◆日本一受けたい授業「天才作詞家の心に響く松本隆さん」 | ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

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いつしか食べ歩きがライフワークになってしまった今日この頃。
美味しかった店はもちろん、雰囲気の良かった店を紹介していきます。
2023年12月に外食記事 4000号を達成しました。
ちょこちょこ地域別索引も更新中。
現在、「いいね」返しが出来ません。

作詞した曲は2000曲以上、累計売り上げ・約5100万枚。
松本隆さんの歌詞には、独特の心に響く表現があります。
ファンだと公言している、齋藤孝先生と一緒に授業されました。

▼写真AC:まるうさん提供のフリー素材


1. 独特の心に響く表現

チューリップ:夏色のおもいで
♪君の眼の向こうに青い海が見えるよ
→いろどりを感じる歌詞
 五感で感じられる

斉藤由貴:初恋
♪どんな言葉も違う気がする
→初恋だけでは表せない、女の子の気持ちを見事に表現

寺尾聰:ルビーの指環
♪枯葉ひとつの重さもない命
→言葉がショッキングなのに、軽いアプローチで歌っていた

松本隆先生は「好き・愛している」を使わない表現にこだわっている
<しぐさや行動が、好きと言う気持ちを表していたら、そちらの方が説得力がある>

1983年
松田聖子:ハートをロック
車で送ってもらう際に、主人公はわざと間違った道を教えて遠回り
→これも恋心の伝え方

1983年
松田聖子:赤い靴のバレリーナ
♪前髪1ミリ切りすぎた午後 あなたに逢うのがちょっぴりこわい 一番綺麗な時の私をあなたの心に灼きつけたいから
<数字は具体的な方がいい。前髪1ミリ、男にとってはどうでもいい、でも女の子にとっては大事>

1986年
中山美穂:ツイてるねノッてるね
♪ショー・ウィンドウに映った横顔も綺麗だね、ささやかれ
→恋に落ちた瞬間がはっきり見える

1982年
松田聖子:小麦色のマーメイド
♪わたし裸足のマーメイド、小麦色なの 好きよ嫌いよ
→恋する女の子の複雑な気持ちを表現した。
<女の子の裏腹な気持ち。自分でもわからなくて、両方言っちゃう>

Q.どうして女心がわかるんですか?
<聖子ちゃんにも聞かれたことがあるけど、男と女って別の生き物みたいに語るけど、モトを正せば人間だから、そんなに外れてはいないんじゃないかな>

1971年
はっぴいえんど:風をあつめて
♪摩天楼の衣擦れが舗道をひたすのを見たんです
→マカロニえんぴつ はっとり:正解はわからないけど、そう言う言葉が元々あったように、景色がパッと浮かぶ。脳が処理した情報を言語化する力が、ずば抜けてらっしゃるので参考になります。さりげなくクールなんですね。言葉の置き方、とっても勉強になりました。

<50年以上も前の詞を今の人たちが支持してくれることはとっても幸せですね、ものつくりとしては。70年代はスモッグがあった。スモッグは下にたまる。高層ビルが女性のドレスに見える。それが摩天楼の衣擦れ>

斉藤由貴:卒業
♪卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう
いきものがかり:水野さん「すごい工夫しましたね」とか、こんなうまいこと言いましたというレベルじゃない。何気ないフレーズに聞こえるけど、その感覚を思い出せる。ずっと書けるってすごいな、このような詞は誰にも書けない

2. 別れ・悲しみの表現

松田聖子:瞳はダイヤモンド
♪Ah 泣かないで MEMORIES 幾千粒の雨の矢たち 見上げながら、うるんだ 瞳はダイヤモンド
→失恋の辛さが伝わります
<傷ついているのに、傷ついていないと強がる女の子。泣きたくないから、私の目はダイヤモンドだと強いものに託して、傷ついている私もきれいでしょ? あの頃は傘からシグナルが飛び出すのか?と、随分言われた>

薬師丸ひろ子:メイン・テーマ
♪愛ってよく、わからないけど 傷つく感じが素敵 笑っちゃう涙の止め方も知らない 20年も生きて来たのにね
→涙が溢れてしまうことを、「涙の止め方も知らない」と悲しみがひしひしと伝わる
男性目線だと南佳孝:スタンダード・ナンバー
<1つのメロディーに2つの歌詞を当時書いて、面白かったですよ。

1979年
竹内まりや:September
♪借りていたdictionary 明日返すわ LOVEという言葉だけ切り抜いた後 それがgood-bye,good-bye
→恋人が心変わりしていることに気づいた女性
<かなり復讐の気持ちが入ってますよね。アンダーラインでも良かったかも。たぶん言葉がメロディーに合わない>

