よし‼︎オレンジくんの前で雅紀にキスだ‼︎って意気込んだものの、タイミングが合わずその日はできなくて、じゃあ次の日‼︎ってまたまた意気込んだのに、その日は雅紀の都合により俺は午前中の大学の仕事のみで、リーフシードに行かないことになってしまった。
こんなことなら二宮メンタルクリニックの予約を入れておけばよかった。
一応確認してみたけど、すみません、今日は夜まで予約でいっぱいですと、受付の美青年・山田さんに非常に申し訳なさそうに言われてしまった。
どうされましたか?とも。
それはおそらく、緊急を要するものかどうかの確認なのだとは思うが、美青年な上にそんな気遣いまでしてくれちゃうの?って、おじさんちょっとうぴってなったよね。
だって、ね………?
あの顔だよ?
いや、今回は電話だったんだけど。顔を知ってるからね?俺。
雅紀が天使なら山田さんは王子だろうか。
超正統派イケメンだよ。アイドル顔負けの。アイドル並みの。
常にスポットライトが当たってるんじゃ?ってぐらいキラキラしているあの顔で、しかも優しい声でお大事にしてくださいって微笑まれたら。
もはや凶器。
顔面凶器だ。
絶対山田さん目当てで来てる患者さんもいるだろ。
は、置いといて。
まあたまにはこんな日もありかと、仕方なく大学前にタクシーを呼び、マンションに帰った。
以前にも増してほぼほぼ雅紀と暮らしているようなものではあるが、これでも週に一度は帰っている。
それは何故かと言うと、俺のレクサスくんを動かすため。
現在俺はソイ御殿に棲みつき、雅紀が送り迎えをしてくれているため、レクサスくんを手放してもまったく問題はないのだが、なまじお金に余裕があるものだから、動く限り持っていてもいいか………なんて。
やばい。
………やばいんだよ。俺。
何がって、俺の金銭感覚がだよ。
あれだけ雅紀と風間さんのことを金銭感覚バカ男と言って、自分はそうならないぞと決めたのにこれだ。このていたらくだ。
でもさ。
正直に言おう。言うよ。
なるって。金銭感覚バカ男にも。なっちまうって。
これだけごぼっと毎月お金が入ってくるんだ。
ちょっとやそっと無駄遣いしたところで、追いつかないんだよ。消費が。まじで。
すごい台詞だろ?すごい台詞だよね?
聞いて腹立たない?腹立つでしょ?
でも本当なの。本当に。まじで。追いつかないんだよ、消費が。
使っても使っても残高が増えるんだよ。
俺もうどんだけ札束に溺れる夢を見たことか‼︎
そりゃこれだけあれば、うちに帰るだけなのにタクシーだって呼んじゃうって。
とりあえず何でもいいから動かすためにレクサスくんに乗ってどこか、そうだな昼飯でも食べに行こう。
行こうだけど一旦部屋に行って着替えようって、タクシーをおりてポストを開けた。
開けた瞬間、ばさって雪崩。
あーあ。
ポストも週一しか見ないから、これだ。結構たまるんだよ。
そろそろ雅紀が言うように、ソイ御殿への引っ越しを考えた方がいいのか。
いや、でもなあ………。
ぶつぶつ独り言を言いながらしゃがみ込んで、落ちた雪崩物たちを集めた。
ちょっとあやしいぞ。俺。
平日の真っ昼間から、スーツ姿の男がこんな。
基本入っているのはチラシと請求書ぐらいだから、今日ももちろんそうだろうと思ったのに、集めた雪崩物の中に、何通か謎の白い封筒を見つけた。
誰?って裏を見ても差出人は書いていない。
え、何?
妙に気になって、集めた雪崩物を下に置き、しゃがみ込んだままその白い封筒の上部をビリビリと破いて開けた。
中には白いコピー用紙。
折られたコピー用紙をペリッと恐る恐る開くと。
「………は?」
フリーズ。
え、何。
意味が分からないんだけど。
封筒の宛名は俺。間違いなく。
印刷された文字で、櫻井翔様となっている。
もう一度ひっくり返すが、裏面は何も書いていない。真っ白。
そしてもう一度見る、中に入っていたコピー用紙。
そこには。
『シね』
大きな文字で、ただその二文字だけが、印刷されていた。
えええええ⁉︎どゆこと⁉︎ってなった方は米ください😆
一筆啓上部が面白すぎて、BABAぬきまでいかない
『山田くんの表現に顔面凶器入れて』byプロデューサー
ピンと来てなかったけど、そういえばあったね。顔面凶器(笑)さすがKちゃん👏