近藤誠氏「抗がん剤は効かない」批判②患者を楽にする治療が寿命を縮める? | がん治療の虚実

近藤誠氏「抗がん剤は効かない」批判②患者を楽にする治療が寿命を縮める?


前回は近藤誠氏が「OS(全生存期間:本当の意味での死亡するまでの期間)のグラフは両群ともほぼ重なっており、つまりベクティビックスを使っても使わなくても寿命は変わらないと主張していた」しかし、全体的にベクティビックスを使っていなかった患者さんは総参加数の8人の一人しかいなかったことを意図的に隠して事実を曲げていたことを暴露しました。

今回の連載は極力絞った内容にします。その中でも近藤誠氏の主張がどれだけ現実離れしているか示す発言の引用を行います。

~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~
仮にステロイドを使用した場合は患者が体感する(抗がん剤の)副作用は弱くなるので,抗がん剤治療を拒絶することも少なくなり,治療回数が増え、治療期間が長くなる。その結果ステロイドの副作用が蓄積・増大する。そしてその総体が縮命効果を強めることになる。
制吐剤にも問題がある。近年優秀な制吐剤とステロイドの導入で抗がん剤治療が長く続けられるようになった事は確かです。しかしその結果抗がん剤やステロイドの毒性が・増大している。
ステロイドを併用した化学療法では症状緩和効果を指標とするのは危険です。
またステロイドを併用しない場合にも~中略~各種症状の有無や強度は,患者の精神状態にも左右されるので(抗がん剤を信じている)患者は抗がん剤を使ってもらったことでうれしくなり,症状が多少緩和されることがあるのです。
~~~~~~~~~ここまで~~~~~~~~~


皆さんこの話わかりますか?
特に医療関係者にとっては???でしょう。
簡単に言い換えると抗がん剤の苦しい副作用を抑えられるようになったから長期治療が可能となり、その間ステロイドが長く投与される(それでも多く抗がん剤投与後3日間ぐらい)からそれによる副作用で寿命が短くなるという論法です。

遅発性嘔吐に非常に効果のあるステロイド投与は多くて週3日間ぐらいの投与期間ですから、一般的な自己免疫疾患(慢性糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎、SLEなど)の良性疾患の方がよほど大量、かつ投与期間が長期に渡るため危険性が高くなるのは常識だ。

がん治療にステロイドを使うのはそれなりに副作用があっても短期間だし遙かに主作用のメリットが大きいことが証明されているので使用しているのである。

ずっと危険な抗がん剤を差し置いてステロイドの危険性を延々と解説し、はては縮命効果とまで言うのは逆立ちした論法だ。

もっと言い換えると副作用を楽にすると抗がん剤治療が長く続けられるからより長い間きつい目に遭うことになるとまで書いてある。

苦しんで早く諦めて死んだ方がずっとましということだ。

臨床試験の指標としても生存期間の延長がQOLの改善と同義とされているのが常識とされている中で
こんなとんでもない理論を素直に受け取る患者さんがどれだけいるだろう。

すでにカルト宗教としか思えない領域になってきたなあ。