肝斑のレーザー治療に対する私見 | 美容外科開業医の独り言

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美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

昨日は東京マラソン。
昨年に引き続き、走ってきました(チャリティ枠という制度で、寄付して走りました)。
マラソン
何とか完走しました。
私自身は健康&ダイエットのためにジョギングは欠かさずおこなっていますが、マラソンとなるとトレーニングが必要です。そのようなレベルには達していないので、完走目標に楽しんで走るつもりでしたが、やっぱりいざ走り出すと。。。。
途中で脚が痛くなりましたが、何とかゴールしました。



さて、最近、肝斑のレーザー治療を否定する一部医師の見解があります。白く抜けすぎるという副作用を問題視してます。またレーザーを使わなくても十分結果を出せるということも、否定する根拠です。
今や日本中で肝斑のレーザー:レーザートーニングは実施されています。元々は海外で始まり、韓国などでは非常に広く普及しています。そして効果もあります。ただ、やはり副作用のない治療法はありませんので、誰もが簡単におこなうのではなく、肌の状態を見ながら正しい診断の元に実施をする必要があると思うのです。
そして、当院受診をされた患者様はお分かりと思いますが、私は基本的に全ての方にレーザートーニングを実施はしていません。他の治療法(スキンケア含む)で十分有効と判断すれば、そちらを優先します。
また当院で実施している機器は通常のレーザートーニング機器と異なり、パルス幅(レーザーを照射している時間)が50ナノ秒(他社は10-20ナノ秒)と長く、瞬間的な肌への負荷が少ない機器です。ただ、使いこなすのがやや難しいとは思いますが、正しく用いれば安全性は高いと思います。

私は肝斑へのレーザー治療に対する否定的な意見は非常に重要だと思います。
メディアによって作られた治療法という側面もあるという意見もあります。

メディアはどうしても、最新のもの、今までなかったものを取り上げる傾向にあります。一時期私自身もメディアにこの治療についてコメントしたりしました。もちろん経験を積んで自分の見解を述べていますが、ほかにも多数のドクターが推奨していましたし、実際よりもややそのムーブメントが大きくなったことを危惧します。
その結果、多くの施設で何ら検証もされないままにレーザートーニングという治療法が一人歩きしてしまった、経験と知識あるクリニックだけではなく、どこでも実施をしてしまって、様々な問題を生じさせています。

もちろんメディアが悪いわけではありません。新しい治療、面白い治療を広く知らしめることこそがメディアの役割です。一方、使用している医師は自身の経験を話すべきですし、その上で自信を持って推奨しているのであれば何ら問題はないと思います。そしてそれが現在の世界的潮流でもあります。

しかし最近、医師側がその流れに乗ってしまい、使ってもいない機器・治療法をメディアで紹介したりという傾向にあります。そしてそれがビジネスとして成り立ってしまう流れは断ち切らないといけません。
医療はビジネスではなくサイエンスですので、治療効果を実証して、自分自身でその評価をした上で責任ある発言をする必要があります。
また、正しい医療をしないと、せっかくここまで発展してきた美容医療が根拠のない怪しいものになってしまいます。患者に対する思いやり、真摯に向き合う心が重要だと信じています。

ちょっと前に物議を醸した「STAP細胞はあります!」なんていう記者会見がありましたが、感情で科学は覆りません。怪しいと思われた時に、根拠のある科学的実証ができるのか、それが大事です。肝斑の治療レーザートーニングも、今はまだその点が確立されていませんので、医師の経験で治療をおこなう以上、それなりの知識と技術が必要です。

そして医療系の業者も、安易にその流れに乗ることなく、但し「良い治療は良い」ので、その点を学術的に証明しながらしっかりと普及させて頂きたいなと願います。

ただ、私のような一開業医には、経験を積んでその上で臨床評価をすることしかできません。それが第一線で診療をする開業医の役割だと思っています。しかしそのベースはビジネスではなく医療でありサイエンスです。