近藤理論の手法の問題⑦-IV胃がん臨床試験の迷解釈 | がん治療の虚実
2013-12-19 22:15:28

近藤理論の手法の問題⑦-IV胃がん臨床試験の迷解釈

テーマ:近藤誠氏への反論

前回は切除不能再発胃がんの抗がん剤の有用性についてはBSC(化学療法なしの緩和療法のみ)群と化学療法ありのRCT(無作為比較試験)で繰り返し検証されていると述べた。
そしてその中ではGlimeliusらのRCTの結果を代表例として提示した。
実はこの臨床試験、近藤誠氏は著書「抗がん剤は効かない」の中で胃がんについて次のように書いている。

「進行期の胃がんを検討しようと思いますが、じつは、是非紹介すべきデータがない。臨床試験自体は、いくつか実施されているのですが、いずれも被験者の数が少なく、データを解析しても、その信頼性に(人数の点から)問題が残るのです。
~中略~
そこで被験者総数が61人と、胃がんに関しては最大規模である臨床試験データを紹介します。」


下記の図のグラフで抗がん剤投与群は上に凸の奇妙なグラフだから人為的操作が介在していると主張し、抗がん剤治療の有効性を否定している。
胃がん比較試験1

ここでは、一定の割合で亡くなる患者の生存曲線は(近藤誠氏本人が信じるには)下に凸の曲線になるはずで、医者側の意図的行為が介入しない限り上に凸になる事はありえないと主張している。

しかしそんなおかしな医学的解釈は通用しない。
しかもこの論文の原著者は抗がん剤治療を加えた方が延命効果だけでなくQOLも改善効果があったと結論づけているのに、近藤誠氏は自分勝手珍妙な解釈のために引用しているのだから噴飯物だ。

一応近藤誠氏は生存曲線が指数関数曲線(つまりは下に凸の曲線)になる理由をP.36に記載している。

ある被験者集団はある一定の割合で死亡する性質(死亡リスクという)を持っているから下に凸の曲線になるのであり、自身がかつておこなった舌がん患者の追跡調査論文を挙げて解説している。
また臨床試験では参加患者の予後が追えなくなる「打ち切りケース」が多いと人為的介入となり上に凸の曲線になる、全患者の死亡事実をつかめば下に凸の曲線になるはずだと強く主張している。

言おうとしていることは何となくわかるが、こう言う論理で実際の臨床試験の生存曲線の真偽が判定できるのなら、最初から理論だけで十分であり、実際の治療成績や理論が正しいかどうかを確認する臨床試験は無用となる。

つまり理論と結果という信頼すべき医学データの上下関係を逆転させようというナンセンスさがわかるだろうか?
医学を含めた科学というのは、現実の結果が理論どおりにならないから、その原因を探求し、理論の不備を補ってさらに発展するものだ。

第一、前述の死亡リスクが一定という理論はどんな治療をしたのかしなかったのか区別していない雑多な舌がん症例群の長期追跡調査だから成り立つ話で、今回の胃がんのRCTとは前提条件が根本から違う。
まさに抗がん剤治療をしなかった患者群の曲線は死亡リスクが一定だから下に凸、抗がん剤治療群は抗がん剤で死亡リスクが低下したから上に凸の曲線になったのだ。

また打ち切りケースが多くなって人為的介入が不自然な上に凸の曲線の原因だと言っていたが、このRCTでは打ち切りケース無しの全例予後が把握されている試験だから、全く該当しない論理を持ってきている。

それなのに曲線の形がおかしいから人為的介入があるとしれっと主張するのは、一般人には難しいのでばれないだろうと思っているのかもしれないが、あまりに不誠実ではないだろうか?

Sho(がん治療の虚実)さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントする]