質問と回答: オプジーボの効果判定の時期はいつ?
ーー読者からの質問ーー
以前に夫が胃のNEC(注: 神経内分泌がんで通常の胃がんとは性格が全く違う。性質は小細胞肺がんに近い)で、ということでご丁寧なお返事をいただいた者です。その節はありがとうございました。またこの場で質問させていただくご無礼をお許しください。
一昨日、かかりつけのがんセンター中央病院にてオプジーボ4回投与後の検査をして、転移している肝臓の腫瘍が大きくなっているので効果なしとみなされて治療は終了、緩和に行くようにと言い渡されました。本人はまだまだ元気で体重の減少もなく、仕事もスポーツもやっていますが、さすがに緩和に行くように言われてガックリしています。
先生に質問なのですが、オプジーボはたった4回の投与で効果なしと決められてしまうのでしょうか?免疫に働きかける薬で効果が現れるのに3~6ヶ月かかることもある、ということも聞きます。
今現在何の副作用もなく、自覚症状もありません。主治医にはいつ痛みが出るかもわからないのに何で緩和の手配をしない?他の病院に紹介状を書いてほしいと言ったら、緩和の手配をしなければ書かないとまで言われて早急に緩和の病院も決めました。困った時になってがんセンターさん、どうにかしてくださいと言って来られても困る、とまで言われて、私はもう二度とあの主治医の顔も見たくない気分です。
いつもブログやYouTubeの公開講座を拝見していて、先生のような方が主治医だったらどんなによかったかと思っています。
お忙しいのに申し訳ありません。お返事をいただけましたら幸いです。
どれみ
ーーーーーーーーここまで引用ーーーーーーーー
【当方の回答】
まず、一般向けの簡単な治験や臨床試験の仕組みを説明します。
通常の抗がん剤の臨床試験では4〜6週間ごとのCT画像検査で、治療効果を定期的に確認します。このときある程度の腫瘍増大がみられたら、その治療法は無効となったという判定が下され試験治療からはずれます。
免疫チェックポイント薬(オプジーボなど)の場合はpseudo progressionという偽増悪現象が起こることがあります。これは賦活化されたリンパ球が腫瘍自体に入り込んで、画像上では腫瘍増大のように見えるものです。
一定時間がたつと腫瘍縮小に転じることがあるのが特徴で、どの時点で判定するかはがん種によっても意見がまちまちで、今まさに研究中の項目です。
参考になるヒントとしては、腫瘍による症状悪化がないとか、全身状態の悪化がないとかがあります。
非小細胞肺がんなどでは4ヶ月あたりで、真の増大なのかどうかの見切りをつけるという話もありますが、NECの場合、対象症例経験数が少ないので、なかなか基準がないのでしょう。
担当医が、どういった根拠で真の腫瘍増大と判定されたかはわかりませんが(たとえば、偽増悪とは思えないほどの腫瘍増大など)、偽増悪の患者さんはずっと少ない割合であるのも事実です。
既に4回投与したと言うことは、2か月たっているわけです。
治験、臨床試験では、画像上の増大判定時期や基準を厳密に規定しているはずですから、担当医の意思とは関係なく、プロトコール(手順)上、無効判定が下されたのかもしれません。
もちろん100%偽増悪がないとは言えないでしょうが、残念ながら可能性はかなり低いのでしょう。
無効な治療を引っ張ることで、患者さんに害を与えることは、治療医としてはかなり警戒するものです。
また上記のように試験治療のプロトコールの制約もありますが、国立がん研究センター中央病院の性格上、やむを得ない事情もあります。
このことについては次回詳説します。
話を戻しますが、まだ症状が無く元気であるということは、探せば、なんらかの新薬治験に参加できる可能性はあるかもしれませんし、小細胞肺がんに準じた抗がん剤(アムルビシンなど)をやってくれる病院を探すのも手かもしれません(ただし、必ずしも勧めているわけではありませんが)。
また薬物療法で使えるものがないと言っても、それですぐ寿命が尽きるとも限りません。どのがんでも、増殖速度は個人差が激しいためです。
希望を持ち続けることは大事ですが、治療薬にこだわりすぎても、不本意な人生となってしまいます。
なぜなら、人生は時間そのものだからです。
腫瘍を縮小させる治療法がなくなった患者さんをたくさん診てきましたが、きついがん治療だけにつぎ込んで、残りの大事な人生の時間をすり潰してしまう人も大勢います。
さらなる治療薬があったとしても、それが効くともかぎらず、逆に厳しい副作用で苦しむ可能性もあるからです。
確かに、気持ちを落ち着かせるのは容易ではなく、これからも揺れ動くでしょう。
治療をどうするかは、大事なテーマですが、一方で症状が無いことで、覚悟を決めて今の時間をどう意義深いものにするかということにも、同時に注力する事をお勧めします。
つまり、治療と人生を分けて考えるということです。
次回はがんセンターの医師がなぜ冷たく見えるのか、治療無効となった場合、緩和ケアに行かされるのか、その背景の解説をおこないます。
さていよいよ今晩2月28日夜までの限定公開のwebセミナー
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〜だます側、だまされる側の論理と一般人が知らない食事療法の危険性〜
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(第27回NPO法人宮崎がん共同勉強会東京支部会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオン以上に、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
日時:2018年3月17日(土曜日) 11:00 ~ 15:00(+懇親会)
場所: NATULUCK茅場町新館 2階大会議室
東京都中央区日本橋兜町12-7 兜町第3ビル 2F
東京メトロ東西線 茅場町駅から12番出口 徒歩30秒
プログラム
11:00 開場(会場準備設定含むので、自由歓談)
11:30~12:00 ミニレクチャー
「ほとんどの人が勘違いしている標準治療の本当の意味と徹底活用法教えます」
(当初予定していた「がん治療における食事療法の落とし穴」Part IVは延期と
なりました)
12:10~12:50 自己紹介、近況報告
13:00 ~15:00 質疑応答(Facebook、YouTubeライブ動画配信あり)
15:00~17:00 会場にて懇親会
各グループに分かれておしゃべり会をします。一部テーブルではテレビ電話会
議アプリZOOMを使い、遠隔会場と接続します。
(食べ物は各自で持ち込んでください。アルコール可、途中コンビニ買い出し可
)
※ 今回50人限定となり、事前登録が必要です。
先着順で50人に達すると自動的に終了となります。
当日予約無しで来られた場合、お断りすることがあります。
なお動画参加は3月5日以降に案内します。
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◎ 第65回宮崎善仁会病院院内がんサロンは2018年2月10日土曜日13:30~
15:30です。
場所: 宮崎市新別府町江口950番地1 宮崎善仁会病院2F多目的ホール
予約不要です。
◎ 第96回宮崎がん共同勉強会
日時: 2018年3月24日土曜日
場所: 宮崎市新別府町船戸738-1
宮崎市郡医師会病院研修棟研修室。駐車場は病院
今回のテーマ:
「偽りのがん情報に振り回されないための7つのポイントとは?」
11:30~13:00 患者さんだけの気軽なおしゃべり会
13:00~15:00 がん専門医によるレクチャーと質疑応答
15:00~16:00 FacebookとLINEなどを使ったスマホ勉強会をします。みんなで教え合いましょう。
初めての方も気軽にご参加ください。
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