息子から
1月に
お母さん、
1日でも
早く
今すぐに読んで
この本を読んでごらん

と言われて
のろまな私は
図書館に行くまでに
1週間かかり
読み終えるのに
また1週間
かかった。


吉本ばななの作品を
思わせるような
読みやすいのに
深く優しい
文体で
すぐ読めた。
だけど、
読むごとに
章ごとに
涙が出てきて
眼の前が曇って
頭が痛くなって
時間をおかないと
読めなかった。

沖縄のこと
子育てのこと
女性性のこと
母や祖母のこと
家族のこと
地域のこと
生き方
老い方
差別や
理不尽さ
無知や
あきらめ
沈黙
怒り
癒やし
守ってあげたい人
護るべきもの
日々の生活
未来のこと
青い海のこと
深い海で生きるものたち
青い空を飛ぶものたち
土の中に眠る者たち
抱えきれないものを
作者から
受け取って
しまった。

ずっと
わたしたちの
片隅にあって
澱のように
たまっているものを
わかりやすく
確かな言葉で
差し出されて

立ち止まらない人
泣かないひとが
いるだろうか。

息子が
読んでと
言った理由は
すぐにわかった。

近くにいたら
きっと
夜中までも
お互いの感想を
話し合ったと思う。
まだ
足りないから
筆者の作品を
もっと読んで
現状を知らないと
何も言えないけど

わたしたちの中にも
言えないままに
沈んだ言葉や
怒りがある。

わたしの
抱えた碧い海は
まだ差し出せない。
だけど
島を囲む
海も空も
同じ思いの
人たちも
繋がっていると
信じているから
この作品で
揺さぶられた
理由や
しるしを
自分の言葉で
きっと
残したい。


おやすみなさい。