3. 聞いている人の心をつかむ比喩表現

1998年
キンキキッズ:ジェットコースター・ロマンス
♪波はジェットコースター 素敵な風を集めながら

ナイアガラ・トライアングル:A面で恋をして
♪ウインクのマシンガンで

1981年
松田聖子:白いパラソル
♪渚に白いパラソル 心は砂時計よ あなたを知りたい 愛の予感
→徐々に積もる砂時計のように、あなたを知りたい思いがつのっていく、恋の始まりを見事に表現

1985年
斉藤由貴:初恋
♪カフェ・テラス 風の絵の具が 薔薇色に頬を染めるのよ
→気になる男性の視線に顔が赤くなる、視線がさーっと頬を撫でかのよう顔が赤くなるのがわかる

1997年
キンキ・キッズ:硝子の少年
♪ぼくの心は ひび割れたビー玉さ のぞき込めば君が逆さまに映る
→ただのビー玉ではなく、ひび割れたビー玉にすることで、ピュアで傷つきやすい少年の心をうまく表現しています
<最初からミリオンセラーを要望されたので、すごいプレッシャーとなって、何も思いつかなかった。書斎で考え今日はやめようと思ってリビングに降りて行ったら、テレビに2人の姿が映った。まるで硝子の少年だと感じた。当時18歳のキンキキッズの壊れやすそうながらもキラキラしている姿だった>

2015年
松田聖子:永遠のもっと果てまで
(作曲 松任谷由実)
♪夕陽を絞ったジンジャーエール あなたとの日々が泡になる
<僕の好きなジンジャーエールが、赤、オレンジ。そうすると、海とバーっと広がるし、泡になって恋も消えることが2行で表現できる>

Q. これまでの体験を含んでいますか?
<全然体験ではない。95%フィクションでまとめてます。100%フィクションだと説得力ない。100%本当だと、聴いている方がしんどくなっちゃう

4. 松本隆さんが絶賛する作品

マカロニえんぴつ:なんでもないよ
<僕のバンドに似ている>
松本先生が注目したのは、一番最後の歌詞
♪「何でもないよ」なんでもないよ、君といるときの僕が好きだ
<難しい言葉が入っていなくて、最初から最後まで話し言葉でずっと言っている。
彼は好きだといえなくて、自問自答している。ある種の逆転ですよね>

2019年
ヨアソビ:夜に駆ける
すごいと絶賛したのが2番の冒頭の歌詞
♪君にしか見えない 何かを見つめる君が嫌いだ 見惚れているかのような 恋するような そんな顔が嫌いだ
<前半は君のことを憧れているとか好きだとか肯定的なのに、急に嫌いになる。聴いていて、ドキッとなる。面白い詩だと感じました>

僕の歌詞のDNAを引き継いでいると言うのが、
シンガーソングライター・吉澤嘉代子(33歳)

2023年
吉澤嘉代子:氷菓子
♪あれから何時も舌を火傷してるみたい
→物語のような歌詞で、好きな人とキスした後の気持ちの表現
<氷を口に入れると、ひんやり、ヒリヒリ、結構痛いでしょ。恋愛もそうじゃないですか
意外と甘いだけじゃない。火傷のようなヒリヒリ感を自分の体が覚えている。あまり考えつかないキス表現でこの詞いいなと思って>

2016年
吉澤嘉代子:東京絶景
上京した人の気持ち
♪東京の美しい無口な朝の路 野良猫が漁るゴミ棄て場に額縁を嵌めて(はめて)みる
<東京は美しくてきれいな街なのですが、裏がえすと汚い部分もある。指で額にはめてみる。コンパクトに2行にまとめている、テクニックを持っている>

2009年
いきものがかり:YELL
♪「“わたし”は今どこに在るの」と踏みしめた足跡を何度も見つめ返す
<1番の1行目に投げちゃうのは、僕は面白いと思って、青春時代、自分が立っている場所がわからない。それは老年になっても同じ。自分の居場所はどこ?毎日思いますね。
この人は才能ある>

松本さんを土台にして、次の世代が受け継いで行ってます。
松本先生が歌詞を書く時に大切にしている言葉とは「風」
これまでも「風をあつめて」「風立ちぬ」♪風のインクで
「夏色のおもいで」♪君をさらっていく風になりたいな

言葉は風になる。
その原点、松本隆さんは南青山生まれ。
風と人々の暮らしがあった。
東京五輪を前にしての開発で家々が壊され、道路が拡張され、風が吹く街が消えてしまった。
「風街」
見えなくなってしまった大切なものの代名詞になっている。
はっぴいえんど「風をあつめて」で、見えないけれど大切なものを風という言葉に託した松本先生。
その歌は風のように、今も人々の心を震わせ続けています。


「筒美京平からの贈り物」の記事はこちら(2020年12月12日)
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http://ameblo.jp/miyacar/entry-12642516274.html

では、明日。