美容医療:今年は規制の時代幕開け?? | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

週末は福岡でレーザーの講演。

前週に続いてフラクショナル炭酸ガスレーザーのコアについてです。2週も続けて?と思われるかもしれませんが、今度の週末も大阪で講演します(本当はもう1週と依頼されましたが、さすがに辞退しました)。

前回ブログで書いたように、この機械が国内で正式に承認品としての認可が下りたからです。美容目的、フラクショナルリサーフェイシングという用途では初の快挙です。

美容目的というのは国がなかなか認可せず、医師個人輸入にて導入する機器が殆どです。しかし、状況が変わりつつあります。

 

今後美容領域は厳しい規制下に置かれます。ホームページの記載内容・広告規制や治療費の支払い・クーリングオフ制度など、厚生労働省だけではなく消費者庁が目を光らせ、法的に罰則有りの規制が始まりつつあります。

機器に関しては、承認品でなければ、ホームページ上で記載できる内容に規制が生じる可能性があるようです。まだまだ流動的で、どこまで規制がかかるか議論はあるものの、業界を大きく変えてしまう流れであることは確かです。現実化したら個人のクリニックの殆どが大打撃です。

そんななかで、各社とも厚生労働省承認に向けて様々な努力をしているようです。規制がかけられれば、その基準をクリアした機器を用いるのは当然です。

 

現在、ホームページ上での治療前後の写真掲載、実態のない割引キャンペーン(実際はその費用が常態)、「患者様の声」など客観性のない評価、公的ではない優位性、存在しない専門医・認定医の表記、未承認品・未承認治療の掲載などが規制対象としてあげられており、検討が進められているようです。既にネットパトロールを国はおこなっていて、指導も入っているとか。

今現在は殆どのクリニックのサイト上で上記は掲載されていますが、どこまで厳格に適応されるのか、どこまで表記してオッケーなのか、戦々恐々です。

もちろんブログも関連サイトとして位置づけられるようですし、リンクなど実態としてクリニックの宣伝と見なされればアウトですから、厳しい時代です。

 

思えば10数年前、ネットが全盛でない頃は雑誌広告でした。普通医療広告では書けることは限られるので、クリニック医師が書籍を執筆し、本の広告という形で治療費も丸々含めた内容が掲載されていました。グレーゾーンな広告です。そんなことが出来るのは大手美容外科のみ、莫大な広告宣伝費をかけられるクリニックが勝ち組でした。

私がこの業界に入った頃、「で、月にいくら広告費かけられる?」と何度も聞かれたものです。個人でも莫大な広告費を払うのが常識でした。

 

時代はネットへ。それによって大金をつぎ込まなくても表現する自由が与えられ、先進国と同じく個人のクリニックが力をつけ、美容医療は一般化しました。

しかし、結局昔と同じ構図で、徐々にネットでも誇大な表現が増え、規制が必要となってきました。

全体を考えれば、このようになる事は予想できたのに、個人が個の利益のために常識的には放置できない内容で次々展開していったため、業界全体では自業自得とも言えます。

 

しかし結果的には、真っ当な美容医療情報でさえもクリニックが対外的に表現できる術を失い、患者サイドは情報を得ることが出来なくなる可能性があります。

 

でももちろん、エステはその規制の対象外。自由にキャンペーン価格表記も出来るし、広告規制はずっと甘いのです。機械だって医療機器ではないから書き放題。

エステが異業種ではなく脱毛や機器施術など可能な競合機関となる、日本という世界的にも稀な法規制のもとで、美容医療機関は真面目に情報提供だけしていたらエステに負けてしまうからこそ、エステと同じようなホームページ戦略をせざるを得ない、これも大きな要因かもしれません。

 

智恵を使って生きていかなければいけない時代です。正しい美容医療をしているだけでは厳しい日が訪れそうです。世界的に見て中国も含めた殆どの国よりも美容医療に厳しくなりつつある日本という国、今年は大きな転換期です。どういった形か、正しい医療機関が残るか、その逆かは分かりませんが、淘汰されるのでしょう。

 

そのような理由で、医療機関では承認された機器を使うことの重要性が益々高まっているのかもしれません。