲痛な立場であろう私は、第二の主役。

 

誰も声をかけられないオーラをまといながら、私はひとり、反感混じりにつぶやいた。

 

 

(生まれて間もなく病気になって、人生を楽しむ間もなく死んでしまったんだから・・・。そう思われてもしょうがないよね・・・)

 

 

しかし、私の心の中にも、同じ疑問があったのか・・・自分のつぶやきが引き金となって、苦しい疑問を投げかけた。

 

・・・それも、額ぶちに収められた渓太郎に向かって・・・。

 

 

「渓ちゃんは苦しむために生まれてきたの?」

 

 

すると、痛みや苦しみばかりを感じている私とは正反対に、写真の中から「ハハッ!」という笑い声が聞こえた気がした。

 

 

 

「ボクはただ、生きるために生まれてきたんだよ」

 

 

 

なんの脈略もない純粋無垢な渓太郎の答えが、スっと心に落ちた。

 

 

 

生まれた意味は「生きるため」

 

 

 

生きる意味や、自分の価値を見出すことができなくても、ただ生きているだけで、誰もが大きな目的を果たしている。

 

 

だからただ・・・そこにいるだけでいい。