シミのレーザー治療は魔法か? | 美容外科開業医の独り言

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シミのレーザー治療というのは現在では非常にポピュラーになりました。
レーザーといえばシミ取りと思っている人も多いものです。
その方法もフォトフェイシャル系のような弱い光(レーザーではありません)を何度も照射して徐々に薄くする方法から、Qスイッチレーザーというものでしっかりと照射して根こそぎ取ってしまう方法まであります。
しかしながら、魔法のようにシミは消えるでしょうか?

まずしっかりレーザーで取った場合は、日本人の3~4割は一度消えたはずのシミが2~3週間かけて戻ってきます。ちょうどヤケドをした後やニキビが潰れた後に、赤みが引いてきたら茶色くなる現象と同じです。炎症後色素沈着と言います。
これも待てば、そしてより積極的には美白剤を塗っていけば、数ヶ月の経過でかなり消えていきます。
この段階で跡形無く消えてしまうものもありますが、中には微妙に輪郭だけ残ったり、全体に何となく薄く残ったりすることもあります。
残念ながら全てのシミが消しゴムを使ったように消え去る訳ではありません。
よくそれは技術の問題とか、機器が悪いとか言っている医師がいますが、そんなことはありません。全例が綺麗に消え去る訳ではないのです。Qスイッチアレキサンドライト、ルビー、KTP、ロングパルス・マイクロパルスアレキサンドライトなど使い分けても....

そもそもシミは老化現象の一つであり、肌の若返りが完全にできない限りは、治療後でもシミが生じていた皮膚というのは何らかのダメージが残存します。またニキビの痕がシミになっていたり傷跡があったりと、色が消えても肌が正常化し得ないものもあります。

事前の肌診察でこれをきちんと見極めて、その上で炎症後の色素沈着ができるだけ軽度で済むようなレーザー出力の設定や機種の選択をし、さらにはアフターケアも状況によって様々なものを用意する、患者様の普段のケアまで確認する、そういった配慮をすることがプロの美容外科、美容皮膚科医の務めではありますし、最低条件ではあります。しかしそれをしてもなお、100%ではないのが悩ましいところです。
綺麗に取れるものしかレーザーをしないというのも一つの選択肢ではありますが、できるだけ患者満足度を上げるため、レーザーの適応を広げていくことも大事です。