近藤誠氏への批判⑥がん医療が専門外の医師が近藤理論に賛同してしまう理由 | がん治療の虚実
2013-08-08 17:25:30

近藤誠氏への批判⑥がん医療が専門外の医師が近藤理論に賛同してしまう理由

テーマ:近藤誠氏への反論
がん治療というのは他の医療行為と違う部分が結構有る
例えば

・抗がん剤は効果と副作用の発現する用量域が狭く、毒性が出ることを前提に使用する 薬剤である.
・腫瘍の縮小、症状緩和、延命効果が出る人と、毒性ばかり出て、かえって治療のマイナスになる人の差が激しい。
・抗がん剤の副作用が少し出ても耐えられない人もいれば、相当厳しい副作用が出ても治療を継続すること自体を一縷の希望としている人もいる。
・抗がん剤自体による治療関連死が1-2%もあること。
・しかもそれほどきびしい治療に耐えても、完治という意味では報われないことが多い

治らない病気は多いが、ここまで患者さんが負担を強いられる病気のジャンルはあまりない。
だからこそ世間一般のイメージは悪いのだが、がん治療が発展してきてもまだまだ不十分なのは言うまでもない。

さてこういう社会的背景をもとにジャーナリストの立花隆氏を始め、医療関係者でも近藤誠氏の主張に賛同するケースがある。
医学・医療に対するリテラシー(読み書き能力の事)が多少あると、世界中の医学論文から引用して自説を主張する近藤誠氏の言っていることはもっともなことだとつい思ってしまう。

がん治療医が氏に全体的に同意する例はほとんどないが(だからこそ極論とされるのだが)、がんが専門では無い医師の場合は、その主張が正しいと感じてしまう理由は何だろうか。

今の医学知識はあまりにも膨大でかつ、進歩が早いため、自分の専門外の医学に関しては十分に把握できなくなっている。あるいは把握できたとしても、きちんとした議論をする知識を持つことを意味するものでは無い。
確かに医師は専門用語知識と科学的思考方法というリテラシーは持っているため、専門外の医学を理解できる。
しかし、最適解を求めるための綿密な議論をおこなう専門家同士のやりとりにはついて行けないことが多い。
こういった場合、主張の根拠となる論文の出典がしっかりしているかどうかで、議論の根拠があるかを判断する事になる。

主観のみでは構成された主張は単なる感想で論文では無い。つまり医学論文というのは数十から百編以上にもおよぶ参考文献から引用されて作られる。

この構成がしっかりしていれば、論文としてはまともらしく見えるが、本当の意味で納得するためにはそこに引用された参考文献全てを読破して理解しておく必要がある。

もちろんその筋の専門家は引用された参考文献はもちろん、引用されなかった参考文献の内容もすでに知っているので、その論文の妥当性や立ち位置を把握することに問題はない。

ところが少し専門外の分野になると論文の主張することは理解できても、参考文献の吟味までは手に余るようになってくる(もちろんできなくは無いが時間確保が難しい)。

近藤誠氏は自分の主張に合致する参考文献のみを引用し、意に反した参考文献を無視する傾向がある。
さらには引用した文献の内容まで曲解して結論づけることもたびたびある。
参考:
近藤氏「抗がん剤は効かない」への反論II-⑤印象操作
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10781527246.html
------文藝春秋2月号にはこのベクティビックスの審査議事録の内容についても記載がある。
ベクティビックスはがん細胞膜上のEGFRという上皮細胞増殖因子(細胞分裂促進させる)をブロックして効果発揮する。しかし検査法の不備のためかがん細胞上のEGFR発現がなくても効いてしまう。だからベクティビックスの使用可能かどうかを決めるのにその検査を必須としなくても良いのではと言う議論の所で「禅問答のようですが」と言う議事録の発言が出てくる。
それをとらえて近藤誠氏はそんな議論で認可されるのは腫瘍内科医と厚生労働省、製薬会社が結託しているからだという趣旨の記載がある。
審査会の腫瘍に対する効果はあると一致しているのに、EGFR発現の有無の確認を必須とするかどうかという学問的な整合性についての余談を
抗腫瘍効果そのものに疑問があると禅問答を仕掛けてうやむやにする
とすり替えて印象づける記載をしているのだ。------

近藤氏「抗がん剤は効かない」への反論II-④近藤氏のデマ
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10780021777.html
-----手術不能、再発大腸がんの患者さんで二次三次治療まで行って効かなくなった患者さんを本人の意志とは無関係にベクティビックスを投与するかしないかの二つのグループに分けられました。
投与された患者群ではPFS(無増悪生存期間)の曲線を見ると腫瘍増大が多少抑制されたけどOS(全生存割合曲線)のグラフは両グループともほぼ一致しているのでベクティビックスは延命には効果なかったと文藝春秋2月号の近藤誠氏は主張しています。
(中略)
両群とも生き残っている患者さんの割合つまりOS(全生存期間)を曲線に示したところほぼ重なっているのがわかりますが、ベクティビックスを投与されなかった患者さんの76%は腫瘍増大後ベクティビックスを投与されているのです。
そのことに全く言及されていないどころか、投与してもしなくても延命と関係無しと言っているのがいかにひどい嘘がわかるでしょう。

こうなってくるとがん専門家以外はたとえ医学に通じていても、氏の主張がまともに見えてくるし、誤謬を指摘することが困難な理由がわかるだろう。-------

次回予告
・専門家を説得出来ない近藤理論の手法の問題
・近藤誠氏自身ががん関連学会内で活動しない理由(推測)

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