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認知症診療において、実は「誤診」は珍しいことではありません。例えば、1972年のマースデンらの論文によると、初老期発症認知症患者106人のうち15人(14%)は認知症でなく、7人は診断が不確かで、残り84人のうち36人(34%)は認知症が治療しうる状態となり、うち8人は完全に回復したと報告されています。また、1976年フリーモンらの報告によれば、進行性の認知症を呈した患者の30%が治療可能な認知症でした。ウエイティンらによる19721994年のメタ解析によると、部分的な回復の頻度は023%、完全回復は010%でした。

 

これらの報告は、それぞれの時代の各種検査技術や診断力が現在とは異なるので、そのまま受け入れることはできないかもしれませんが、そもそも認知症は、死亡した後の病理診断でしか確定診断できないのですから、MRIが普及した現代でも医師は「誤診はそう珍しいことではない」と認識する必要があります。

 

治療可能な認知症の見落としを防ぐうえでは早期診断・早期治療は重要です。しかし、医師や製薬会社による啓発活動や宣伝を受け取る側の認識の仕方によっては、過剰に認知症を心配し、「治療を開始しなければいけない」という思考に、本人も家族も陥ることがあります。「もの忘れ=治療すべきもの」という思考は、物忘れが生じた高齢者や難聴をもつ高齢者を生きにくくし、認知症の過剰診断が本人の自尊心を傷つけ、家族の不安をあおることになります。

 

臨床現場での私の印象では、認知症とは思えないヒトに抗認知症薬が処方されている例が稀ではないように感じます。また、高齢者に睡眠薬やベンゾジアゼピン系の薬剤を安易に処方することによる「薬剤誘発性認知症」とも言える状態となった患者さんに遭遇することがあります。このような患者さんでは、睡眠薬やベンゾジアゼピン系の薬剤を少しずつ中止にもっていくだけで認知症症状が消失し、歩行が安定することがあります。

 

現存する数種類の抗認知症薬は本当の認知症患者さんにとっては有益ですが、そうでないヒトにとっては無用です。認知症が疑われた場合でも、抗認知症薬を処方する前に日常生活での運動や作業による脳トレーニングを課し、安易に抗認知症薬に依存する姿勢は慎むべきと思います。

 

【参考文献】大石 智:認知症と誤診されやすい疾患. こころの科学 No.154/7-2012 p43-48

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