有用書籍の紹介: がんになった親が子どもにしてあげられること | がん治療の虚実
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有用書籍の紹介: がんになった親が子どもにしてあげられること

 

 

 

大沢 かおり (著)

 

日本ではがん患者の内およそ4人に1人が子育て世代らしい。

子どもに自分の「がん」のことを伝えるのか、伝えないのか。

伝えるとしたら、どう伝えればいいのか。

親が「がん」になった子どもを、周囲はどのようにサポートしていけばいいのか。

これがいま、大きな課題となっている。

本書では、「がんになった親」が「子ども」にできることは何かという観点から、

専門家がアドバイスする。2人に1人が「がん」に罹患する時代、必携の1冊。

 

◆本書の目次

Introduction どの選択も、間違いではありません

Chapter1 子どもに伝えたほうがいいの?

できるだけ早く伝えることのメリット 等

Chapter2 子どもへの伝え方 ――基本編

はじめに伝えたい3つのポイント 等

Chapter3 子どもへの伝え方 ――発達に応じて

赤ちゃんから3歳くらいまでのお子さん(0\~3歳)/小学校入学前の幼いお子さん(4\~5歳)/小学生くらいのお子さん(6\~11歳)/思春期のお子さん(12\~18歳) 等

Chapter4 周りにサポートを求める

子どものためになる相談先は? 等

Chapter5に進む前に

Chapter5 あなたが遺してあげられるもの

レガシーワーク(思い出づくり)等

Conclusion 「がん」になったからこそ 

Information 「がん」と向き合うために必要な情報

 

どの選択でも間違いではありません。

身体の痛みやつらさを軽減する

伝えたくないという葛藤

できるだけ早く伝えることのメリット

情報の洪水から子供を守る

なぜ「がん」と言う言葉を使うのか?

予期せぬ事が起きても「秘密」にしない

発達に応じた子供への伝え方

周りにサポートを求める

あなたが遺してあげられるもの

 

【当方のコメント】

20年ほど前は、患者さん本人には、がん告知をしないことが当たり前だった。

かつての大阪府立成人病センター(今は改称して大阪国際がんセンターとなっているが)というのは、がんセンターのようなものだったが、それじゃ告知していないがん患者を紹介できないという開業医からの訴えがあったので、がんセンターと名付けるわけにはいかなかったという過去がある。

 

昔はがん告知が、今の「余命告知」に相当していたと言って良いほど難しかった。

当方も、がん告知マニュアルを熟読して、がん告知したものだった。

 

しかし、今では手術や抗がん剤治療するのに、がんと隠して治療する事は、一般的にかなり少なくなった。

 

本人の意思を尊重するという意味だが、治療法が発展して、本人の望む治療を受けてもらうためには必須だからだ。

 

今でも地方では、がん告知を本人にしないでくれという風潮が残っていることがある。

日本では2人に1人はがんになるという現実があっても、人口が少なく、近所づきあいの多いところでは、人の噂になることを嫌うし、どう対応すれば良いのかわからないからだろう。

 

先に家族だけ、がんと知っている場合は、本人は気が弱いから伝えないでくれと言われることがある。

だが当方は、やはりがん告知してもらってもいいと考えを改めてもらうという説得が、ほぼ100%できる。

(面倒なことになるので、可能な限り本人と家族には同時にがんと説明するが)

 

家族が、がん告知をいやがる理由は、がんと告知された後に、どんな感じで本人のショックや落ち込みが発生するのかわからないし、どう対応して良いか、皆目見当がつかないからだ。

よって、とりあえず、本人に伝えることを嫌がる。

 

それに対して当方は、以下のように説明している。

 

・がんと伝えないことは、問題の先送りに過ぎない

・家族親族内での口裏合わせは非常に疲れるし、本人の疑心暗鬼が起こり、いずればれる。

・本人が本当のことを知るのが遅れると、残された時間も少なくなり、かえって恨まれる

・本人の望む治療選択ができない。

 

