新世代のフラクショナル炭酸ガスレーザー | 美容外科開業医の独り言

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ここ1~2年、傷跡・にきび跡に対するフラクショナル炭酸ガスレーザーの有効性が分かってきて、この手の機械が多数登場してきました。最近では安価なものも登場してきて、多くの医療機関に導入されています。
最近登場している韓国製の機器は、レーザー本体(ヘッド部分)は米国製で、スキャナと言われる先端部(コンピューター制御でレーザー光線をフラクショナルパターンに照射する装置)もドイツ製などが多く、単に組み合わせるだけで製品として出来上がってしまうので、似たような機械が沢山販売されています。そのような装置は治療設定のソフトが違うだけですので、制御方法などから類似品かどうかすぐに見分けがつきます。あとは価格の多くを占めるレーザーヘッドの出力(車と同じで馬力があれば高価なのです)と、その製造業者独自のアイデアが盛り込んであるかどうかで決めても良いのかなとも思ってしまいます。レーザービームの直径も、小さい方が良いという通説(間違いですけど)があるために、メーカーはカタログ上では小さな径で記載しますが実際に測ると全然違ったりするそうで、もうそうなるとあまり差を見いだせなくなってきています。あとはメーカーの信頼度ということでしょうか....

エコツー、アンコア(ブリッジセラピー)、フラクセルリペアが日本国内における代表的な機器になります。患者様からはよくどう差があるのかを聞かれます。性能にはもちろん特徴がありますし、差がありますが、基本理論は全く同じで、使い方次第というレベルの差です。レーザーそのものの性能としてはアンコアとフラクセルが優れており、特にアンコアはレーザー自体は最強です。一方、使いやすさがエコツーの特徴で、実際の治療においては設定を色々可変して、状況に応じた設定の切り替えが自由自在、つまり使い手による差が大きいということになります。車で言うとアウディがエコツー、ポルシェがアンコア、フェラーリがフラクセルリペアという感じでしょうか。結局は操る医師次第なのかもしれません。

さて、このフラクショナル炭酸ガスレーザー、第2世代とも言うべき機種が登場します。
一つはCO2RE(キャンデラ社)で、従来の単に穴を開けるだけの概念から進化して、穴の径や深さ、照射パターンなどかなり自由度が高く設定できる機種です。エコツーで言うところのチップの着脱による径の変更が可能であったり、アンコアのdeep,active (total)を同じ穴の位置に照射(これにより削る位置にズレが生じません)したり、さらには通常のスキャナ付き炭酸ガスレーザーと同じく細かいコントロールでほくろを取ったり、外科的なレーザーメスとして使えたり....

同じく、熱影響を特殊なパルス発振制御(2段階ピークパルス)にてコントロールしているSmartXIDE DOT(DEKA社)も面白い存在です。数年前に本社(イタリア)の人から説明を受けた時は、まだその特殊性についてのアピールがなく、何だか他の機種と変わらない印象を持っていたのですが、日本法人ができて、きちんと説明を受けた印象では、ちょっと捻りが効いていて使えそうな機械です。

にきび跡や傷跡の治療がさらに進化する可能性があります。もちろんまだ使ってないので、スペックだけの判断です。実際の設定などまだまだ考えなければいけないかもしれません。絵に描いた餅にならないように期待。

両機とも米国・ヨーロッパではそれぞれトップメーカーですから、信頼度も高く、来年のフラクショナル炭酸ガスレーザーの主役になっていくのかもしれません。旧機種とどれだけの差があるのでしょうか、楽しみです。
特にCO2REはフラクショナル炭酸ガスレーザー機能だけではなく、日本に需要の多いほくろ取りのスキャナ機能もついていますので、2台のレーザーを買うよりずっと安価でかつ性能も上となると、医師側からしても魅力ある製品です。

さらにはフラクショナルなレーザーではなく高周波を用いるイントラセルやスカーレット、e-primeをはじめ、針で穴を開ける機種、フラクショナルに表面から深部へ拡張した高周波を照射するe-matrixなども改良されながら進化していくことでしょう。

今年後半は新しい機械を導入せずに、資金を貯めつつ情報が出てくるのを待っていたのですが、やっと、という感じです。

他にも肝斑用の新しい機械、冷却&導入デバイス、超音波による全く新しい概念の導入機も登場予定ですので、さてどこに注力するか悩みどころです。

今週末は見た目のアンチエイジング研究会と美療アンチエイジング研究会で講演予定。2連チャンです。その際にイスラエルから来日するAlma lasers社の開発責任者から新しい導入機Legatoについてプレゼンを受ける予定です。超音波の振動とプレッシャーを特殊な制御で用いて薬剤を導入するシステムです。先日の韓国でAlma lasers CEOのZivから初公開された技術がどういった製品になったのか、楽しみです。