このブログをご覧になった方は土壌医検定試験というものをご存じでしょうか?

一般財団団法人「日本土壌協会」が実施している、民間の資格検定試験です。

 

『最近、地力の低下、土壌病害の発生等や生産コストの低減が課題となっており、土壌診断に基づく土づくりの推進が重要となっています。しかし、近年、こうした課題に対応できる土づくりの専門家が少なくなってきており、こうした人材を育成するため、土壌医検定試験を行っております。』・・・・・ということで10年ほど前から始まった検定試験です。

 

↓ これはマンガン欠乏のダイズです。葉の葉緑素がなくなって黄色になっています。土壌診断に基づく土づくりが必要な例。

 

 

 

土壌医検定試験には1級、2級、3級と3段階あり、2級、3級はマークシート方式で、受験資格を問いませんが、1級は実務経験5年以上です。実務経験とは農業を実践したり、JAや肥料会社に勤務したり、あるいは農業分野の地方公務員などで、自らが実施した土づくりに関するレポート提出が必要です。私はというと、2015年に3級、2016年に2級に受かりましたが、年も年ですし、土づくりに関するレポートが提出できるような仕事をしてきていないので、万年2級です。毎年2月に全国主要都市で試験が行われます。

 

1級、2級、3級とも検定試験に合格して日本土壌協会に登録すると、順に「土壌医」、「土づくりマスター」、「土づくりアドバイザー」が名乗れますが、登録の有効期間は3年です。この3年間に日本土壌協会が認めるCPD単位を30単位以上取らないと更新が出来ません。なお、資格登録は義務ではありません。

 

というわけで、私も資格登録後CPD単位を得るために以前は講演会に参加したりしましたが、東京までの交通費も掛かりますし、コロナ禍もあるし、単位取得も難しくなりました。

 

そこで今年から「首都圏土壌医の会」に入会して、首都圏土壌医の会実施の研修会にZoomで参加しました。1時間に付き1単位取得できます。

今回の研修会のタイトルは『下水汚泥発酵堆肥の活用方法と留意点』で、実際に下水汚泥発酵堆肥を製造している会社の担当者の講演でしたので、内容が具体的で勉強になりました。比較的少人数なので、質疑応答も出来ます。

下水汚泥発酵堆肥についてはテレビ、新聞などが先月からたびたび報道しているのでご存じの方もおられると思います。例えば読売新聞On Lineで下記の見出しで検索してもらえば記事の内容が読めます。

 

下水汚泥を肥料に活用、輸入化学原料の高騰で政府が本腰…国産化進め価格抑制(2022/10/09 全国版 1面トップ)

下水汚泥が肥料に変身(2022/09/27 読売新聞佐賀県版)
化学肥料高騰で注目! 下水汚泥 肥料に変身…「安価で臭わない」農家から高評価(2022/09/13 読売新聞九州版)

 

要するに、日本では肥料原料の尿素やリン鉱石やカリウムなどの多くを輸入に頼っており、最近価格が高騰していて、農家経営を圧迫しているので、下水汚泥を活用して安価な肥料を提供するというものです。下水汚泥発酵堆肥は以前から作られていますが、最近注目を集めているようです。現在の主な用途はゴルフ場だそうです。下水汚泥にはどうしてもカドミウムや水銀、ヒ素などの有害物質が濃縮されているのではないかという懸念があるので、そのあたりの風評が問題です。

 

今年はこの研修会以外にも、全国土壌改良資材協議会などの講演会にZoomで3回参加しました。年をとると頭もぼけてきますし、人間一生勉強だと思って、Zoomで勉強しています。