映画/「ミッドウェイ」 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道


1976年
アメリカ
監督:ジャック・スマイト
出演:チャールストン・へストン、三船敏郎、ロバート・ミッチャム、ヘンリー・フォンダ

太平洋戦争の分岐点となったミッドウェイ沖海戦を描く、アメリカ合衆国建国200周年記念大作。

先日ご紹介した「東京上空三十秒」のシーンが
タイトルバックにまるごと流用されてます。
本作にもハルゼ-提督役でロバート・ミッチャムが出てますが、出世しましたな。
このタイトルバックに象徴的ですが、本作の戦闘シーンは殆ど過去の戦争映画からの流用で作られています。
凄いツギハギ感。
映画のルックを大きく損ない、興醒めします。


記録映像の他、劇映画ではこれも先日御紹介した「トラ・トラ・トラ!」と「太平洋の嵐」から大量に流用されており、特に「太平洋の嵐」
からは円谷英二の特撮シーンと共に佐藤允と夏木陽介がワンカット、モロに「出演」しちゃってますがこれはいいのか?

それと、一応オールスター大作という体裁になってはいますが、これはオールドスターというのが正しい。
当時の旬のスターが見事に一人も出てこない。
特に日本からは三船敏郎ただ一人で、他の軍人は全部日系のハリウッド役者ばかり。
知ってるのは後に「ダイハード」でナカトミ社長を演じるジェームズ繁田ぐらいでしょうか。
その三船も硬直した演技で山本五十六を演じて冴えません。
大体、山本五十六はミッドウェイ海戦で戦場の後方にいて「何もしなかった」ので、見せ場の作りようがない。

また、史実から言えばこの戦いは「どちらが先に敵を見つけるか」が勝敗を分けたのであり、そこらへんの駆け引きにストーリー的興味が絞られるわけですが、互いの位置関係や作戦の進行状況がわかりにくく、サスペンスが盛り上がるどころか、誰がどこで何をしているのかさえよくわからない有り様。
平板で退屈です。

とどめは考証のいい加減さ。
登場する日本軍機の胴体に日の丸以外になぜかダサい旭日マークが貼り付けてあったり、奇怪な迷彩色だったり。
また前述の通り、戦闘シーンは様々な素材を切り貼りしてあるので、カットによって飛行機が突然別の機体に変わったりします。

チャールトン・へストンがラストで意味もなく散華するなど、何をか言わんやですね。

これは戦争映画が好きな人でも、かなりの忍耐が必要と思われます。

そもそもミッドウェイの戦いは映画に不向きなのではと私は思うのですが、ローランド・エメリッヒ監督による大作(やれやれ…)が公開を控えています。