演劇/ユニット酒とつまみ「もうひとり」 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道

2013/5/9下北沢OFFOFFOFFシアターにて
作・演出:倉持裕
出演:池谷のぶえ、村岡希美

居候の浜子(池谷のぶえ)と家主の桐絵(村岡希美)、二人の女性の人間模様を描く。

さて、下北沢駅前の50席ほどの小さな劇場。
その小さな舞台にさらに小さく四畳間が作られている。
その四畳間に不釣り合いな丸テーブルに椅子が三脚。
この部屋に三人の客が順番に訪れる。
その客を二人の女優が迎えるという二人芝居だ。

というわけで、二人は三人の「お客」をパントマイムとリアクションのみで表現する。
想像していただけると思うが、これは難しい。
とにかく二人の息が合っていないと観客に「お客」は見えてこない。

池谷のぶえ、村岡希美共に舞台の脇の人だが、たとえ大舞台でも出れば必ず場面をさらう人だ。

まず最初に現れるのは、お隣の奥さん。
仕事もしないで居候を決め込んでいる浜子を不信に思い、桐江が浜子に「洗脳」されているのではないかと疑っている。
このあたり、件の女性芸人の事件を思い出させ、客席には忍び笑いが。
しかし、奥さんは逆に浜子の優しい人柄に魅せられ、頑なな心を開き、涙を流して帰る。

次に現れるのは、浜子が以前居候していた友人。
浜子に心酔していて、再び一緒に暮らそうと言い、桐江と浜子を奪いあう。

予想できないギャグが次々に炸裂する舞台だが、浜子の得体の知れなさが通奏低音となっており、一通りのファース(笑劇)ではない。

池谷、村岡共に達者な人で、こと笑いに関してはちょっと他にはない味わいがある。
80分程度のスケッチ風の舞台にこれだけ密度の濃い笑いをしきつめた倉持裕の台本も面白いが、アドリブの入る余地のないほど緻密な演出にも唸ってしまう。

このユニットは絶対に続けてほしい。
しかしおそらく次回公演のチケットは手に入りにくいでしょうねにひひ