私が彩夏がサヴァンではないかと思ったのは、

彩夏が12歳の時でした。

(自分で言うのも何ですが、遅すぎ!!)

 
以前より彩夏がいろいろな能力を見せてくれていたのに、
凄いなぁで終わってたんです、私。
 
彩夏はサヴァンだろうか。
 
サヴァンかもしれない。
 
多分、サヴァン・・・。
 
そんな悶々した時を1年くらい過ごしました。
 
 
彩夏は1年に1度、児童精神科を受診しています。
 
中学部2年生の夏休みに受診日がやって来ました。

「彩夏はサヴァンだと思うのですが・・・」
「そうでしょうね」 
「彩夏の能力は、私が引き出したと思うのですが・・・」
「そうでしょうね」

彩夏の担当医の先生が顔を綻ばせて
あっさりと答えてくれたのでした。
 
私は気負っていた分、肩透かしをくった感じ。
 
しかし、
診察後じわじわと嬉しさがこみ上げてきました。

「彩夏はサヴァン!私が彩夏の能力を引き出した!!
私がいろいろと彩夏にしてきたことは間違っていなかった!!!」
 
それまでなかなか彩夏の成長が見られなかったり、
彩夏のこだわりに邪魔されて事がうまく運べなかったりで、
心が折れそうな時もありました。
 
でも彩夏を自立させたいと諦めず、続けてきて10余年。
 
過ぎてしまうとあっという間です。
 
でもその時その時は必死で、
非常に濃度の濃い時間でした。
 
彩夏には本当に様々な能力と才能があります。
 
特別な能力の中には、消えてしまったもの、
やや薄れてきているもの、まだじわじわと拡大しているものがあります。
 
それらを述べる前に、今一度彩夏について、おさらいです。

彩夏はおそらく折れ線型自閉症だと言われています。
 
そして、
彩夏は自閉症スペクトラム障害のうちの約4分の1が知的障害を伴い、
言葉の遅れがみられる古く言えばカナー型です。

1歳8ヶ月の引っ越しの後、変化しました。
 
言葉、笑い声、表情、感情、他者への興味、認知力をなくしました。
 
視線も合わなくなりました。
 
自閉症の症状として出てきたのは、
聴覚過敏、皮膚過敏、相貌失認、睡眠障害、
自傷行為、多動、強いこだわり、強い衝動、クレーン現象などでした。
 
そして、
19歳の今も、自分の意思を伝えるのは、
主に二語文か単語の羅列が多いです。
 
また「いつ、どこ、何」等の
質問をされても分かりません。
 
尋ねる時は、「いつ?何年、何月、何日?」とか、
「どこ?学校?公園?」など具体例をつけて訊かなければ、
彩夏には分かりません。
 
ただし、
何度もやりとりのあった質問であれば答えられます。
 
歯科医には定期的に検診で通っているので
「歯医者さん、次、いつ行く?」と訊くと、
答えられます。

療育手帳の判定は7歳で中等度、
13歳で重度と判定されています。
 
言葉はずっと1歳から2歳程度でした。
 
ただ、知能検査で出されたビーズ、積み木、お絵かき等の課題は、
ずっとさせてきたことの応用だったためにこなせていましたから、
ずっと判定が軽く出たのです。
 
 結局、どれくらい子どもに体験させてきたかの経験値です。
 
18歳の時のIQは29と出ました。 
 
彩夏は家で過ごす時、
お絵かき、文字書き、お料理、工作、折り紙、
テレビを観る、絵本や図鑑を見る、裁縫等、
いろいろとその時によってやることが違い、
全く暇を持て余すという姿は見られません。
 
むしろやりたいことが多くて、
やり出すとなかなか中断できず、
この頃は時間が足りなくて睡眠時間を削ってしまいます。
 
またよく大きな声で笑う子なのです。
 
初めてケラケラ笑う彩夏を見た自閉症を知る人には、
驚かれます。
 
いたずらした時はニヤニヤしたり、フフフ・・・と
思わず声を漏らして笑うので直ぐに分かります。

さて、
そんな彩夏の持つ能力ですが、予知、膨大な記憶力、
カレンダー能力、直感像、母親である私の思考を読むなどです。
 
そして私が一番評価しているのは、
何かに興味を持つ力、
そこから自分で学習し知識を増やしていることです。
 
これらは親の働きかけで持たせることができることを、
彩夏が証明してくれました。
 
それは決して簡単なことではありませんが・・・。
 
これは知的に重度の自閉症の、
療育に委ねられてきた子ども達に、
大きな希望をもたらせてくれると、私は思います。

療育といっても、
住む地域によって対応は違うようです。
 
個人の能力をどこまで個別・個性に合わせて
引き出してくれるのでしょうか。
 
トレーニングを受けたセラピストたちの数は
まだまだ多くないようです。
 
そして、
その技量はどうなのでしょうね。
 
個人差があるようです。

ある番組で、
1歳6ヶ月健診で引っかかった
視線の合わない自閉傾向の子どもに
ぬいぐるみに注意を向けさせ、
それから施術者の顔の横にぬいぐるみを持ってきて、
子どもに施術者の視線に合わせていくという方法があると
実践の様子が紹介されていました。
 
でも、
この方法でなく、
親にでもできる方法があるんです。
 
たまたまあることを彩夏にしている中で、
見つけたんです。
 
これも後日別の話題の中で紹介しますね。

次回からはまずは
それぞれの彩夏の能力について書いていきたいと思います。
 
その後に関わり方について書いていきます。