不思議な船頭さんの話 | かなり昔の小細胞がん(子宮頸がん)の話

かなり昔の小細胞がん(子宮頸がん)の話

2004年に子宮頸がん小細胞がんになりました。
かなり珍しい種類のがんなので治療方法とかを書いてます。
今更かよ~役にたたないよ~と自分でも思いますが・・・
再発しても生きてる人はたくさんいます。
自分が納得した治療ができるといいなと思います。

ボランティアで老人ホームに行きました

歌の大好きなふーさんは101才です

 

都島「こんにちは」

ふー「あら~初めまして~」

何回会っても、いつも初めまして!のふーさん。

 

今日は戦争の話になった。

「大空襲で大火事になったのよ

もう家は丸焼けだし

夜中だし 

どこに逃げればいいか全然わからなくて

主人と2人でね 

橋の上で どうしようかなぁって

途方に暮れていたの

 

そうしたらね 

橋の下から 

おーいおーいって

誰かが呼ぶの

あれ?って思って下をみたら 

見知らぬ船頭さんがいたの

 

あんた達なにしてるんだ

そんな所にいたら危ない

その橋ももうすぐ焼け落ちる

この船に乗りなさい

 

びっくりしたけど 

言われてみれば 

ここにいたら危ないし

私は着物を着ていたから

帯をといてロープみたいにして

橋の欄干に結び付けてね

 

私は長女をおんぶしていたんだけど

主人が長女をおんぶして

先に帯を伝って船に降りたのよ

 

その後

私が1人で下に降りなきゃいけないんだけど

もうこわくてこわくてね 

凄く高いし 暗くて見えないし

出来ないって言ったの

こんな高い所から降りるなんて

出来ないって

 

そしたらその船頭さんが

下から怒ってね

 

なに言っているんだ

あんたはこの子の母親だろう

あんたがここで焼け死んだら

誰がこの子を育てるんだって・・・

長女は泣くしね

 

主人は

大丈夫だから

降りてこい

受け止めてやるからって

 

もう本当に怖くて怖くて

ガタガタ震えながら

川の上の船まで下りたのよ」

 

その後、その船頭さんは

船で安全な場所まで運んでくれた。

 

ふーさん達は

何度も何度も

船頭さんにお礼を言って

名前と住所を聞いた。

 

そこからまたふーさん達は

何時間も歩いて

親戚の家にたどり着いた。

 

都島「橋の欄干から

 船まで降りるって・・・

 怖かったですよね」

 

ふー「そりゃあ怖かったわよー!

でもね、長女が私を見て

わんわん泣いているのよ

 

そしたらね

どうしても

この子のそばに行かなくちゃって

もう必死だったわね

 

親は子供の為なら

とんでもない事も出来るのよ」

 

後日

その船頭さんを探したけれど

それっきり

会えなかったそうです。

 

 

その後ふーさんは自作の歌を3曲歌い

今の船頭さんの話を4回してくれました。

来年もふーさんの話が聴けるといいな~