その上で、

 

・がんのショックは、医療者や周囲の支援があれば、一時的に落ち込んでも1か月ほどでかなり回復することがわかっている

・最もショックなことを先に知っておけば、この後覚悟を持って治療に臨める

・本人家族にとって厳しいことでも、先に受け止めることで、将来がん告知に関連するいやな心配やトラブルの芽を、先に摘み取れることのメリットは大きい。

・がんとわかった上で、今からできることに注力することで、最大限の展望が開ける。

 

と説明すると、ほとんどの家族はがん告知に同意してくれる。

 

 

というのが前置きで、本題はここから。

 

多様な役割を担っている子育て世代のがん患者さんの苦悩は大きい。

ことに、自分の子供に、がんのことをどう伝えるか、大変に悩ましいものだ。

そのことを主要テーマに置いた患者会もいくつかあるほどだ。

 

子供に親のがんを伝えるのが難しい理由はいろいろあるだろうが、大きな理由としては、まだ一般的なことになっていないからだろう。

 

つまり、患者本人へのがん告知でさえ、一般的になったのは、がん患者さんの増えた最近の話であるから、年齢層による受け止め方が相当違っている子供達への親のがんの伝え方については、とにかく参考例が周囲にない。

 

相談できる経験者は少ないし、最近急増した相談支援センターの職員のノウハウも蓄積されていない。

主治医自身も当然守備範囲外だからなかなかアドバイスできないものだ。

 

要は、伝えるべきか否か、どう伝えるべきか、伝えた後どう過ごすべきか、そのノウハウが何もわかっていない段階で、不安と葛藤が募るのは当然だろう。

 

逆に言うと、その経験知識やノウハウだけでもわかると、かなり不安は解消されるということでもある。

もちろん、それを知った上で、自分の家族にどう落とし込むかは、本人の努力が必要なのは言うまでもない。

 

そういった中、経験豊富な相談員から、そのものズバリの指導書が出たのは大変喜ばしい。

しかもお子さんの年齢層別による対応の仕方など、とても実践的なアドバイスが詰め込まれている。

 

この本の素晴らしいことを敢えて3つあげる。

 

(1)がんとわかって子供に伝えるかどうか悩んでいる読者へ、押しつけないような配慮があること。

 

「ためらい戸惑う時間さえも、いま、あなたが心を落ち着かせるために必要なプロセスです。」

 

「まずは相談室を頼ってみること」→これは、「行動することが、物事を前進させる」という意味でもある。

 

「子供にがんと伝えることが今はできなくても、この本に目を通しておけば、いつか伝えるときに役に立つ」

 

この本の、「あなたが遺してあげられるもの」という章では、読む気分になれた人だけが、目にできるように、本の後のほうに目次を分けて記載されている。

がんになった親が、自分の終末期のことに関しては、考えるのが辛くなる事を想定しての配慮だろう。

 

 

(2) 子供の年齢層ごとの思考、行動パターン別の対応方法を詳説している。

これは、経験豊富なプロでないとなかなか書けない。

 

(3) 厳しい現実や問題に直面することを単に慰めるだけでなく、今からでもできる将来への糧としてとらえる考え方

 

「がんになった事は悪いことばかりではない。」という言葉でわかるが、とにかく気分はどん底でも、覚悟を決め、行動すれば、展望は開けるという姿勢には大変好感が持てる。

 

これはこのブログのモットーでもあるからだ。

 

本の中には以下のような印象的な記載がある。

 

・親ががんのことを伝えないとどうなるかというと….

