「どうしたら、がん細胞をやっつけられるんだろう・・・」

 

目が覚めてから眠りに着くまで、がん細胞との闘い一色になった私の頭の中。

 

 

 

しかし・・・

 

いくら小児がんについて調べてみても、考えてみても

 

医師でもない私が直面するのは、なにもできない自分。

 

 

 

 

どうにもならなイラ立ちを、私はなんとか妄想の中で解消しようとした。

 

 

 

ミクロになった私が、渓太郎の体の中に突入。

 

右手に握り締めた剣で、がん細胞に向かって手当たりしだいに切りつける。


倒しても、倒しても、次から次へとがん細胞は現れて、ヘトヘトに疲れきってその日の闘いは終了。

 

 

 

それでもいつか・・・

 

 

「すべて倒したぞ!」とバンザイがしたくて、何度も何度も繰り返した妄想の中での闘い。

 

 

 

 

だけど、いくら闘っても、闘っても、一度も勝利をすることができず、

 

(妄想の中でさえ勝つことができないなんて・・・)と、また厳しい現実を突きつけられた。

 

 

 

 

 

自由だと思っていた妄想の世界は、実はとっても不自由で、

 

自由に想いを描けない・・・。

 

 

 

 

 

とうとう、渓太郎の体に泣きついた。

 

 

 

 

(お願い・・・。

 

一秒でもいいから・・・。

 

少しでも長く渓ちゃんと一緒にいたい・・・。)と。

 

 

 

 

すると・・・

 

 

 

 

渓太郎がニコニコと笑っている姿が頭に浮かんだ。

 

サッカーボールで遊んでいる渓太郎の姿も見えた。

 

 

そして、

 

 

「治療の効果が出ました!」と嬉しそうに病室に飛び込んでくる先生の姿が浮かんだとき・・・

 

「ヤッター!!」とバンザイしている自分が映った。

 

 

それは、妄想の中で求めていた自分の姿。

 

 

 

 

 

 

「妄想」 「祈り」 に代わった瞬間、

 

私は自由になった。

 

 

 

 

 

本当に人を自由にさせてくれるのは、

 

憎しみや恨みが存在しない祈りの世界。