近藤誠氏の「抗がん剤は効かない」に対する反論⑥ | がん治療の虚実
2010-12-28 14:46:21

近藤誠氏の「抗がん剤は効かない」に対する反論⑥

テーマ:近藤誠氏への反論
・近藤誠氏の主張の問題点と一般雑誌にのるセンセーショナルな医学記事の共通の問題点
医学界というのは言いたい放題の世界で混沌としている。医学論文や報告は膨大なもので医学雑誌でも全世界で6000種類以上ある。そんな膨大な情報をどうやって取り捨て選択するかは非常に難しい。そのため最近ではがん種ごとの治療ガイドラインが作成されている。胆道がんを例に挙げると1600種類以上の国内外の論文を吟味してそれぞれのエビデンス(科学的根拠)レベルの優劣を考慮し議論を尽くして作り上げられたのだ。
単なる理論だけでは無意味で実際の集積データを基に作成されるが統計学的な検証も厳密に行われるのは当然だ。
近藤誠氏の主張では抗がん剤治療の専門家が情報の操作や隠蔽を行っていると言うが、そういう点は専門家同士が常々お互いに不備を見つけてけんけんがくがくの論争を行っているのだ。
もちろん全く情報操作がないとは言わない。製薬メーカーの思惑が入り込み多少の誘導があるのも事実だ。しかし既に多くの監視の目が光るようになってきているため大方の方向を無理に変えることは困難だ。
こういう状況ではあるがどんな研究者でも言いたいことを言うことは可能だ。したがって実際には医学界ではありとあらゆる主張が併存しているのが現実だ。
そして近藤誠氏は自身の主張にかなう論文の一部だけをかき集めて根拠にし、意に沿わないものを無視する傾向がある。
例えば、胃がんに対するエスワン(商品名ティーエスワン)は承認時にねじ曲げた実例を挙げ、それを根拠に承認取り消しをと主張している。しかし承認後の大規模臨床試験、各学会での追試験の報告、シスプラチンとの併用などの報告でほとんどが生存期間中央値がずっと延長しているという数多くの肯定的エビデンスを敢えて無視しているのだ。実臨床である大学病院で筆者は数多くの胃がん患者さんの治療を行っているが、これをみて多くの諸先輩医師たちから「こんなに元気で長生きしている患者さんは昔は見たことがなかった」という証言をたくさん経験している。
確かに研究者ならだれでも多少は自分の都合の良いところだけに注目する傾向はある。
しかし学会で論争するのではなく,正確に吟味することが困難な一般読者にいかにも根拠があるようにセンセーショナルな主張をするのが問題なのだ。
そしてそれは医学常識がいかにも間違っていたというような記事を載せるいろんな雑誌記事も同様である。
要は最初に結論の方向を決めておいてそれに合致するような論文や著者の協力を得ればいかにも根拠のある真相だと見かけ上インパクトのある見出し記事が書けるのだ。

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