 

「子供が自分を責めることにつながる危険性」

「家族から自分が仲間はずれになってしまう可能性」

「不安の正体をはっきりさせないと問題の先送りになる→その問題が大きくなる可能性が高くなる」

「もし親以外から、がんの事を知らされると、子供はショックを受ける」

「隠しておくと、ネット検索して、子供が情報の洪水に覆われる。」

「ガンを親に持つ子供のアンケートでは、『もっと早くから伝えてほしかった』『親が元気なときから知っておきたかった』とされている」

 

・逆に、がんと伝えることは

 

「親ががんになることは子供にとってはマイナスの経験ばかりではない。」

「専門家からみても、人生の困難な出来事を乗り越える力を養い、精神的に成長するチャンスとなる。」

「ショックを受けても、子供は予想外に回復力がある。」

「家族がオープンにしてコミュニケーションを取ることで、がんに、よりうまく対応できるようになるという多くの報告がある。」

「正直に打ち明けることは子供にとって成長のチャンスであり、患者さんにとっては、がんと向き合う面で大きな支援となる。」

「家族の一員として、早くケアの仲間に入れてあげることになる。」

「万一体調が悪化したときも、子供に隠しておく必要がなく、支援が得られる。」

「子供自身にもできることがあることを知ってもらうことの大事さ」

 

厳しい試練ではあるが、そこから逃げないことが、将来への投資につながると言っても良いだろう。

実際、自分が、普通のがん患者さんに、がんとの向き合い方を説明するときは、同様な考え方でアドバイスをしている。

 

子育て世代のがん患者さん向けの、勇気をもらえる一冊ではあるが、家族との付き合いがある、普通のがん患者さんにとっても、これからどう人生を送っていくか多くのヒントが得られる良書といえる。

 

子育て世代の友人のプレゼントとしても良いのではないだろうか?

 

ーーー本日の動画ーーー

 

乳がんの生検診断が外れるのはなぜ?Q&A#48

(10分53秒)

 

 

相談者は乳腺症と言うことで、毎年穿刺吸引細胞診を受けていましたが、悪性とは診断されていませんでした。しかし、妊娠出産後に再検査したところ、いきなり悪性のがんと診断されショックを受け、しかも2年後骨転移まで判明しました。もっと早く診断してもらっていたら、転移しなかったのではないかと思ってしまうそうです。

その理由を知りたいと言うのは、患者さんとして当然の心理でしょう。

ここでは乳がんや他のがん種における病理生検や細胞診の諸事情、背景を詳しく解説しました。

 

 

ーーーーーーーーお知らせーーーーーーーー

 

先日の東京での公開セカンドオピニオン講演会セミナー

「緩和ケアと医療用麻薬の大誤解、ベストテンを正す」

は非常に良い動画になりました。

がん関連動画では、最も重要な動画です。

その理由は将来悲惨な目に遭わないための必須知識だからです。

4月22日ぐらいに配信しますので、近日中に動画視聴予約ページを用意します。

 

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次回案内

◎ (第29回NPO法人宮崎がん共同勉強会東京支部会)

がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参
加いただけます。
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオン以上に、応用の利く助言ができると思います(ただし
個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

日時:2018年5月13日(日曜日) 11:00 ~ 15:00
会場:NATULUCK茅場町新館 2階大会議室

詳細は4月21日に掲示します。

今後の東京支部会の予定日

平成30年 6月10日 (日) 11:00~15:00  東京都 茅場町

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◎ 第67回宮崎善仁会病院院内がんサロンは2018年5月12日土曜日13:30~
15:30です。


場所: 宮崎市新別府町江口950番地1 宮崎善仁会病院2F多目的ホール
予約不要です。

 

◎ 第97回宮崎がん共同勉強会
日時: 2018年4月28日土曜日(当初24日と間違って記載していました、訂正します)


場所: 宮崎市新別府町船戸738-1
宮崎市郡医師会病院研修棟研修室。駐車場は病院



 

今回のテーマ: 「高齢患者さん(75歳以上)への抗がん剤治療に意味はあるか?」

11:30~13:00 患者さんだけの気軽なおしゃべり会


13:00~15:00 がん専門医によるレクチャーと質疑応答


15:00~16:00 FacebookとLINEなどを使ったスマホ勉強会をします。みんなで教え合いましょう。


初めての方も気軽にご参加ください。

 

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