注入剤レディエッセの性質 | 美容外科開業医の独り言

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今週末はレディエッセ注入のエキスパートセミナー講師予定です。経験者の先生方が多く参加されるので、よりスキルアップできるよう内容を吟味中。

最近当院ではコンスタントにレディエッセの注入を行うようになっています。
もう2年半近くの経験になります。
1年半ほど経過した患者様が再注入することも増えてきました。
やはり1年を過ぎると、まだ残存してはいるものの、再度治療を望まれる方が多いようです。

国内でも1年以上使用しているドクターが増えてきて、効果とともに副作用なども報告されるようになってきました。
魔法の注入剤ではなく、他の注入剤同様に誤った使用によってトラブルが発生はしています。

最大の誤解は、ヒアルロン酸と全く同じように使用できると考えることです。レディエッセはヒアルロン酸とは大きく異なる素材です。カルシウムとリン酸で構成されているために、アレルギーフリーとされていますが、ミクロン単位のスムーズな固体の粒です。これを理解しないと、皮膚の浅い部分や皮脂腺の発達している部位に注入してトラブルを起こすようです。幸い当院ではまだ大きなトラブルは経験していませんが、いつも注意を払わなければいけない事項です。なにしろ「深く」注入です。

感染や肉芽腫を生じる場合は、皮膚に露出もしくは浅くに注入したときに起こりえます。毛穴の中に露出する事態は避けるべきであり、よって鼻先などは慎重に深く注入する必要があります。血行の悪い部位などでは絶対に深く少量だけ注入するべきであり、できれば眉間などは避けた方が無難です。一方深くにしっかりと注入すれば、その材質の性質上安定化しますし、周囲に組織の巻き込みを生じにくく、線維化は、粒子周囲の微細な構築のみに発生します。感染・しこりも表面がでこぼこしていないという特許の製法上生じにくいようです(医師の方は表面がスムーズなナイロン糸と編み込みのナイロン糸との違いと考えると分かりやすいと思います)。同じハイドロキシアパタイトを用いた別メーカーの製品は表面がスムーズではなく、様々なトラブルが報告されています。

何でも同じですが、注入デザインの上手下手はあるものの、まずそれよりは誰でもが未然に避けることができるトラブルを生じないよう、用法、用量を守ることです。正しい知識を身につける努力をしなければいけません(と偉そうに書きつつ、我が身を反省あせる)。
そしてレディエッセにこだわることなく、症状に応じてヒアルロン酸、コラーゲン、PRPなどを上手く使い分けていくことが重要と思います。

全ての治療は同じですが、失敗がない、100%というのはあり得ません。未熟な私自身は常にその点は気をつけていこうと思います。応用やテクニックだけに走らず、基礎をきちんと。